預言者エルマの七転八倒人生 破滅フラグは足音を立ててやってくる!
3章 第3話 悪魔ダガンの邪悪な影
ロストック辺境伯の元で一泊した次の日に聖サンソンの墓を管轄しているフラウエン教会へ向かう。
司祭長クレメンスに会う為だ。
「預言者様、俺が教会まで案内致しますね」
そうテオドールが名乗り出てくれたが騎士団長にして貰うには申し訳ない気がするなぁ...でもまぁ断るとロストック辺境伯が何か言いそうな気がしたからそのまま提案を受け教会まで案内してもらう。
フラウエン教会はアルトマイヤー寺院の次に古い歴史を持つトラウゴッド教の施設である。
ロストックの地の建物が基本石作りの厳ついものが多いがフラウエン教会もそれに倣った建物だ。
内部は聖サンソンが悪魔ダガンを倒す姿をステンドグラスで表現されている。
「おお!預言者エルマ様!お久しぶりです!」
司祭長クレメンスだ、度々彼はバーレに訪れているので一応顔見知りである、まぁ実際対応はヘルムートおじさまが対応するから顔しか知らないレベルだが。
白い司祭服を身につけた恰幅の良いおじさんでたしか50歳になったんじゃないかなぁ。黒髪にチラチラと白髪が見える。
後ろには修道士の若い男女が並んで頭を下げている。
「ああ皆さんどうか頭を上げてください」
そう言って皆が頭を上げたのを確認してから自己紹介する。
「私はエルマ、バーレのアルトマイヤー寺院より此方へ伺いました、預言者としての力を頂いておりますが皆さんと同じ神の僕です」
「おお、神の寵愛を受けながらもなんて謙遜な方なのでしょう!」
クレメンスがそう言うと両手を握ってきた、なんか撫で付けてきて気持ち悪いなぁ...あと後ろの2人の殺気が怖いわぁ
目の前のおじさんが殺されかねない気がしたため手を離し要件を伝える。
「先に連絡を入れた件で聖サンソンの墓へ入る為に鍵をお借りしに来ました」
「ええそうでしたね、修道士リタ!鍵を!」
そう言われ若い赤毛の女の子の修道士が赤く染めた絹の布の包みを持ってきて渡される。
中にはやや大きめの古い鍵が入っていた。
「ありがとうございます、準備が整い次第聖サンソンの墓に入るのでそれが済むまでお借り致します」
そう言った瞬間予知スキルで頭に警報音が響く。
「!」
周辺を見回す、この音の発生源は誰だ!
「エルマ様、どうされましたか!」
ディビドが駆け寄りマックス氏が大剣を構えてエルマさんを匿うように前に立つ。
「予知が...何か悪い者が近くにいる!」
それを聞いてテオドールもハルバードを構える、周囲の修道士達はあたふたし始める。
音が響く方向を見ると冷静に立ち尽くす修道士が薄笑いを浮かべて此方を見つめていた。
『神に敵する邪悪な者よ!蝗の軍勢は邪悪な者の領地を食い荒らす!残るものは何もない!』
エクソダスロッドを向けて蝗の災厄の一節を叫ぶ、蝗が一斉にその修道士に向けて飛び立襲いかかるがぶわりと修道士の身体が煙の様に霧散する。
「実態がない!」
『燃え尽くせ!ディーフランメ!』
それを察したディビドは火の術式を展開し黒い霧の様な存在に向けるも燃える火はぶつかる前に消失する。
「チッ、幻影か!」
そうディビドは舌打ちをして言い捨てる。
「エルマ様、攻撃しても無駄です...まぁあちらも攻撃など出来ませんしね...なぁ悪魔よ!」
『ほう?分かるか』
黒い霧は再度人の姿を取るが、黒い髪を長く伸ばした金の瞳の美しい顔の若い男、トーガを身に付けてはいるが...顔以外皮膚が鉄でできた様な鱗で被われている異形の姿...後ろのステンドグラスに描かれた悪魔ダガンの姿そのものだ!
