神器コレクター 〜ダンジョンでドロップする『種』が、神器に育つことを俺だけが知っている。今更返せと言われてももう遅い。勝手に捨てたのはそっちじゃないですか〜
第19話:そして飲み込む
ソブロの強みは剣の技量だけじゃない。その魔力量だ。
剣士以上の剣技を身に付け、魔法師以上の魔力量を持つ化け物。
それに加え、黒剣リブンドは黒龍の牙から作られた、折れない、曲がらない、欠けない最上級の業物だ。
これが、【龍號】のリーダーであるソブロの力。
「レアル、死んでくれ。お前の全てを俺に捧げて!」
体から吹き荒れる魔力が、まるで分厚い鎧になるかのようにソブロの体へまとわりつく。
デュランダルの魔法無効なら、あれも容易く突破出来るだろう。
だが……俺とソブロの力の差では、それも難しい。
ならどうするか。
──物量で押し切る!
「モルペウスの指輪!」
デュランダルを複製。数は十本。
そいつらを俺の周囲に浮かばせると、二本のデュランダルを手に構えた。
それを見たソブロは、楽しそうに笑う。
「懐かしいなぁレアル。お前は双剣使いだったもんなぁ。……で、お前それで俺に勝てたことあったか?」
来る……!
「遅い」
「ッ!」
もう目の前に……!
直感で体勢を低くする。
俺の胴体があった場所を剣が通過し、髪が僅かに斬られた。
やべぇっ、ギリギリだ……!
何とか左右から挟むようにデュランダルを振るうが、ソブロは既に間合いから離れている。
「ひはははは! おせーおせー!」
「……相変わらず、すばしっこいな」
数十歩の間合いを一瞬で詰める縮地の歩法。
それに合わせ、意識の隙間を縫うように歩く隠密。
ソブロが一番得意とする戦法だ。知ってなければ、今ので俺は死んでただろう。
「俺は別に遊びに来たわけじゃないんだ。直ぐに終わらせるぜ」
直後、ソブロの体が発火。
あれは炎属性の身体強化魔法、《火纏》。
身体能力、破壊力を爆発的に向上する、ソブロの得意魔法の一つだ。
「テメェを殺し、テメェの全てを俺の糧にする!」
「くそっ……!」
やっぱり見えねぇ……!
縮地、隠密、それに《火纏》。
この三つを組み合わせたソブロは、常人なら斬られたことすら気付かずに死に至る。
が……オーディンの目には全て映る!
右、左、右、右、左、下、上──ここ!
ソブロの動きを予測し、デュランダルを振るう。
「……ッ……!?」
チッ、避けられた……!
だが僅かに触れたらしい。
ソブロの頬から、鮮血が流れる。
「へぇ……やっぱり神器ってのはスゲェんだな。あのクソザコレアルが、俺に創を付けたぜ!」
「俺としては、首を跳ね飛ばすつもりだったんだがな」
「ハッハー! 無理無理! いくら神器があろうと、テメェ程度の実力じゃ俺には勝てねぇよ!」
チッ、さっきより速いッ。
オーディンの目があっても避けるのに精一杯で、反撃出来ない……!
横からの薙ぎ払い。頭上からの斬り下し。反転して斬り上げ。
しかも斬撃に炎を纏わせ、線ではなく面の攻撃を仕掛けてくる……!
「オラオラオラァ! さっきまでの威勢はどーしたよォ!」
「くっ……!」
ソブロの動きは、常人では到達できない域に達している。
今それを避けられてるのも神器のおかげだ。
だがそれも、炎の攻撃を避けきれず徐々に肉を焼く。
「レアルさん! うっ!」
「フシャァーッ!」
流石のフーナも、数の多さに圧倒されている。
フランも何度か攻撃を仕掛けるが、フォルンの動きも超人だ。動きに規則性がなく、攻撃を当てることが出来ていない。
このままじゃジリ貧だ……!
どうするっ、どうするっ、どうす……あ。
……一つだけ、思い付いた。
あれを使えばこの状況を何とか出来るかもしれない。
「飛翔剣・炎龍!」
「ッッ!?」
炎が、龍の形に……!
まるで龍のように蠢く炎の剣撃が俺へと迫る。
何とかその場から跳んで回避する。
炎の斬撃は不規則に動きながら、逃げる俺を追撃してきた。
「無駄だ無駄だ! こいつは当たるまで追い続けるぜ!」
くそ……! 考えてる暇はないか……!
ソロモン王の絨毯を使い、フランとフーナを無理やり乗せて上空へと逃がす。
そして──。
「来い、波浪の盾オハン!」
アクアマリン色の金属で作られた、俺の身長ほどもある大盾。その中央には、美しい女性の横顔が刻まれている。
そいつを思い切り地面に突き立て、炎の斬撃を受ける。
瞬間。
『キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ──!!!!!!』
盾に刻まれた女性が、涙を流しながら絶叫を上げる。
「なっ、何っ……!?」
「う、うるさーい!」
「ニャァ……!」
この場にいる全員、女の絶叫のせいで硬直する。
オハンに巨大な魔法陣が浮かび上がり、
荒野を覆うほどの大津波が現れた。
「「「は……はあああああああああああああああああああああああぁぁぁ!?!?!?」」」
おおっ。アカシックレコード曰く、こいつがダメージを受けると三大波浪並の大津波を発生させるらしいが……こいつは予想以上だ!
