イントロバートガール·シヴァルリィ~無気力少女の異世界冒険記

コラム

第百九十九話 三人娘

――ソニックがビクニを寝かして立ち上がっていたとき――。


地上ではリンリと女神が戦っていた。


たがいにちゅうを動きまわりながら魔力をぶつけ合っている。


「ほらどうしたの? 私を倒すと言っていたのに、まさかこの程度ていどじゃないわよね?」


戦いは女神が優勢ゆうせい


たとえリンリが魔力をはなっても女神はそれを相殺そうさい


さらに女神の身をまもるために周囲しゅういいている剣を飛ばしてくるため、手数てかずが追いつかない。


絶対的ぜったいてき不利ふりの中――。


そこへレヴィとリョウタ、少しおくれてリムが到着とうちゃくする。


それを見た女神はリンリを無理やり下がらすと、彼女たちよりもさらに上へとゆっくり浮かんでいった。


「どうやらまだ楽しませてくれるみたいね」


浮いてる女神を見上みあげながら、レヴィは近寄ちかってきたリンリに状況じょうきょうく。


リンリは、ルバートはすでに宝石ほうせきへと変わり、イルソーレとラルーナの二人もおそらく彼と同じだとつたえた。


レヴィはとりあえず三人が無事であることを安心したが、すさまじい魔力を感じさせるリンリですら女神を止められないことに恐怖きょうふを感じる。


事情じじょうはレヴィから聞きました。あなたを信用しんようしていいのですね?」


リムがリンリにたずねると、彼女は笑顔でコクッとうなづく。


そしてその手をリムへとばし、彼女の手を強引ごういんつかんだ。


「うん! よろしくね。な~に、あたしひとりじゃ無理だったけど、こっちはこれで四人! 絶対ぜったいに負けないよ!」


想像そうぞうしていた人物とかけはなれていたのか。


リムはそのあまりの能天気のうてんきさにめんを食らっていた。


そんな彼女たちへ――。


女神が声をかけ始める。


「そこの武道家ぶどうかの子。あなたの身体からワルキューレの魔力を感じるけど。あの子はどうなったのかしら?」


リムは倒したワルキューレ本人ほんにん意思いしで、彼女からその魔力をさずかっていた。


そのことに気が付いた女神は、一体何があったのかをリムにたずねた。


「あの人は……最後さいごまであなたのために立派りっぱに戦いました……」


それからリムは、ワルキューレとの戦いがどんなものだったかを話した。


こちらの呼びかけにこたえず、女神への忠誠心ちゅうせいしんがけしてるがなかったこと――。


竜人族りゅうじんぞくほこりを持って自分の優位ゆういり、正々堂々せいせいどうとうと向かい合ってくれたことなどを、彼女の死にざまがいかにうつくしかったのかを詳細しょうさいつたえる。


それを聞いていたレヴィもリンリもかなしそうな顔をしていた。


レヴィにはなんとなくわかったのだろう。


義侠心ぎきょうしんを大事にするリムがこうまで言うのだ。


そのいのちつきるまで戦った素晴すばらしい騎士きしであったのだろうと。


一方いっぽうでリンリのほうは――。


ワルキューレと共にいた時期は女神にあやつられていたようだが、彼女に好感こうかんを持っていたようだ。


きっとこの世界で、誰よりもかざらないワルキューレを知っている人物は、リンリだけなのかもしれない。


それぞれが思い思いの反応を見せるか中――。


女神だけがワルキューレの死にあきれていた。


女神はフンとはならしながら、ワルキューレのことを口にする。


「バカな子。せっかくちからあたえてやったというのに。こんなことなら最初さいしょから洗脳せんのう魔法をかけておくべきだったわ」


女神は、土壇場どたんば私情しじょうられるなど、使えない者のすることだと言いはなった。


所詮しょせんほろびゆく竜人族。


こうなることは必然ひつぜんだったのかもしれないと、女神に忠誠をちかったワルキューレのことを愚弄ぐろうし始めている。


そんな女神へ――。


当然閃光せんこうのような光が二つとやりおそいかかった。


女神はこれをなんとか防御ぼうぎょ


その飛んできた方向ほうこうからは――。


「リムは、あの人への侮辱ぶじょくゆるさないのです!」


――リムが気功技きこうわざオーラフィスト――。


「ワルキューレちゃんのこと悪く言うなッ!」


――リンリは光魔法――。


てきとはいえ忠誠をくした騎士への暴言ぼうげん……。聞きてならんな」


――レヴィも続いて宝槍ほうそうグングニルを投げた後。


彼女たち三人は一斉いっせいに女神へ気をいた。


そんな中でリョウタは出るに出られず、ただ三人の後ろでこの後にどうすればいいかを考えていた。

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