預言者エルマの七転八倒人生 破滅フラグは足音を立ててやってくる!

野良ぱんだ

4章 第12話 ヨシ!断罪だ!

マックス氏もディビドもそれぞれ活動しているのに何もしないのも何だかなぁ、と思い昼下がりは大体フラウエン孤児院へ足を運んでは子供達に逢いにいっていた。

孤児院の子供達と仲良くなって遊んだり聖典を元にした物語を語ったり簡単なお菓子を作ってみんなで食べたりするとみんな喜んでくれるのでいつでも全力なのだ!

まぁ実の所マックス氏は何か思い詰めて鍛錬に余念も無いし、ディビドとは数々の過剰なスキンシップのせいで何か気恥ずかしさと罪悪感から2人でいるのが居た堪れないせいで、どこか気を紛らす為にそんな事をしているのかもしれない。

フラウエン孤児院の庭でみんなに聖典のお話をした後の事だ。

「ねぇねぇエルマ様ずっとここに来てくれるの?」

小さな女の子がエルマさんの膝に座りながら尋ねる。

「そうねぇ...サンソンお墓を綺麗にする仕事が終わったらバーレに戻らなきゃいけないの」

「ええーずっとここにいて欲しいよぅ...」
「帰っちゃうの?嫌だぁ...」「帰らないで!」

その女の子はぐずる、周りの子供たちも帰って欲しくないのか騒ぎはじめる。

「もうさぁエルマ様がヨアヒム様と結婚したらいいんじゃない!そうすればここでずーっと居てくれるじゃない!」

子供の1人がまるでとてもいい事を思いついたようにはしゃいでそんな事を言い出す。

「わぁそうだね!ヨアヒム様とっても優しいしカッコいいし、エルマ様お似合いだと思うよ!」

「ごめんね...私は神様と結婚するから司祭ヨアヒムとは結婚できないなぁ」

「えーそうなの?」

「でもまたロストックに来た時にはすぐに遊びに来るから!それにまだ暫くはここに滞在する予定だしね」

そう言って子供達を次々頭を撫でであげると笑顔を見せてくれる。

「うん!」「わかった」「約束だよ!」

「おやおや...またみんなエルマ様にお願いしてたのかい?エルマ様がお優しいからって迷惑かけては駄目ですよ」

ヨアヒムがやってきて子供達を嗜める。

「ずっとここにいて欲しいからヨアヒム様と結婚すればってお願いしてたのー」

子供の1人がまだ諦めきれてなかったのかそんな事を言い出したらヨアヒムの顔が真っ赤になる。

「な!何をお願いしてるかと思ったら!駄目に決まっているでしょうに!ええええエルマ様申し訳ございません!」

ヨアヒムは慌てて頭を下げる、耳元も真っ赤だ。

「大丈夫ですよ司祭ヨアヒム、頭を上げて下さい」

慌てるヨアヒムの姿がちょっと可愛く思うのは彼が女性のように綺麗だからなんだろうねぇ。

「す...すみません...まだ幼い子供ばかりなので...ほらみんな時間ですよ、エルマ様を解放して上げて!」

そう言われ子供達はじゃあね!また明日も来てね!と言ってそれぞれの部屋に戻っていく。

「...すみません、あの子達はきっと母親が恋しいからそんな事を言い出したんでしょう...ここ女性で子供達を世話する人間がいないので」

「そう言えば司祭ヨアヒム、貴方以外でここを切り盛りしている人を見てはいませんが...」

「ええ、食事や勉強で修道士がやってくる事はありますがそれ以外は私や年長の子供達が見ているんです」

「え?でもここの子供達の数からは...」

たしか年長子も入れて20人以上はいるぞ!クレメンス一体何やってるんだ!

「ああ...いえなんか前任の司祭や修道士と余り子供達とうまくやれなかったらしくて子供達も嫌がるので私がお願いしてるのです」

何か引っかかる...それになんかここの修道士達もおかしいしな、ディビドの報告書が出来たら教皇様とおじさまに相談して司祭長の移動なども検討してもらった方がいいかもしれない。

「そうでしたか...もし差し支えなければ気になる事が幾つかあるので司祭ヨアヒム教えていただきたいのですが」

「...はい、でもここでは込み入った話も出来ないので客室へ」

そう促され客室へ案内された。

お茶を用意するヨアヒムの姿がなんか疲れているようだ...しかも何か身体が毒など受けている人の様に淀んでいる...なんだろう?

「司祭ヨアヒム、だいぶ疲れてませんか?」

「え?」

「ちょっと腰掛けて貰えます?」

最近詠唱無しで単体のヒールやクリアランスができるようになったのでヨアヒムを椅子に座らせおでこに手を当てて同時にかける。

ふわっとヨアヒムの周囲が光り回復術が巡る...これは疲れだけではない...身体に外傷があったりする場合の回復だ!

「あ!なんか身体が!」

「ヒールとクリアランスを同時にかけました...どうも何か身体の中が毒で淀んでいるみたいな感じだったので」

「え!」

ヨアヒムは目を丸くする...もしかして自身の淀みの原因を知っているのか?

そう言ったら急にヨアヒムはぼろぼろと泣き出す。

「司祭ヨアヒム!どうされたんですか!」

「ああ...預言者エルマ様!どうか罪深い私をお救い下さい!」

ローブの裾を掴んでヨアヒムは啜り泣きながら告白する...その内容は余りにも酷い話で生理的嫌悪を催すものだったのだ。

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※ゲーム豆知識
神聖言語系の術の補足
ヒール、エリアヒール、リザレクションに関しては通常は詠唱など無しで使われるため正式名が実は無い(全部癒しの奇跡のため)
あとヒールを極めるとクリアランスの効果も付随する。
ちなみに神罰の際に聖典の一節を読むのは罪人に対する断罪と神に対する敬意の為である。

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