外れスキル【釣り】を極限にまで極めた結果 〜《神器》も美少女も釣れるようになったけどスローライフはやめません。〜
第5話 さ、食べるのだわ!
「お兄ちゃん! 付き合って欲しいのだわ!」
「……へ?」
夜、自室で釣りをしていると、突然乱入してきたイライザがなんか言い始めた。
まさかこんな直接的なアピールをされるとは……。いつもはギリギリアウトな下ネタばかり言うのに。
「でもごめん、まだ心の準備が出来てないと言うか、一気に三人も愛せる自信がないというか……」
「何を言ってるのだわ?」
「……ん? 今付き合ってって言ったよね?」
「うん、言ったのだわ」
……えっと……認識に齟齬が発生している気がする。
「……因みにだけど、どういう意図で付き合ってって言った?」
「よく聞いてくれたのだわ!」
うおっ、近っ。目がキラキラしてる、可愛い。
「芸術の都の一角にある喫茶店! そこで提供している幻のカップル専用パフェを食べに行きたいのだわ!」
「……つまり、カップル専用パフェを食べに行くのに付き合えと?」
「そうなのだわ!」
そんなベタな!?
ちょっとした俺のトキメキを返せ!
「はぁ……分かったよ。明日でいいか?」
「ホント!? ふふ、楽しみなのだわ♪」
ニコニコ、ほくほくとしているイライザ。本当に楽しみなんだなぁ。こうなると俺も楽しみになってくる。
「じゃ、明日に備えて寝よう。おやすみ、イライザ」
「うん! おやすみ、お兄ちゃん!」
◆◆◆
そして翌日。
「ぱーふぇーぱーふぇー♪」
「おいおい、あんまりはしゃぐなよ」
「はしゃいでないのだわ♪」
嘘つけ。
可愛くスキップして店に向かうイライザと、それを追う俺。ぶっちゃけ周りから見たら、カップルと言うより兄妹っぽく見えてるだろうなぁ……。
「お兄ちゃん。はやくっ、はやくっ」
「ああ、はいはい」
……何だか俺も、本当に妹みたいに見えてきたな。
「あっ、見えて来たのだわ!」
「ん? ……喫茶ノワール、か」
芸術の都にしては質素というか、とんがってないという……まともだ。超普通の建物で、店先にもテラス席が設けられている。
「じゃ、タナトさん……♡」
「──え……?」
い、イライザ……?
俺の腕にキュッと抱きついてきたイライザは、さっきまでの天真爛漫な笑みをどこへやら……今は妖しく、艶やかな笑みを浮かべている。
子供のようなイライザは鳴りを潜め、一人の成熟した女性がそこにいた。
「行きましょうか、タナトさん」
「……ぁ。お、おう……」
な、何だこれ……何だこれっ。
俺今、絶対顔赤いっ。というか熱いっ。心臓も締め付けられてる……!
そのまま喫茶ノワールに入っていくと……店内にいる人の視線が一斉にこっちを向いた。
正確には、俺の隣にいるイライザへと吸い寄せられている。
そこにいるだけで圧倒的存在感を放つイライザ。
だがそれだけでなく、今は淑女然とした……花々すら恋に落とすほどの可憐で華やかな笑みだった。
「……あっ。え、と……い、いらっしゃいませ、お客様……!」
「二人でお願いします」
「は、はいっ。こちらへ……!」
おお、流石店員さん。いち早く正気を取り戻した。
窓側の席へ通されると、店員さんの持ってきたメニューを開く。
目的はカップル専用パフェだが、飲み物は別で頼むらしいからな。さてどれにするか……。
「お決まりですかー?」
「えっと……イーラ、飲み物は何にするか決めたか?」
「はい。私はブリュセルク地方アルメルド産の朝摘み茶葉を使用したダージリンを。カップルパフェセットで」
「……え、ぶ、ぶりゅ……ある……だーじ……?」
なんだろうそれ。何かの呪文だろうか。
「畏まりました。彼氏さんは如何致しますか?」
「あ、じゃあ同じもので」
「畏まりました。カップルパフェはお二人でお一つになりますので、紅茶だけお持ちしますね」
頭を下げてバックヤードに消える店員さんを見送ると、身を乗り出しでイライザに小声で話しかけた。
「お前、こういうの慣れてるの?」
「まあ、これでも昔は数々のお茶会に呼ばれていましたから」
……あ、そういやこいつ、奇跡の魔女として崇め奉られてたな。納得。
その後はイライザと他愛のない話をしながらカップルパフェと紅茶を待っていると……ついに運ばれてきた。
「お待たせしました。カップルパフェセットでございます」
「……え、これ?」
いや……え……。
「でかくね?」
大食いのミケが食う丼のような皿にカラフルなフルーツやアイス、生クリーム、お菓子が所狭しと積まれている。
こ、これが……カップルパフェ……?
「恋人同士、カップルの力を合わせて是非とも完食してくださいっ。制限時間は一時間です! 完食出来たら五万ゴールド進呈。出来なければ五万ゴールドお支払いいただきます」
「制限時間!? ちょ、聞いてな……!?」
「よーいスタート!」
聞けよ!
ええいクソ! こうなりゃヤケだ!
「イーラ、協力して食うぞ。……イーラ?」
……おい、何で固まって……?
