宇宙の就活生
第5話 銀河のはるか反対側
銀河のはるか反対側、恒星シリウスから30万光年のかなたで、エリーゼ・ダモグレスはチューグ星の海をすっ飛ばしていた。人口衛星の軌道制御や宇宙探査機の航行に用いられるイオンエンジンを搭載した宇宙艇が、チューグ星の太陽を受けて神々しく輝いていた。
チューグ星があるチューグ星雲は、地球がある天の川銀河より知名度が低くおまけにずっと辺境だった。
しかし、だからこそコンキスタ号は誰にも知られずに開発された。
艇は海をぐんぐん飛ばしていく。それでも宇宙に飛び立つまでのポイントに到着するのは、もう少し時間がかかる。その訳はチューダ星の複雑な地形にあった。大きな大陸はなく、中小異なった島々がいくつも集まってできたので気をつけなければ艇をどこかにぶつけてしまう。おまけにその島々は全て砂漠に飲み込まれていた。とても知的生命体が住めるような場所ではない。
この環境と複雑な乙女の心のような地形のせいで、チューダ星は昔から無人の惑星であった。だからこそ、この銀河の絶対的な力をもつ人工星ギガテスターと四つの星からなる銀河連合政府はコンキスタ号のプロジェクトのためにこの星を選んだのだ。
風を切り艇は進む。今日というこの日。連合政府の至高の傑作コンキスタ号が銀河にお披露目となる輝かしい日。それはエリーゼにとっても長年の目標達成を祝う日だった。連合政府の役人になったのもこの日のためだった。
エリーゼはニヤリとして、さらに艇のスピードをあげた。エリーゼは幼い頃から自分の父親を捜していた。宇宙歴にして十年前に亡くなった母親の最後の手紙を届けて、他の星に出て行ったきり帰ってこなかった父親をぶん殴るために。
「エリーゼ大変よ! 連合政府が追ってきてる!」
「やぁカオルコ」
エリーゼはカオルコにそう言った。
彼女はちらりと不安そうな表情を浮かべたが、エリーゼは操縦桿を握りながら振り返り親し気な笑顔を向ける。
「やっぱり勝手に持ってくのまずかったかな」
「盗んだのはいけないわ、しっかり許可をもらわなきゃ。謝ったら許してもらえるの?」
「無理だね、殺されちゃうよ」
「それは困ったね、でも私の国では土下座と言う最強の謝り方があってね」
カオルコは希望に満ちた目でエリーゼに話しをかけていた。エリーゼは後方に見える敵の宇宙艇を観察しながら舵をとる。
ほんの退屈しのぎに訪れた惑星で、仲良くなりエリーゼが連れてきた娘だ。スレンダーでスタイルが良く、人型だ。背中にかかる長い綺麗な黒髪に純白の肌。クリっとした丸い目はアーモンドを焦がしたような美しい茶色の目をしていた。彼女は日本人だったが、もっとも、日本人はつい最近この宇宙に存在しなくなったわけだが、存在していたとしても30万光年も離れた星ではあまりに関心は引かなかった。
「ねぇ大丈夫なの?」
「なんとかなるよ」
コンキスタ号は空に向かって舞い上がった。エリーゼは今さら届いた父親からの手紙から、今どこにいるのか見当がおおよそついていた。
「宇宙にでたらさっそくワープしよう、亜空間に入ったらランチを作ってくれないか?」
カオルコにウインクをすると、彼女は眉を上げ、目を丸くして見せた。
チューグ星があるチューグ星雲は、地球がある天の川銀河より知名度が低くおまけにずっと辺境だった。
しかし、だからこそコンキスタ号は誰にも知られずに開発された。
艇は海をぐんぐん飛ばしていく。それでも宇宙に飛び立つまでのポイントに到着するのは、もう少し時間がかかる。その訳はチューダ星の複雑な地形にあった。大きな大陸はなく、中小異なった島々がいくつも集まってできたので気をつけなければ艇をどこかにぶつけてしまう。おまけにその島々は全て砂漠に飲み込まれていた。とても知的生命体が住めるような場所ではない。
この環境と複雑な乙女の心のような地形のせいで、チューダ星は昔から無人の惑星であった。だからこそ、この銀河の絶対的な力をもつ人工星ギガテスターと四つの星からなる銀河連合政府はコンキスタ号のプロジェクトのためにこの星を選んだのだ。
風を切り艇は進む。今日というこの日。連合政府の至高の傑作コンキスタ号が銀河にお披露目となる輝かしい日。それはエリーゼにとっても長年の目標達成を祝う日だった。連合政府の役人になったのもこの日のためだった。
エリーゼはニヤリとして、さらに艇のスピードをあげた。エリーゼは幼い頃から自分の父親を捜していた。宇宙歴にして十年前に亡くなった母親の最後の手紙を届けて、他の星に出て行ったきり帰ってこなかった父親をぶん殴るために。
「エリーゼ大変よ! 連合政府が追ってきてる!」
「やぁカオルコ」
エリーゼはカオルコにそう言った。
彼女はちらりと不安そうな表情を浮かべたが、エリーゼは操縦桿を握りながら振り返り親し気な笑顔を向ける。
「やっぱり勝手に持ってくのまずかったかな」
「盗んだのはいけないわ、しっかり許可をもらわなきゃ。謝ったら許してもらえるの?」
「無理だね、殺されちゃうよ」
「それは困ったね、でも私の国では土下座と言う最強の謝り方があってね」
カオルコは希望に満ちた目でエリーゼに話しをかけていた。エリーゼは後方に見える敵の宇宙艇を観察しながら舵をとる。
ほんの退屈しのぎに訪れた惑星で、仲良くなりエリーゼが連れてきた娘だ。スレンダーでスタイルが良く、人型だ。背中にかかる長い綺麗な黒髪に純白の肌。クリっとした丸い目はアーモンドを焦がしたような美しい茶色の目をしていた。彼女は日本人だったが、もっとも、日本人はつい最近この宇宙に存在しなくなったわけだが、存在していたとしても30万光年も離れた星ではあまりに関心は引かなかった。
「ねぇ大丈夫なの?」
「なんとかなるよ」
コンキスタ号は空に向かって舞い上がった。エリーゼは今さら届いた父親からの手紙から、今どこにいるのか見当がおおよそついていた。
「宇宙にでたらさっそくワープしよう、亜空間に入ったらランチを作ってくれないか?」
カオルコにウインクをすると、彼女は眉を上げ、目を丸くして見せた。
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