外れスキル【釣り】を極限にまで極めた結果 〜《神器》も美少女も釣れるようになったけどスローライフはやめません。〜
第19話 全世界最強
◆◆◆
「で、炎極天のエンリ様……いえ、エンリが組織を率いてエリオラちゃんを狙いに来てるのね」
「ああ。多分近いうちに来るんじゃないかな」
無事(?)エリオラから解放された俺は、ミケの作ってくれた精のつく料理に舌づつみを打ちながらエンリのことについて話した。
「まさか、十極天様の中にそんな裏切り者がいたなんて……しかも普段無表情で無口で無愛想で何考えてんのか分からないあのエンリが……」
「ミケ、お前騎士なのにそんなこと言っていいの?」
「エリオラちゃんの敵なら、譬え王族相手でも私は槍を振るうわ」
キャーミケさんかっこいー!
「でもでも、その組織ってイヴァの復活を目論んでるんだよね? もうここにいるのだわ」
イライザの視線を追って見ると、イヴァロンは幼女然とした笑顔でオムライスを口に詰めている。あーあー、口周りが汚れてるじゃないか。しょうがない奴だ。
そんなイヴァロンの口周りを俺が布で拭いてやる。うん、綺麗になったな。
「むふーっ。ああそうだ、そのエンリとかいう輩、余も少しだけ覚えがあるぞ」
「そうなのか?」
「うむ。当時から突出した才能を持っている魔族だった。【炎極】のスキルも使いこなし、当時の魔族の中では十本の指に入るほど強力だったな」
げっ、マジ? それってエリオラ、イライザ、イヴァロンと肩を並べるレベルってのと? やだちょっと俺そんな奴に喧嘩売ったの?
「ああ、安心せよ。余とエリオラとイライザは別格すぎて十本の指にも入っとらん。余らからすれば、そんな木っ端な魔族歯牙にもかけんよ」
……改めて思うが、この子達そんな強いんだなぁ……仲間でよかった、マジで。
「だけどエンリの奴、数十人のスキルレベルを極めた仲間がいるらしいけど……」
「それを言うなら、余は当時数十万人のスキルレベルを極めた魔王軍の頂点なのだ」
「私も、数百万人の融和勢のトップなのだわ」
「なら私は、全世界最強」
規模が違う! 違いすぎるよ!
改めて思う。この三人とんでもない。ホント、仲間でよかった……。
三人の強さ自慢にドン引きしていると、「それに」とイヴァロンが口を開いた。
「この空間にいれば誰も入って来れないのだろ? なら余は、力が回復するまでここにいさせてもらうぞ」
「ああ……確かに入っては来れないけど、あいつらお前を復活させるって息巻いてたぞ。それが召喚って形の復活だったら、ここにいてもいつか召喚されるんじゃ……」
「ま、何とかなるだろう」
それでいいのか……。
……ま、イヴァロンの言う通り、こいつらかいたら何とかなるだろ。
◆◆◆
「エリオラの勧誘には失敗した、か……」
「……ん……向こうにいるタナトという人間のせい……」
鍾乳洞のような洞窟の中、黒ローブの男とエンリは人知れず密会していた。
イライラを隠せない様子の黒ローブ。そんな黒ローブの様子を、エンリは冷ややかな目でいていた。
「チッ……奴を引き入れることが出来れば、魔王様復活も容易いものを……!」
「……一つ、考えがある……」
「考えだと? エリオラは既にタナトとかいう輩に……」
そこで、黒ローブは何かに気付いたように言葉を詰まらせた。
そう、タナト。タナトだ。
ロゥリが殺されたのも、タナトにちょっかいを出したのがケチのつきはじめだ。
タナトに手を出さなければ、エリオラに目を付けられずに済んだ。ロゥリエは殺されずに済んだ。今でも生きて、混沌と破滅を撒き散らしていた。
(ロゥリエ……)
ゴオォッッッ──!!!!
