神器コレクター 〜ダンジョンでドロップする『種』が、神器に育つことを俺だけが知っている。今更返せと言われてももう遅い。勝手に捨てたのはそっちじゃないですか〜
第21話:そしてお姉さんぶる
◆◆◆
「なるほど……ホワイト・リザードの捕獲依頼はフェイクで、狙いはレアルさんの命だったと……」
ギルドに戻り、モモナに奴とのことを報告した。
どうやら、ギルドの方でもホワイト・リザードが荒野から消えたという報告を受けていたらしい。
その前に俺達が出発してたから、入れ違いになったんだな。
モモナは申し訳なさそうな顔で腰を折った。
「ごめんなさい。直ぐに連絡出来ればよかったんだけど……」
「気にするな。それよりあいつら……いや、あいつはまた俺を狙いに来ると思う」
「……分かったわ。マスターに報告してもらいたいから、ついてきて」
モモナについて行き、ノーツレンさんに報告するべくギルドの奥へと進む。
「マスター、失礼します。至急報告したいことが……え?」
「モモナさん、どーした……えっ!?」
「ニャッ!?」
……どうしたんだよ、皆揃って唖然として。
俺も中の様子を確認しようと覗き込む。と……。
「大変……大変申し訳なかったァ!」
部屋の一番奥。椅子に座っているのはノーツレンさん。
そしてその手前で、綺麗な土下座をかましているのは……アーノルド国王陛下がいた。
……………………何これ?
「はぁ……陛下、顔をお上げください」
「し、しかし、儂が軽率にあんなことをしたからレアルくんは……!」
「レアルなら来てますよ。後ろにいます」
「なんと!?」
がばぁっ! 物凄い勢いで振り返ってきた。
「レアルくん……すまなかったレアルくん! 儂を許してくれぇ!」
「えっ、ちょっ、はあぁ!?」
だだだだ抱きついてくんな! いくら陛下と言えど男に泣かれながら抱きつかれるのは嫌なんだけど!?
「ほら陛下、レアルも困ってるでしょう。離れてください」
「うっ……す、すまん。つい……」
「は、はぁ……いいっすけど……」
ホント、一体全体どういうことなんた……?
陛下が落ち着くのを待ってから話を聞いた。
すると、ソブロが俺の元に来たのはアーノルド様が発端だということが分かった。
「つまり、陛下がリバイソン王国の国王に俺のことを話し、それが王国抱えのパーティーである【龍號】の元メンバーだと知った。そのため、俺を取り戻すか神器を手に入れるためにクロムス国へとやって来た……ってことっすか」
「う、うむ。国境警備隊から、リバイソン王国の【龍號】というパーティーが入国したと連絡を受けての。何故入国したのか、調べてみたのじゃ。そうしたら……」
言い淀む国王様。
だが、なるほどな。だからあいつは、俺が神器で強くなったのを知ってたんだ。
アーノルド様、リバイソン王国国王、ソブロ。この順番で情報が渡ったんだろうな。
「気にしないでほしいっす、アーノルド様。俺は大丈夫っすから」
「……かたじけない。ありがとう」
目を伏せて感謝の言葉を口にするアーノルド様。
だが……なるほど、だからさっきアーノルド様は、ノーツレンさんに土下座してたのね。……あれは見なかったことにしよう。
あの光景をそっと胸の中に閉じ込めると、ノーツレンさんが口を開いた。
「レアルの報告では、奴らは荒野の北にいるらしいな……モモナ、緊急指名手配だ。奴らを捕えた者に百万ゴールド出す。Sランク任務として──」
「待ってくれ、ノーツレンさん」
緊急指名手配……確かに悪くない手だとは思う。Sランカーの冒険者パーティーなら、あいつらとも張り合えるかもしれない。
それでも。
「これは俺の問題だ。あいつらは俺が止める。ギルドは、あいつらを見掛けたら俺へ情報提供してほしい」
「……出来るか? 元仲間だろ?」
「出来る。それにあいつらの強さ、やり方を考えると、俺が適任っすから」
