外れスキル【釣り】を極限にまで極めた結果 〜《神器》も美少女も釣れるようになったけどスローライフはやめません。〜
第7話 比喩じゃばーかばーか!
「『なん……だと……!?』」
いやそんなに驚愕されても……。
『ままま魔族側と人間側が融和だと……!? し、信じられん……!』
「驚き桃の木山椒の木……」
こんなに驚かれるなんて……まさか……。
「お前らは、人間と敵対する魔族なのか?」
今の時代も、少なからず人間と敵対する魔族は存在する。そいつらは人間との融和を望んでおらず、今でも秘密裏に争いの火種になっていると聞くが……。
そんなことを考えてると、エリオラは首を横に振った。
「違う。私は、当時から融和を望んでいた。私が魔王になり、人間と和解するのが、私の目的」
『じゃがイヴァロンは、それとは正反対。混沌と破壊を望む奴であったが……まさか、人間と魔族が和解するとは……』
当時の魔族と人間の関係は分からない。だがこの反応からするに、かなりの確執があったみたいだな。
「ああ。和解に徹したのは、当時の各国の王。それに、紫電の魔女イライザと呼ばれる魔族だったらしい」
『イライザが!?』
「嘘……」
魔族と人間が和解したという話以上に、二人共驚いていた。
「知り合いか?」
「……妹。でも、イヴァロンと同じ、混沌と破壊を望む魔族だった。……どうして……」
……そうか、妹だったんだな……。
「……そこまでは知らないが、確かにある時から、人が変わったかのように人間との融和の為に人生を捧げるよあになったって聞いたことがある。……もしかしたらお前が封印されて、思うところがあったんだろう」
「…………」
「イライザは魔族にとっても、人間にとっても、最も偉大な魔族として語られている。今はもう亡くなってるが……イライザがいたおかげで、今の俺達がある。エリオラも家族として、誇っていいと思うぞ」
「……ん……ありがと、タナト。イライザは、自慢の妹よ」
小さく、まるで花のように微笑むエリオラ。そんな笑顔を見て、柄にもなくときめいてしまったのは内緒だ。
『おいタナト。助けてくれたことには感謝するが、エリィに欲情するでないぞ』
「……えっち」
「ししししとらんわ!」
くそぅ、たかがペンダントのくせに目ざといヤツめ……!
「と、ところで、お前らはこれからどうする? お前らが封印されてから三〇〇〇年も経ってるんだ。多分、家ももう無いとは思うぞ」
「あ……ルーシー、どうしよ?」
『う、うぅむ……本来なら、融和を目的とした旅に出るところであったが……』
……まあ、そうなるよな。いきなり三〇〇〇年も時を超えたんだ。これからどうするかなんて、決まってないか。
「もし行くところがないなら、俺の家に住んでていいぞ」
『なんと!?』
「……いいの?」
「ああ。俺、三時間の睡眠以外ここで釣りしてるから、家にほとんど帰らないんだよ。両親も死んでて一人暮らしだから、好きに使っていいぞ」
というか、最近は家まで要らないんじゃないかと思い始めてきたところだ。潰して更地にするくらいなら、エリオラ達に住んでてもらった方が何かといいだろうし。
「……どうして?」
「何がだ?」
「……どうして、私達に優しくしてくれの……?」
「別に優しくしてるつもりはない。全部、成り行きだ」
俺はのんびり釣りをしながら暮らしていければ、それでいいのさ。
『……そなたが神か……』
「タナト神様……」
「やめような、その呼び方。……お?」
何かが釣り針に掛かったみたいだが……なんだ? いつもと感触の違う引きだな。
『! タナトっ、引いてる、引いてるぞ!』
「がんばれっ、タナトっ」
「はしゃぐなはしゃぐな。よっ」
獲物を勢いよく釣り上げる。が……なんだ、武器か。今まで釣りあげたことのない武器だが……何だこれ。槍?
『……は? え、それは……』
「あ、期待させてすまんな。魚じゃなくてガラクタを釣っちまった」
『え? ガラク……え?』
「ああ。俺、【釣り】スキルを持っててさ、レベルを上げたら武器とかアイテムまで釣れるようになったんだ。俺には無用の長物だから、全部ゴミなんだけどさ」
槍から釣り針を取って、ガラクタの山に投げ捨てる。
『…………』
「…………」
……何だよ、そんなアホ面晒して。女の子がはしたないぞ。
『……き、き……!』
え、何?
『……きっっっさまぁ!!!! かかかか神から与えられし至高の武器をガラクタ扱いするとは何事じゃあああああああ!!!!』
「お許しください神様。ごめんなさい」
激怒するルーシー。空に向けてぺこぺこするエリオラ。……何のことだ?
『タナト! 貴様あの武器がどんなものか分かってるんじゃろな!?』
「いや、知らん」
『し、知ら……!? これはな! 神が創りしこの世に二つと無い最高峰の武器の一つじゃ! 名を《神器グングニル》! 戦闘に興味のある、いや興味のない奴でも喉から手が出るほど欲しい一品じゃぞ!?』
「お前喉ないじゃん」
『比喩じゃばーかばーか!』
ええ……そんなにキレなくても……。
「じゃあお前らにやるよ。ついでにその辺のガラクタ山から、適当に好きなの持って行ってくれ」
『じゃから、ガラクタと……!』
「ルーシー、待って。あれ……」
『む?』
エリオラが何かに惹かれたように、ガラクタ山に走っていく。
「これ……」
『……え、まさか……いやそんなはず……』
「んー? ……ああ、その変な液体の入った瓶か。気持ち悪い色してるし、正真正銘のゴミだぞ」
「『…………』」
……おい、何か反応しろよ。
「『……ふ……』」
ふ?