黒ローブの周囲が塵に変わり、ボロボロと崩れ落ちる。
如何にエンリだろうと触ればひとたまりもない絶対的なスキルに、背中に冷や汗が流れるのを感じた。
「そうか……奴か……」
「……そう──タナトを、捕らえる……」
奴がいればエリオラも、イライザも配下に加えられる。
そうと決まれば。
「催眠の魔女を呼べ」
「……分かった……」
黒ローブは怒りを心に押し留め、エンリから離れて洞窟の奥へ向かう。
(タナト……タナト……タナト……覚えたぞ、貴様の名を……)
──第五章 完──
「で、炎極天のエンリ様……いえ、エンリが組織を率いてエリオラちゃんを狙いに来てるのね」
「ああ。多分近いうちに来るんじゃないかな」
無事(?)エリオラから解放された俺は、ミケの作ってくれた精のつく料理に舌づつみを打ちながらエンリのことについて話した。
「まさか、十極天様の中にそんな裏切り者がいたなんて……しかも普段無表情で無口で無愛想で何考えてんのか分からないあのエンリが……」
「ミケ、お前騎士なのにそんなこと言っていいの?」
「エリオラちゃんの敵なら、譬え王族相手でも私は槍を振るうわ」
キャーミケさんかっこいー!
「でもでも、その組織ってイヴァの復活を目論んでるんだよね? もうここにいるのだわ」
イライザの視線を追って見ると、イヴァロンは幼女然とした笑顔でオムライスを口に詰めている。あーあー、口周りが汚れてるじゃないか。しょうがない奴だ。
そんなイヴァロンの口周りを俺が布で拭いてやる。うん、綺麗になったな。
「むふーっ。ああそうだ、そのエンリとかいう輩、余も少しだけ覚えがあるぞ」
「そうなのか?」
「うむ。当時から突出した才能を持っている魔族だった。【炎極】のスキルも使いこなし、当時の魔族の中では十本の指に入るほど強力だったな」
げっ、マジ? それってエリオラ、イライザ、イヴァロンと肩を並べるレベルってのと? やだちょっと俺そんな奴に喧嘩売ったの?
「ああ、安心せよ。余とエリオラとイライザは別格すぎて十本の指にも入っとらん。余らからすれば、そんな木っ端な魔族歯牙にもかけんよ」
……改めて思うが、この子達そんな強いんだなぁ……仲間でよかった、マジで。
「だけどエンリの奴、数十人のスキルレベルを極めた仲間がいるらしいけど……」
「それを言うなら、余は当時数十万人のスキルレベルを極めた魔王軍の頂点なのだ」
「私も、数百万人の融和勢のトップなのだわ」
「なら私は、全世界最強」
規模が違う! 違いすぎるよ!
改めて思う。この三人とんでもない。ホント、仲間でよかった……。
三人の強さ自慢にドン引きしていると、「それに」とイヴァロンが口を開いた。
「この空間にいれば誰も入って来れないのだろ? なら余は、力が回復するまでここにいさせてもらうぞ」
「ああ……確かに入っては来れないけど、あいつらお前を復活させるって息巻いてたぞ。それが召喚って形の復活だったら、ここにいてもいつか召喚されるんじゃ……」
「ま、何とかなるだろう」
それでいいのか……。
……ま、イヴァロンの言う通り、こいつらかいたら何とかなるだろ。
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「エリオラの勧誘には失敗した、か……」
「……ん……向こうにいるタナトという人間のせい……」
鍾乳洞のような洞窟の中、黒ローブの男とエンリは人知れず密会していた。
イライラを隠せない様子の黒ローブ。そんな黒ローブの様子を、エンリは冷ややかな目でいていた。
「チッ……奴を引き入れることが出来れば、魔王様復活も容易いものを……!」
「……一つ、考えがある……」
「考えだと? エリオラは既にタナトとかいう輩に……」
そこで、黒ローブは何かに気付いたように言葉を詰まらせた。
そう、タナト。タナトだ。
ロゥリが殺されたのも、タナトにちょっかいを出したのがケチのつきはじめだ。
タナトに手を出さなければ、エリオラに目を付けられずに済んだ。ロゥリエは殺されずに済んだ。今でも生きて、混沌と破滅を撒き散らしていた。
(ロゥリエ……)
ゴオォッッッ──!!!!
黒ローブの周囲が塵に変わり、ボロボロと崩れ落ちる。
如何にエンリだろうと触ればひとたまりもない絶対的なスキルに、背中に冷や汗が流れるのを感じた。
「そうか……奴か……」
「……そう──タナトを、捕らえる……」
奴がいればエリオラも、イライザも配下に加えられる。
そうと決まれば。
「催眠の魔女を呼べ」
「……分かった……」
黒ローブは怒りを心に押し留め、エンリから離れて洞窟の奥へ向かう。
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