数週間ではあるが、このギルドのSランクと【龍號】を比べると、どうしても【龍號】の方が強く思える。
無駄な死人、怪我人を出すんだったら、俺がなんとかするしかない。
「……分かった。では通信用の魔石をギルド所属の冒険者に配るよう手配しよう。陛下、よろしくお願いします」
「あい分かった。任せておけ」
「ノーツレンさん、アーノルド様。ありがとうっす」
よし、これでギルドと国の両方から協力を得ることが出来たぞ。
この後、奴らの人相や特徴を全員に共有し、この日は解散となった。
◆◆◆
「にゃふっ……疲れましたぁ……!」
「はは。お疲れ様、フラン」
宿部屋にて、人型に戻ったフラン。
よく見ると頬が少し擦り切れていた。
アスクラピウスの杖を取り出し、フランの体の異常を全て治すと、満面の笑みを浮べた。
「ありがとうございます、レアルさん!」
「いや、気にすんな」
備え付けの椅子に腰掛け、ベッドの上に横になるフランを見る。相変わらず無防備過ぎるぞこいつ……。
「……なあ、フラン。フォルンは強かったか?」
「……認めたくはないですが、強かったです。首輪がなければ余裕で勝てますが、これを付けてると……恐らく、僅かに向こうの方が強いです」
フォルン……やっぱり、あいつの強さも本物か。
特に弓使いと風魔法は相性が悪い。飛んでいる矢は、風の影響を受けやすいから。
しかもフランはダークエルフ族の族長だぞ。そんな奴に、ここまで言わしめるフラン……どうやって対処するか。
それに、他の奴らもAランクの冒険者だ。
今回はフーナがなんとか押さえたけど、もう少し時間が掛かると逆に押されてたかもしれない。
やっぱり強いんだな、あいつら。
くそ、どうしたら……!
机に肘をついてどうするか考えていると──ギュッ。
「大丈夫ですよ、レアルさん」
「っ……ふ、フラン……?」
えっ、な……抱きつい、て……!?
俺の背後から抱きつき、耳元で甘い声が響く。
「大丈夫です、安心して。私がいます。皆がいます。みんなみんな、レアルさんの味方です」
更に力を込めて抱きついてくるフラン。
やややややっ、柔らッ……! 二つのやわらか戦車がッ! 俺の理性に進軍中……! やばっ、これは……!
「お、おうっ、分かった。分かったから離れてくれっ」
「駄目です、離れません。ほら、体だって震えてるじゃないですか。怖かったんですよね、よしよし」
恐怖による震えじゃねーよ、緊張による震えだよ!
こいつ、もしや胸が当たってることに気付いてないか……!?
「ふふ。レアルさん、震えちゃって……可愛いです♡ お姉ちゃんに、甘えてもいいんですよ……♡」
耳から入ってくる声が、脳を麻痺させる。
脳が思考力を失い、理性がゴリゴリ削られていくのが分かる。
耐えろっ、耐えろ俺の理性……! ここで耐えないでいつ耐える……! そんな男よがりの理由で理性を飛ばすなんて許されないぞ……!
太ももを抓って理性を留めていると……ひぃっ! フランが首元に顔を埋めてきやがった!?
「すーーー……はぁーーー……あぁ、いい匂い……猫の時も思いましたが、どうやら私……レアルさんの匂いが好きみたいです……♡」
ブツンッ。
何かが切れた音が頭の中に響いた。
「フランッ……!」
「キャッ……♪」
フランを抱き締めてベッドに押し倒す。
俺の体の下で、発情した雌の顔をするフラン。
「お前、分かっててあんなことしただろ」
「ふふ、なんのことですかぁ?」
「食えない女だ」
「教えてあげますよ、レアルさん。エルフ族は長寿故に性欲は少ないですが……一度気に入った異性を見つけると、こんな風になるんです」
俺の首に手を回し、舌なめずりをする。
ああ、もう止められない。もう我慢出来ない。
俺も服を脱ぎ、ズボンに手を掛け──。
ズガアアアアアアァァァァッッッ!!!!
「「っ!?」」
「あれ、軽くノックしただけなのに壊れちゃった……まあいいや」
この、声ッ! フーナ!?
