外れスキル【釣り】を極限にまで極めた結果 〜《神器》も美少女も釣れるようになったけどスローライフはやめません。〜
第19話 ここは……どこだ……?
肩に乗った大統領の案内で帰り道を歩く。行きと同じく濃い霧の中だけど、どうやら精霊族には道が分かるみたいだ。
「ゆけゆけどんどんー」
「きょだいろぼー」
「うぃーがしゃ、うぃーがしゃ」
「ありったけのゆめをかきあつめるですー」
楽しそうだなー、こいつら。
「もすこしですー」
「きりのさきにきぼーがあるです」
「いっすんさきはやみですが」
「ころんだらもどってこれませぬ」
「怖いこと言うなよ」
……え、待てよ……転んだらダメって、さっきこの霧の中を全力疾走してたんだけど!? こわっ、え、こわっ!?
「でもごあんしんをー」
「ぼくらいるですので」
「ころばぬさきのつえですゆえ」
「ほ、本当だなっ? 信じてるぞ」
きゅ、急に脚が竦み出した……。
ゆっくり、地面を踏み締めるように進む。
……ぁ……霧が薄くなって来たぞ。
「ごほー」
「よんぽ」
「さんぽー」
「にほ」
「いっぽ──」
──コケッ──
……ぁ……?
「「「「あー……」」」」
「へぶっ!?」
お、おごっ……顔面……! うっ、口に砂入った……!
……え、砂?
「ころびましたな」
「こけましたな」
「みごとにいったですな」
「ぼくらもきーぬけてたです」
「これはもどれませぬな」
……は? 戻れない……?
顔の痛みに耐えて顔を上げる。
ぅ……眩しい……じりじりと皮膚を焼くような陽の光だ……。
……陽の光? 俺はさっきまで、暗い森の中にいたはずなのに……?
目が光に慣れてきたぞ……。
ゆっくり目を開いて、辺りを見渡す。
抜けるように青い空。楽しそうに空に浮かぶ白い雲。
目の前に広がる広大な海。
…………。
は? 海?
足元には砂浜。
振り返っても砂浜。まるで砂漠のように無限に広がる砂浜には、木々も草花も何一つない。
無限に広がる空、無限に広がる海、無限に広がる砂浜。
…………。
「ここは……どこだ……?」
困惑も困惑。
何故こうなったのか、ありえない現象に脳が追い付かない。
何なんだ、これは……?
どこまでも続く海。
その海面に、レッドドレスフィッシュが楽しそうに跳ねた。
◆◆◆
「っ!? タナト!?」
えっ、何? エリオラちゃん?
今まで精霊族と楽しそうに遊んでいたエリオラちゃんが、動揺を隠しきれない目でタナトが消えた森の先を見る。
「ど、どうしたのエリオラちゃん。まだタナトは戻って来てないけど……」
「……そん、な……そんな訳ない……何で……どうして……?」
……エリオラちゃんが困惑してる……? 一体何があったの……?
『まさか……そんなはず……!』
「いない……どこにもいないのだわ……」
「る、ルーシーさんもイライザさんも、どうしたんですか……?」
私とエミュールちゃんだけが置いてけぼり。
一体何があったのだろう……。
「エリオラちゃん、タナトに何かあったの……?」
「……分からない……本当に、いきなり……」
エリオラちゃんの目から、一筋の涙が溢れ──。
「この世界から、タナトの気配が消えた……」
──とんでもないことを、口走った。
──第三章 完──
「ゆけゆけどんどんー」
「きょだいろぼー」
「うぃーがしゃ、うぃーがしゃ」
「ありったけのゆめをかきあつめるですー」
楽しそうだなー、こいつら。
「もすこしですー」
「きりのさきにきぼーがあるです」
「いっすんさきはやみですが」
「ころんだらもどってこれませぬ」
「怖いこと言うなよ」
……え、待てよ……転んだらダメって、さっきこの霧の中を全力疾走してたんだけど!? こわっ、え、こわっ!?
「でもごあんしんをー」
「ぼくらいるですので」
「ころばぬさきのつえですゆえ」
「ほ、本当だなっ? 信じてるぞ」
きゅ、急に脚が竦み出した……。
ゆっくり、地面を踏み締めるように進む。
……ぁ……霧が薄くなって来たぞ。
「ごほー」
「よんぽ」
「さんぽー」
「にほ」
「いっぽ──」
──コケッ──
……ぁ……?
「「「「あー……」」」」
「へぶっ!?」
お、おごっ……顔面……! うっ、口に砂入った……!
……え、砂?
「ころびましたな」
「こけましたな」
「みごとにいったですな」
「ぼくらもきーぬけてたです」
「これはもどれませぬな」
……は? 戻れない……?
顔の痛みに耐えて顔を上げる。
ぅ……眩しい……じりじりと皮膚を焼くような陽の光だ……。
……陽の光? 俺はさっきまで、暗い森の中にいたはずなのに……?
目が光に慣れてきたぞ……。
ゆっくり目を開いて、辺りを見渡す。
抜けるように青い空。楽しそうに空に浮かぶ白い雲。
目の前に広がる広大な海。
…………。
は? 海?
足元には砂浜。
振り返っても砂浜。まるで砂漠のように無限に広がる砂浜には、木々も草花も何一つない。
無限に広がる空、無限に広がる海、無限に広がる砂浜。
…………。
「ここは……どこだ……?」
困惑も困惑。
何故こうなったのか、ありえない現象に脳が追い付かない。
何なんだ、これは……?
どこまでも続く海。
その海面に、レッドドレスフィッシュが楽しそうに跳ねた。
◆◆◆
「っ!? タナト!?」
えっ、何? エリオラちゃん?
今まで精霊族と楽しそうに遊んでいたエリオラちゃんが、動揺を隠しきれない目でタナトが消えた森の先を見る。
「ど、どうしたのエリオラちゃん。まだタナトは戻って来てないけど……」
「……そん、な……そんな訳ない……何で……どうして……?」
……エリオラちゃんが困惑してる……? 一体何があったの……?
『まさか……そんなはず……!』
「いない……どこにもいないのだわ……」
「る、ルーシーさんもイライザさんも、どうしたんですか……?」
私とエミュールちゃんだけが置いてけぼり。
一体何があったのだろう……。
「エリオラちゃん、タナトに何かあったの……?」
「……分からない……本当に、いきなり……」
エリオラちゃんの目から、一筋の涙が溢れ──。
「この世界から、タナトの気配が消えた……」
──とんでもないことを、口走った。
──第三章 完──
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