『我は鉄と戦いを司る神ダガン!憎き彼の神の奴隷サンソンにより痛手を被ったが我が復活は間近である!我を称えよ!復活の為の生贄を捧げよ!さすれば我が祝福を授けてやろう!』
「悪魔が神を名乗るとは烏滸がましい、悪魔ダガンよ!」
ダガンの幻影にロッドを向けて言い捨てる。
『ほぅその姿、北のアスモデウス共の贄でありながら彼の神の下僕...いいやこの神性...あの憎きサンソンと同じ預言者か!』
ダガンの幻影は憎しみを込めて此方を睨みつける。
「私は悪魔のお前を復活など決してさせはしない!万が一復活しても悪魔ダガンよ私が直に貴様を滅ぼす!」
『ははは、人如きが滅ぼすことなど出来はせぬぞ!では復活の時が来たら真っ先に貴様を血祭りに上げてやろう!』
ダガンはスゥっと姿を消していく。
周囲を見回すと修道士達は恐れ慄く者や此方を向いて神に祈りを捧げる者と様々だがクレメンスは腰を抜かして身動きが取れないようだ。
「皆さん!ダガンの幻影は消えました!悪魔の甘言に唆されてはなりません、あの悪魔は幻影すら出せぬように封じます!さぁ心安らかに!」
皆を落ち着かせる為に声をかける。
「ああ、預言者エルマ様...ぜひ救いを!」
「救いを!」
「エルマ様!」
修道士達はエルマさんを崇め始め取り囲みだしたのでマックス氏とディビド、テオドールがその人集りを止めようとする。
「私を崇めてはなりません!救いは神より与えられます!さぁ創造者であり忠実なる神(トラウゴッド)に祈りを捧げてください!」
なんかアルトマイヤー寺院の修道士達と違って怖い!神以外に崇拝しちゃあダメだって教えられているのに何で?とにかく神に祈りを捧げさせてこの場を収めなきゃダメだと思ってそう言うものの全く収まる気がしない。
「貴様らあっっ!エルマ様から離れよっ!」
マックス氏が殺気を放ちながらドスの効いた声で怒鳴り声を上げると流石にみんなびっくりして止まってしまう。
「ま...マックス氏...」
「エルマ様、ここの修道士達は何か狂信的じみてます、これは何時もエルマ様が言っていた神の望む信仰の形とは言えません!さぁまずこの場を離れましょう」
そう言われ腕を掴まれ外へ向かう、それにディビドとテオドールも共に外へと出て行った。
ーーーー
※ゲーム豆知識
フラウエン教会
エアヴァルド国内で2番目に古い由緒ある教会。
現在司祭長クレメンスが仕切っているが黒い噂が絶えない。
司祭長クレメンスに会う為だ。
「預言者様、俺が教会まで案内致しますね」
そうテオドールが名乗り出てくれたが騎士団長にして貰うには申し訳ない気がするなぁ...でもまぁ断るとロストック辺境伯が何か言いそうな気がしたからそのまま提案を受け教会まで案内してもらう。
フラウエン教会はアルトマイヤー寺院の次に古い歴史を持つトラウゴッド教の施設である。
ロストックの地の建物が基本石作りの厳ついものが多いがフラウエン教会もそれに倣った建物だ。
内部は聖サンソンが悪魔ダガンを倒す姿をステンドグラスで表現されている。
「おお!預言者エルマ様!お久しぶりです!」
司祭長クレメンスだ、度々彼はバーレに訪れているので一応顔見知りである、まぁ実際対応はヘルムートおじさまが対応するから顔しか知らないレベルだが。
白い司祭服を身につけた恰幅の良いおじさんでたしか50歳になったんじゃないかなぁ。黒髪にチラチラと白髪が見える。
後ろには修道士の若い男女が並んで頭を下げている。
「ああ皆さんどうか頭を上げてください」
そう言って皆が頭を上げたのを確認してから自己紹介する。
「私はエルマ、バーレのアルトマイヤー寺院より此方へ伺いました、預言者としての力を頂いておりますが皆さんと同じ神の僕です」
「おお、神の寵愛を受けながらもなんて謙遜な方なのでしょう!」
クレメンスがそう言うと両手を握ってきた、なんか撫で付けてきて気持ち悪いなぁ...あと後ろの2人の殺気が怖いわぁ
目の前のおじさんが殺されかねない気がしたため手を離し要件を伝える。
「先に連絡を入れた件で聖サンソンの墓へ入る為に鍵をお借りしに来ました」
「ええそうでしたね、修道士リタ!鍵を!」
そう言われ若い赤毛の女の子の修道士が赤く染めた絹の布の包みを持ってきて渡される。
中にはやや大きめの古い鍵が入っていた。
「ありがとうございます、準備が整い次第聖サンソンの墓に入るのでそれが済むまでお借り致します」
そう言った瞬間予知スキルで頭に警報音が響く。
「!」
周辺を見回す、この音の発生源は誰だ!