フランは慌てたように猫型になり、ベッドから飛び降りる。
「お邪魔しまーす。あ、レアルさ……っ! ごごごごめんなさい! 着替えるところだった!?」
「……いや、気にするな……」
一気に理性が戻ってきた。よかった……頼むから仕事してくれよ、理性さん……。
ベッドの縁に座ると、フランが俺の膝に飛び乗って丸くなった。
こいつ、人の気も知らないで……はぁ。次二人っきりになった時、俺我慢出来るかなぁ……。
「なるほど……ホワイト・リザードの捕獲依頼はフェイクで、狙いはレアルさんの命だったと……」
ギルドに戻り、モモナに奴とのことを報告した。
どうやら、ギルドの方でもホワイト・リザードが荒野から消えたという報告を受けていたらしい。
その前に俺達が出発してたから、入れ違いになったんだな。
モモナは申し訳なさそうな顔で腰を折った。
「ごめんなさい。直ぐに連絡出来ればよかったんだけど……」
「気にするな。それよりあいつら……いや、あいつはまた俺を狙いに来ると思う」
「……分かったわ。マスターに報告してもらいたいから、ついてきて」
モモナについて行き、ノーツレンさんに報告するべくギルドの奥へと進む。
「マスター、失礼します。至急報告したいことが……え?」
「モモナさん、どーした……えっ!?」
「ニャッ!?」
……どうしたんだよ、皆揃って唖然として。
俺も中の様子を確認しようと覗き込む。と……。
「大変……大変申し訳なかったァ!」
部屋の一番奥。椅子に座っているのはノーツレンさん。
そしてその手前で、綺麗な土下座をかましているのは……アーノルド国王陛下がいた。
……………………何これ?
「はぁ……陛下、顔をお上げください」
「し、しかし、儂が軽率にあんなことをしたからレアルくんは……!」
「レアルなら来てますよ。後ろにいます」
「なんと!?」
がばぁっ! 物凄い勢いで振り返ってきた。
「レアルくん……すまなかったレアルくん! 儂を許してくれぇ!」
「えっ、ちょっ、はあぁ!?」
だだだだ抱きついてくんな! いくら陛下と言えど男に泣かれながら抱きつかれるのは嫌なんだけど!?
「ほら陛下、レアルも困ってるでしょう。離れてください」
「うっ……す、すまん。つい……」
「は、はぁ……いいっすけど……」
ホント、一体全体どういうことなんた……?
陛下が落ち着くのを待ってから話を聞いた。
すると、ソブロが俺の元に来たのはアーノルド様が発端だということが分かった。
「つまり、陛下がリバイソン王国の国王に俺のことを話し、それが王国抱えのパーティーである【龍號】の元メンバーだと知った。そのため、俺を取り戻すか神器を手に入れるためにクロムス国へとやって来た……ってことっすか」
「う、うむ。国境警備隊から、リバイソン王国の【龍號】というパーティーが入国したと連絡を受けての。何故入国したのか、調べてみたのじゃ。そうしたら……」
言い淀む国王様。
だが、なるほどな。だからあいつは、俺が神器で強くなったのを知ってたんだ。
アーノルド様、リバイソン王国国王、ソブロ。この順番で情報が渡ったんだろうな。
「気にしないでほしいっす、アーノルド様。俺は大丈夫っすから」
「……かたじけない。ありがとう」
目を伏せて感謝の言葉を口にするアーノルド様。
だが……なるほど、だからさっきアーノルド様は、ノーツレンさんに土下座してたのね。……あれは見なかったことにしよう。
あの光景をそっと胸の中に閉じ込めると、ノーツレンさんが口を開いた。
「レアルの報告では、奴らは荒野の北にいるらしいな……モモナ、緊急指名手配だ。奴らを捕えた者に百万ゴールド出す。Sランク任務として──」
「待ってくれ、ノーツレンさん」
緊急指名手配……確かに悪くない手だとは思う。Sランカーの冒険者パーティーなら、あいつらとも張り合えるかもしれない。
それでも。
「これは俺の問題だ。あいつらは俺が止める。ギルドは、あいつらを見掛けたら俺へ情報提供してほしい」
「……出来るか? 元仲間だろ?」
「出来る。それにあいつらの強さ、やり方を考えると、俺が適任っすから」
数週間ではあるが、このギルドのSランクと【龍號】を比べると、どうしても【龍號】の方が強く思える。
無駄な死人、怪我人を出すんだったら、俺がなんとかするしかない。