「さあ飲み込め! こいつらを大海に沈めろォ!!!!」
剣士以上の剣技を身に付け、魔法師以上の魔力量を持つ化け物。
それに加え、黒剣リブンドは黒龍の牙から作られた、折れない、曲がらない、欠けない最上級の業物だ。
これが、【龍號】のリーダーであるソブロの力。
「レアル、死んでくれ。お前の全てを俺に捧げて!」
体から吹き荒れる魔力が、まるで分厚い鎧になるかのようにソブロの体へまとわりつく。
デュランダルの魔法無効なら、あれも容易く突破出来るだろう。
だが……俺とソブロの力の差では、それも難しい。
ならどうするか。
──物量で押し切る!
「モルペウスの指輪!」
デュランダルを複製。数は十本。
そいつらを俺の周囲に浮かばせると、二本のデュランダルを手に構えた。
それを見たソブロは、楽しそうに笑う。
「懐かしいなぁレアル。お前は双剣使いだったもんなぁ。……で、お前それで俺に勝てたことあったか?」
来る……!
「遅い」
「ッ!」
もう目の前に……!
直感で体勢を低くする。
俺の胴体があった場所を剣が通過し、髪が僅かに斬られた。
やべぇっ、ギリギリだ……!
何とか左右から挟むようにデュランダルを振るうが、ソブロは既に間合いから離れている。
「ひはははは! おせーおせー!」
「……相変わらず、すばしっこいな」
数十歩の間合いを一瞬で詰める縮地の歩法。
それに合わせ、意識の隙間を縫うように歩く隠密。
ソブロが一番得意とする戦法だ。知ってなければ、今ので俺は死んでただろう。
「俺は別に遊びに来たわけじゃないんだ。直ぐに終わらせるぜ」
直後、ソブロの体が発火。
あれは炎属性の身体強化魔法、《火纏》。
身体能力、破壊力を爆発的に向上する、ソブロの得意魔法の一つだ。
「テメェを殺し、テメェの全てを俺の糧にする!」
「くそっ……!」
やっぱり見えねぇ……!
縮地、隠密、それに《火纏》。
この三つを組み合わせたソブロは、常人なら斬られたことすら気付かずに死に至る。
が……オーディンの目には全て映る!
右、左、右、右、左、下、上──ここ!
ソブロの動きを予測し、デュランダルを振るう。
「……ッ……!?」
チッ、避けられた……!
だが僅かに触れたらしい。
ソブロの頬から、鮮血が流れる。
「へぇ……やっぱり神器ってのはスゲェんだな。あのクソザコレアルが、俺に創を付けたぜ!」
「俺としては、首を跳ね飛ばすつもりだったんだがな」
「ハッハー! 無理無理! いくら神器があろうと、テメェ程度の実力じゃ俺には勝てねぇよ!」
チッ、さっきより速いッ。
オーディンの目があっても避けるのに精一杯で、反撃出来ない……!
横からの薙ぎ払い。頭上からの斬り下し。反転して斬り上げ。
しかも斬撃に炎を纏わせ、線ではなく面の攻撃を仕掛けてくる……!
「オラオラオラァ! さっきまでの威勢はどーしたよォ!」
「くっ……!」
ソブロの動きは、常人では到達できない域に達している。
今それを避けられてるのも神器のおかげだ。
だがそれも、炎の攻撃を避けきれず徐々に肉を焼く。
「レアルさん! うっ!」
「フシャァーッ!」
流石のフーナも、数の多さに圧倒されている。
フランも何度か攻撃を仕掛けるが、フォルンの動きも超人だ。動きに規則性がなく、攻撃を当てることが出来ていない。
このままじゃジリ貧だ……!
どうするっ、どうするっ、どうす……あ。
……一つだけ、思い付いた。
あれを使えばこの状況を何とか出来るかもしれない。
「飛翔剣・炎龍!」
「ッッ!?」
炎が、龍の形に……!
まるで龍のように蠢く炎の剣撃が俺へと迫る。
何とかその場から跳んで回避する。
炎の斬撃は不規則に動きながら、逃げる俺を追撃してきた。
「無駄だ無駄だ! こいつは当たるまで追い続けるぜ!」
くそ……! 考えてる暇はないか……!
ソロモン王の絨毯を使い、フランとフーナを無理やり乗せて上空へと逃がす。
そして──。
「来い、波浪の盾オハン!」
アクアマリン色の金属で作られた、俺の身長ほどもある大盾。その中央には、美しい女性の横顔が刻まれている。
そいつを思い切り地面に突き立て、炎の斬撃を受ける。
瞬間。
『キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ──!!!!!!』
盾に刻まれた女性が、涙を流しながら絶叫を上げる。
「なっ、何っ……!?」
「う、うるさーい!」
「ニャァ……!」
この場にいる全員、女の絶叫のせいで硬直する。
オハンに巨大な魔法陣が浮かび上がり、
荒野を覆うほどの大津波が現れた。
「「「は……はあああああああああああああああああああああああぁぁぁ!?!?!?」」」
おおっ。アカシックレコード曰く、こいつがダメージを受けると三大波浪並の大津波を発生させるらしいが……こいつは予想以上だ!
「さあ飲み込め! こいつらを大海に沈めろォ!!!!」
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