「『……不老不死の原液を、ゴミ扱いするなーーーーーーーーーー!!!!』」
いやそんなに驚愕されても……。
『ままま魔族側と人間側が融和だと……!? し、信じられん……!』
「驚き桃の木山椒の木……」
こんなに驚かれるなんて……まさか……。
「お前らは、人間と敵対する魔族なのか?」
今の時代も、少なからず人間と敵対する魔族は存在する。そいつらは人間との融和を望んでおらず、今でも秘密裏に争いの火種になっていると聞くが……。
そんなことを考えてると、エリオラは首を横に振った。
「違う。私は、当時から融和を望んでいた。私が魔王になり、人間と和解するのが、私の目的」
『じゃがイヴァロンは、それとは正反対。混沌と破壊を望む奴であったが……まさか、人間と魔族が和解するとは……』
当時の魔族と人間の関係は分からない。だがこの反応からするに、かなりの確執があったみたいだな。
「ああ。和解に徹したのは、当時の各国の王。それに、紫電の魔女イライザと呼ばれる魔族だったらしい」
『イライザが!?』
「嘘……」
魔族と人間が和解したという話以上に、二人共驚いていた。
「知り合いか?」
「……妹。でも、イヴァロンと同じ、混沌と破壊を望む魔族だった。……どうして……」
……そうか、妹だったんだな……。
「……そこまでは知らないが、確かにある時から、人が変わったかのように人間との融和の為に人生を捧げるよあになったって聞いたことがある。……もしかしたらお前が封印されて、思うところがあったんだろう」
「…………」
「イライザは魔族にとっても、人間にとっても、最も偉大な魔族として語られている。今はもう亡くなってるが……イライザがいたおかげで、今の俺達がある。エリオラも家族として、誇っていいと思うぞ」
「……ん……ありがと、タナト。イライザは、自慢の妹よ」
小さく、まるで花のように微笑むエリオラ。そんな笑顔を見て、柄にもなくときめいてしまったのは内緒だ。
『おいタナト。助けてくれたことには感謝するが、エリィに欲情するでないぞ』
「……えっち」
「ししししとらんわ!」
くそぅ、たかがペンダントのくせに目ざといヤツめ……!
「と、ところで、お前らはこれからどうする? お前らが封印されてから三〇〇〇年も経ってるんだ。多分、家ももう無いとは思うぞ」
「あ……ルーシー、どうしよ?」
『う、うぅむ……本来なら、融和を目的とした旅に出るところであったが……』
……まあ、そうなるよな。いきなり三〇〇〇年も時を超えたんだ。これからどうするかなんて、決まってないか。
「もし行くところがないなら、俺の家に住んでていいぞ」
『なんと!?』
「……いいの?」
「ああ。俺、三時間の睡眠以外ここで釣りしてるから、家にほとんど帰らないんだよ。両親も死んでて一人暮らしだから、好きに使っていいぞ」
というか、最近は家まで要らないんじゃないかと思い始めてきたところだ。潰して更地にするくらいなら、エリオラ達に住んでてもらった方が何かといいだろうし。
「……どうして?」
「何がだ?」
「……どうして、私達に優しくしてくれの……?」
「別に優しくしてるつもりはない。全部、成り行きだ」
俺はのんびり釣りをしながら暮らしていければ、それでいいのさ。
『……そなたが神か……』
「タナト神様……」
「やめような、その呼び方。……お?」
何かが釣り針に掛かったみたいだが……なんだ? いつもと感触の違う引きだな。
『! タナトっ、引いてる、引いてるぞ!』
「がんばれっ、タナトっ」
「はしゃぐなはしゃぐな。よっ」
獲物を勢いよく釣り上げる。が……なんだ、武器か。今まで釣りあげたことのない武器だが……何だこれ。槍?
『……は? え、それは……』
「あ、期待させてすまんな。魚じゃなくてガラクタを釣っちまった」
『え? ガラク……え?』
「ああ。俺、【釣り】スキルを持っててさ、レベルを上げたら武器とかアイテムまで釣れるようになったんだ。俺には無用の長物だから、全部ゴミなんだけどさ」
槍から釣り針を取って、ガラクタの山に投げ捨てる。
『…………』
「…………」
……何だよ、そんなアホ面晒して。女の子がはしたないぞ。
『……き、き……!』
え、何?
『……きっっっさまぁ!!!! かかかか神から与えられし至高の武器をガラクタ扱いするとは何事じゃあああああああ!!!!』
「お許しください神様。ごめんなさい」
激怒するルーシー。空に向けてぺこぺこするエリオラ。……何のことだ?
『タナト! 貴様あの武器がどんなものか分かってるんじゃろな!?』
「いや、知らん」
『し、知ら……!? これはな! 神が創りしこの世に二つと無い最高峰の武器の一つじゃ! 名を《神器グングニル》! 戦闘に興味のある、いや興味のない奴でも喉から手が出るほど欲しい一品じゃぞ!?』
「お前喉ないじゃん」
『比喩じゃばーかばーか!』
ええ……そんなにキレなくても……。
「じゃあお前らにやるよ。ついでにその辺のガラクタ山から、適当に好きなの持って行ってくれ」
『じゃから、ガラクタと……!』
「ルーシー、待って。あれ……」
『む?』
エリオラが何かに惹かれたように、ガラクタ山に走っていく。
「これ……」
『……え、まさか……いやそんなはず……』
「んー? ……ああ、その変な液体の入った瓶か。気持ち悪い色してるし、正真正銘のゴミだぞ」
「『…………』」
……おい、何か反応しろよ。
「『……ふ……』」
ふ?
「『……不老不死の原液を、ゴミ扱いするなーーーーーーーーーー!!!!』」
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