「……分かった。では通信用の魔石をギルド所属の冒険者に配るよう手配しよう。陛下、よろしくお願いします」
「あい分かった。任せておけ」
「ノーツレンさん、アーノルド様。ありがとうっす」
よし、これでギルドと国の両方から協力を得ることが出来たぞ。
この後、奴らの人相や特徴を全員に共有し、この日は解散となった。
◆◆◆
「にゃふっ……疲れましたぁ……!」
「はは。お疲れ様、フラン」
宿部屋にて、人型に戻ったフラン。
よく見ると頬が少し擦り切れていた。
アスクラピウスの杖を取り出し、フランの体の異常を全て治すと、満面の笑みを浮べた。
「ありがとうございます、レアルさん!」
「いや、気にすんな」
備え付けの椅子に腰掛け、ベッドの上に横になるフランを見る。相変わらず無防備過ぎるぞこいつ……。
「……なあ、フラン。フォルンは強かったか?」
「……認めたくはないですが、強かったです。首輪がなければ余裕で勝てますが、これを付けてると……恐らく、僅かに向こうの方が強いです」
フォルン……やっぱり、あいつの強さも本物か。
特に弓使いと風魔法は相性が悪い。飛んでいる矢は、風の影響を受けやすいから。
しかもフランはダークエルフ族の族長だぞ。そんな奴に、ここまで言わしめるフラン……どうやって対処するか。
それに、他の奴らもAランクの冒険者だ。
今回はフーナがなんとか押さえたけど、もう少し時間が掛かると逆に押されてたかもしれない。
やっぱり強いんだな、あいつら。
くそ、どうしたら……!
机に肘をついてどうするか考えていると──ギュッ。
「大丈夫ですよ、レアルさん」
「っ……ふ、フラン……?」
えっ、な……抱きつい、て……!?
俺の背後から抱きつき、耳元で甘い声が響く。
「大丈夫です、安心して。私がいます。皆がいます。みんなみんな、レアルさんの味方です」
更に力を込めて抱きついてくるフラン。
やややややっ、柔らッ……! 二つのやわらか戦車がッ! 俺の理性に進軍中……! やばっ、これは……!
「お、おうっ、分かった。分かったから離れてくれっ」
「駄目です、離れません。ほら、体だって震えてるじゃないですか。怖かったんですよね、よしよし」
恐怖による震えじゃねーよ、緊張による震えだよ!
こいつ、もしや胸が当たってることに気付いてないか……!?
「ふふ。レアルさん、震えちゃって……可愛いです♡ お姉ちゃんに、甘えてもいいんですよ……♡」
耳から入ってくる声が、脳を麻痺させる。
脳が思考力を失い、理性がゴリゴリ削られていくのが分かる。
耐えろっ、耐えろ俺の理性……! ここで耐えないでいつ耐える……! そんな男よがりの理由で理性を飛ばすなんて許されないぞ……!
太ももを抓って理性を留めていると……ひぃっ! フランが首元に顔を埋めてきやがった!?
「すーーー……はぁーーー……あぁ、いい匂い……猫の時も思いましたが、どうやら私……レアルさんの匂いが好きみたいです……♡」
ブツンッ。
何かが切れた音が頭の中に響いた。
「フランッ……!」
「キャッ……♪」
フランを抱き締めてベッドに押し倒す。
俺の体の下で、発情した雌の顔をするフラン。
「お前、分かっててあんなことしただろ」
「ふふ、なんのことですかぁ?」
「食えない女だ」
「教えてあげますよ、レアルさん。エルフ族は長寿故に性欲は少ないですが……一度気に入った異性を見つけると、こんな風になるんです」
俺の首に手を回し、舌なめずりをする。
ああ、もう止められない。もう我慢出来ない。
俺も服を脱ぎ、ズボンに手を掛け──。
ズガアアアアアアァァァァッッッ!!!!
「「っ!?」」
「あれ、軽くノックしただけなのに壊れちゃった……まあいいや」
この、声ッ! フーナ!?
フランは慌てたように猫型になり、ベッドから飛び降りる。
「お邪魔しまーす。あ、レアルさ……っ! ごごごごめんなさい! 着替えるところだった!?」
「……いや、気にするな……」
一気に理性が戻ってきた。よかった……頼むから仕事してくれよ、理性さん……。
ベッドの縁に座ると、フランが俺の膝に飛び乗って丸くなった。
こいつ、人の気も知らないで……はぁ。次二人っきりになった時、俺我慢出来るかなぁ……。
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