「エルマ様、どうされましたか!」
ディビドが駆け寄りマックス氏が大剣を構えてエルマさんを匿うように前に立つ。
「予知が...何か悪い者が近くにいる!」
それを聞いてテオドールもハルバードを構える、周囲の修道士達はあたふたし始める。
音が響く方向を見ると冷静に立ち尽くす修道士が薄笑いを浮かべて此方を見つめていた。
『神に敵する邪悪な者よ!蝗の軍勢は邪悪な者の領地を食い荒らす!残るものは何もない!』
エクソダスロッドを向けて蝗の災厄の一節を叫ぶ、蝗が一斉にその修道士に向けて飛び立襲いかかるがぶわりと修道士の身体が煙の様に霧散する。
「実態がない!」
『燃え尽くせ!ディーフランメ!』
それを察したディビドは火の術式を展開し黒い霧の様な存在に向けるも燃える火はぶつかる前に消失する。
「チッ、幻影か!」
そうディビドは舌打ちをして言い捨てる。
「エルマ様、攻撃しても無駄です...まぁあちらも攻撃など出来ませんしね...なぁ悪魔よ!」
『ほう?分かるか』
黒い霧は再度人の姿を取るが、黒い髪を長く伸ばした金の瞳の美しい顔の若い男、トーガを身に付けてはいるが...顔以外皮膚が鉄でできた様な鱗で被われている異形の姿...後ろのステンドグラスに描かれた悪魔ダガンの姿そのものだ!
『我は鉄と戦いを司る神ダガン!憎き彼の神の奴隷サンソンにより痛手を被ったが我が復活は間近である!我を称えよ!復活の為の生贄を捧げよ!さすれば我が祝福を授けてやろう!』
「悪魔が神を名乗るとは烏滸がましい、悪魔ダガンよ!」
ダガンの幻影にロッドを向けて言い捨てる。
『ほぅその姿、北のアスモデウス共の贄でありながら彼の神の下僕...いいやこの神性...あの憎きサンソンと同じ預言者か!』
ダガンの幻影は憎しみを込めて此方を睨みつける。
「私は悪魔のお前を復活など決してさせはしない!万が一復活しても悪魔ダガンよ私が直に貴様を滅ぼす!」
『ははは、人如きが滅ぼすことなど出来はせぬぞ!では復活の時が来たら真っ先に貴様を血祭りに上げてやろう!』
ダガンはスゥっと姿を消していく。
周囲を見回すと修道士達は恐れ慄く者や此方を向いて神に祈りを捧げる者と様々だがクレメンスは腰を抜かして身動きが取れないようだ。
「皆さん!ダガンの幻影は消えました!悪魔の甘言に唆されてはなりません、あの悪魔は幻影すら出せぬように封じます!さぁ心安らかに!」
皆を落ち着かせる為に声をかける。
「ああ、預言者エルマ様...ぜひ救いを!」
「救いを!」
「エルマ様!」
修道士達はエルマさんを崇め始め取り囲みだしたのでマックス氏とディビド、テオドールがその人集りを止めようとする。
「私を崇めてはなりません!救いは神より与えられます!さぁ創造者であり忠実なる神(トラウゴッド)に祈りを捧げてください!」
なんかアルトマイヤー寺院の修道士達と違って怖い!神以外に崇拝しちゃあダメだって教えられているのに何で?とにかく神に祈りを捧げさせてこの場を収めなきゃダメだと思ってそう言うものの全く収まる気がしない。
「貴様らあっっ!エルマ様から離れよっ!」
マックス氏が殺気を放ちながらドスの効いた声で怒鳴り声を上げると流石にみんなびっくりして止まってしまう。
「ま...マックス氏...」
「エルマ様、ここの修道士達は何か狂信的じみてます、これは何時もエルマ様が言っていた神の望む信仰の形とは言えません!さぁまずこの場を離れましょう」
そう言われ腕を掴まれ外へ向かう、それにディビドとテオドールも共に外へと出て行った。
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