預言者エルマの七転八倒人生 破滅フラグは足音を立ててやってくる!

野良ぱんだ

4章 第6話 聖サンソンの墓へ行くよ!


聖サンソンの墓へ向かって連れてこられた場所には、街の外れに大きな石作りの建物があり鉄の扉の前には南領騎士団の警備兵が数人警備として立っている。

「ここが聖サンソンの墓です、おーい俺だギュンターだ!門を開けてくれ」

そうギュンターは言うと警備兵は門を開く。

中に入ると奥に子供くらいの大きさの石がぽつりと置いてある、そこには古代ウルム文字で『神の僕サンソンの墓』と刻まれている。

「この墓の後ろに地下に通じる階段があり、奥にダガンの神殿跡があるんです、その奥にダガンの封印の間があります」

そう言ってギュンターは墓の後ろにある鉄の取手付きの蓋を開けるとそこには石作りの階段があった。

「あくまでもこの石はサンソンの墓の目印でしか無いです、サンソンはダガンと共に崩壊した神殿内で命がけで鉄槌を下してますからね、実際はダガンの封印のすぐ横にサンソンは眠っています」

ランプに火をつけて地下へ進む。

狭い道をそのまま歩くと急に開けた間が現れる。

目の前には大きな鉄製の扉が現れ、二つ鍵穴がある。

「同時に鍵を差し込んで回す事によってこの扉が開きますので鍵を」

そう言われ二つ鍵を取り出すとマックス氏とディビドがそれを受け取り鍵を差し込み回す。

するとガチャっと大きな音が聞こえる、扉を押して開くとダガンの崩れた神殿跡が現れる。

「ダガン神殿はサンソンが殴り倒した際に地に深く埋まりました、ただサンソンを埋葬したい人々が先程の道を作りサンソンの骨を拾い埋めてその墓標を立てたとされてます。」

そうギュンターは周囲を見回す。

「暗いですね、灯りを灯しましょうか?」

「でしたら私が」

ディビドは炎の術式を展開させ元々設置されていたトーチに灯を灯す。

「術士だったのか?」

「ウルム出身で元は術学者の端くれでして、その地で教えに感銘を受けて洗礼を受けて宣教師になったのです、それをエルマ様の目に留まりましてこうした時に参加させて貰ってます」

ディビドの話は事実と嘘が折り混ざる、全て嘘でもない所がまるで真実味を帯びるのだ。

確かに彼は術学者でウルムでもその立場を今も持っているため遺跡探査に参加する事もできた訳だし自身の本来の姿を隠す為に宣教師にもなった訳だが古代ウルム語翻訳の件も含めつくづく有能な男だと思う。

天井も吹き飛び柱のみのダガン神殿の中心部にめり込む様に封印式が展開されていた。

ぼんやり赤く光るガラスのような半球の素材でその中に薄ら禁呪の書き板が見える。

「封印がかなり弱まっていますね...あと1回か2回儀式を行えば封印式が破られますね...これは」

ディビドはそれを見たあとすぐに羊皮紙を開き念写画を焼き写す。

「ざっくり読むと封印式解除に彼の神の奴隷...トラウゴッドの信者という意味ですね、生贄に信者の臓物と目玉を10体分...余程ダガンはサンソンに倒された事が気に召さないらしい...」

ディビドはそう言い捨てる。そう言えばいつの間にか古代ウルム文字読めるようになってるとかすごくないか?

「浄化をしておいた方が多少はダガンの力が弱まるかな」

「いえ、ここまで弱まっているならもうさらなる封印をかける方がいいでしょう...その前に悪魔崇拝者達を締め上げないと意味を成さないでしょうからね」

「そうかぁ」

ふと封印式のすぐ隣を見る、そこには倒壊しかけている柱とは違う白い石でできた小さな石碑がある。

「本物のサンソンの墓...」

そう、この場所は悪魔ダガンの策略でサンソンが捕まり目を潰されたが、神の祝福を受け最後の力を振り絞ってサンソンが神罰『裁き鉄槌』でダガンを殴り倒して封じた場所、そしてサンソンは命尽き果てた場所なのだと実感する。

サンソンの墓の前にしゃがみ込み祈る。

「聖サンソン...安らかに眠れる時が来るといいですね...」

ここに聖サンソンの墓を建てたのにはきっと悪魔が永遠に封じられる事を願ってという気持ちもあるのだろう...聖サンソンだって本来はエルマさんとおんなじただの人なんだと思う、なのにダガンの横に墓を作られるのも何だかかわいそうだ...

その瞬間、一瞬目の前が真っ白になった。

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※ゲーム豆知識
聖サンソンの墓の役割
悪魔ダガンの封印された場所であり聖サンソンの墓でもある場所だが、ダガンが目覚めて欲しく無い人々からサンソンの骨をダガンの封印の横に埋め墓を作っている。
ただし死んだサンソンの骨には何の力もない、次の話で預言者であるエルマは時間を遡りサンソンに出会う奇跡を果たすことができるが墓や骨に力があったからでは無い。

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