「……ふふ。何だか、感極まっちゃって……ずっとずっと、タナトさんとこうしたかったから……」
「…………」
「今日は、タナトさんの隣に立っても恥ずかしくないようにしてたけど……でも、それももうおしまい」
イライザはスプーンを手に取り、可憐な笑顔を一転。天真爛漫な笑顔に変わった。
「さ、食べるのだわ!」
……は、はは。……イライザ、やっぱお前はそっちの方が似合うよ。
ただまあ……こんな巨大なパフェだってことを黙って注文したのは、絶対許さんが。
結局五万ゴールド、しっかりとお支払いしました。ぴえん。
「……へ?」
夜、自室で釣りをしていると、突然乱入してきたイライザがなんか言い始めた。
まさかこんな直接的なアピールをされるとは……。いつもはギリギリアウトな下ネタばかり言うのに。
「でもごめん、まだ心の準備が出来てないと言うか、一気に三人も愛せる自信がないというか……」
「何を言ってるのだわ?」
「……ん? 今付き合ってって言ったよね?」
「うん、言ったのだわ」
……えっと……認識に齟齬が発生している気がする。
「……因みにだけど、どういう意図で付き合ってって言った?」
「よく聞いてくれたのだわ!」
うおっ、近っ。目がキラキラしてる、可愛い。
「芸術の都の一角にある喫茶店! そこで提供している幻のカップル専用パフェを食べに行きたいのだわ!」
「……つまり、カップル専用パフェを食べに行くのに付き合えと?」
「そうなのだわ!」
そんなベタな!?
ちょっとした俺のトキメキを返せ!
「はぁ……分かったよ。明日でいいか?」
「ホント!? ふふ、楽しみなのだわ♪」
ニコニコ、ほくほくとしているイライザ。本当に楽しみなんだなぁ。こうなると俺も楽しみになってくる。
「じゃ、明日に備えて寝よう。おやすみ、イライザ」
「うん! おやすみ、お兄ちゃん!」
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「ぱーふぇーぱーふぇー♪」
「おいおい、あんまりはしゃぐなよ」
「はしゃいでないのだわ♪」
嘘つけ。
可愛くスキップして店に向かうイライザと、それを追う俺。ぶっちゃけ周りから見たら、カップルと言うより兄妹っぽく見えてるだろうなぁ……。
「お兄ちゃん。はやくっ、はやくっ」
「ああ、はいはい」
……何だか俺も、本当に妹みたいに見えてきたな。
「あっ、見えて来たのだわ!」
「ん? ……喫茶ノワール、か」
芸術の都にしては質素というか、とんがってないという……まともだ。超普通の建物で、店先にもテラス席が設けられている。
「じゃ、タナトさん……♡」
「──え……?」
い、イライザ……?
俺の腕にキュッと抱きついてきたイライザは、さっきまでの天真爛漫な笑みをどこへやら……今は妖しく、艶やかな笑みを浮かべている。
子供のようなイライザは鳴りを潜め、一人の成熟した女性がそこにいた。
「行きましょうか、タナトさん」
「……ぁ。お、おう……」
な、何だこれ……何だこれっ。
俺今、絶対顔赤いっ。というか熱いっ。心臓も締め付けられてる……!
そのまま喫茶ノワールに入っていくと……店内にいる人の視線が一斉にこっちを向いた。
正確には、俺の隣にいるイライザへと吸い寄せられている。
そこにいるだけで圧倒的存在感を放つイライザ。
だがそれだけでなく、今は淑女然とした……花々すら恋に落とすほどの可憐で華やかな笑みだった。
「……あっ。え、と……い、いらっしゃいませ、お客様……!」
「二人でお願いします」
「は、はいっ。こちらへ……!」
おお、流石店員さん。いち早く正気を取り戻した。
窓側の席へ通されると、店員さんの持ってきたメニューを開く。
目的はカップル専用パフェだが、飲み物は別で頼むらしいからな。さてどれにするか……。
「お決まりですかー?」
「えっと……イーラ、飲み物は何にするか決めたか?」
「はい。私はブリュセルク地方アルメルド産の朝摘み茶葉を使用したダージリンを。カップルパフェセットで」
「……え、ぶ、ぶりゅ……ある……だーじ……?」
なんだろうそれ。何かの呪文だろうか。
「畏まりました。彼氏さんは如何致しますか?」
「あ、じゃあ同じもので」
「畏まりました。カップルパフェはお二人でお一つになりますので、紅茶だけお持ちしますね」
頭を下げてバックヤードに消える店員さんを見送ると、身を乗り出しでイライザに小声で話しかけた。
「お前、こういうの慣れてるの?」
「まあ、これでも昔は数々のお茶会に呼ばれていましたから」
……あ、そういやこいつ、奇跡の魔女として崇め奉られてたな。納得。
その後はイライザと他愛のない話をしながらカップルパフェと紅茶を待っていると……ついに運ばれてきた。
「お待たせしました。カップルパフェセットでございます」
「……え、これ?」
いや……え……。
「でかくね?」
大食いのミケが食う丼のような皿にカラフルなフルーツやアイス、生クリーム、お菓子が所狭しと積まれている。
こ、これが……カップルパフェ……?
「恋人同士、カップルの力を合わせて是非とも完食してくださいっ。制限時間は一時間です! 完食出来たら五万ゴールド進呈。出来なければ五万ゴールドお支払いいただきます」
「制限時間!? ちょ、聞いてな……!?」
「よーいスタート!」
聞けよ!
ええいクソ! こうなりゃヤケだ!
「イーラ、協力して食うぞ。……イーラ?」
……おい、何で固まって……?
「……ふふ。何だか、感極まっちゃって……ずっとずっと、タナトさんとこうしたかったから……」
「…………」
「今日は、タナトさんの隣に立っても恥ずかしくないようにしてたけど……でも、それももうおしまい」
イライザはスプーンを手に取り、可憐な笑顔を一転。天真爛漫な笑顔に変わった。
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