闇を統べる者

吉岡我龍

ジョーロン -ナーグウェイへ-

 思わぬ事態で『シャリーゼ』に足止めされていたフェイカー達は一ヵ月の間、
城下の修復作業に参加していたが、目処がついたという事でいよいよ北の国境周辺に進軍することになった。

「やっと戦場に行けるのか~長かった~。」
早朝、宿舎の庭に出て若輩者の兵卒が両腕を挙げ大きく背伸びしていると、
「お前はほとんど働いてなかっただろ。ったく。」
『ジグラト』の特産品、黒茶を片手にフェイカーも朝の空気を吸いにきた。
「だって俺は戦う為にこの部隊へ志願したんっすよ!
なんで他国で大工の真似事しなきゃいけないんっすか?!」
まだまだ血気盛んな青年は鼻息を荒くして訴えてくるが、
「あのなぁ、兵卒ってのはそれこそ何でもこなせなきゃいけないんだぞ?
飯炊きから洗濯、傷の手当てに簡易の陣幕作り。それら全てが俺らの仕事なの。」
40歳を超える前4将筆頭は過去の身分などおくびにも出さず、
年長者の一兵卒として新兵にその心得を説いている。
その過去を知る人間が見れば何とも居た堪れない気持ちになるかもしれないが、
彼は今の身分に十分満足していた。
「フェイカーさんはきっちりしてますねぇ。でも何より戦果を上げた方が国は喜んでくれますよね?!」
全く話が耳に入らなかったらしい。
あくまで戦いを機軸に物事を考え話している若輩者。しかしここで怒るような彼ではない。
むしろこういう向こう見ずで信念を持つ若者を好む傾向にあり、
「まぁそこが『ネ=ウィン』のいいところだからな。
だが戦場では焦りが己を殺す場合がある。気持ちは熱く行動は冷静に、だぞ?
あと今回の任務はあくまで斥候だ。わかってるな??」
「うっす!!」
戦いの事にはしっかり耳を傾ける若輩者が若々しい返事を返した。




 『リングストン』という国には6人の副王が存在する。
といっても呼び方が違うだけでほぼ領主と同じ地位だ。
6人がそれぞれの領土を与えられ、そこを治める。
だが領主とは違い世襲制ではない。副王は王が任命して初めて副王になれるのだ。

それでも現在『リングストン』最西に位置するナーグウェイ領では
現副王タフ=レイの弟レッターポ率いる派閥と、
タフ=レイの息子ヤータム率いる派閥が内紛を起こしていた。
領土のあらゆる場所で紛争が起き、戦火は海にも飛び火する。
かつて『羅刹』と呼ばれる男が支配していた西の海は完全に無法状態だ。
物資と資産がどんどん失われる中、お互いの戦力が限界に近くなってもなお続く。

他国からすれば何故王が仲介しないのか?と疑問に思う者もいるだろう。
しかしこれには明確な理由がある。

現副王タフ=レイ、そして弟レッターポ、息子のヤータム。
この3人の権力がリングストン内でも上位を占めるほど大きくなっていた。
独裁国家である『リングストン』王ネヴラディンはこれを良しとせず、
領土内でお互いの戦力を削らせ、力を弱める狙いがあるからだ。
もちろん激しすぎる衝突には口を出し、
絶妙な均衡を保ちつつ3者の積み上げてきた権力を削る必要がある。
本来なら領土を任されているタフ=レイがこれを抑え込むべきだが現在病に伏している為、
まさに泥沼状態だ。

そしてこの日、元々権力的には一番弱かった息子ヤータムの擁する部隊が
港街『ダラウェイ』を占拠することに成功し、本格的に均衡した状況に入った。
「やれやれ。やっとひと段落だな。」
黒髪の青年が相棒である金髪の青年に杯を渡しながら一息つく。
受け取ったサファヴがそれを飲もうと口に近づけ・・・
「・・・水か?よく確保出来たな。」
「川から運ばせたんだよ。港街ならではだな。」
『ダラウェイ』は激しい紛争の結果、街の建物は全壊かよくて半壊、
住人と兵士の死体がそこかしこに転がり異臭と煙がいたる所であがっていた。
井戸も死体や瓦礫で埋め尽くされ、復興にどれだけ時間がかかるのか考えただけでもぞっとする。
これから次の衝突まで死体の処理と隊の再編成、補給に防衛の準備とやることは山積みだ。

黒髪の青年アスワットも自分の手にしている杯で水を一気に飲み干すと、
「とりあえずさっさと部隊を整えないとな。弟君がいつまた襲ってくるかわかんねーし。」
「だな。本国もそろそろ仲裁に入ってくれてもいいと思うんだが。
このままじゃ領内全て更地になるぜ?」
サファヴも杯を掲げ、軽く神に感謝を奉げると一気に飲み干して立ち上がる。
「まだ足りないと思ってるんじゃないの?持ちすぎた巨大な権力を削らなきゃだろ?」
「権力か・・・外敵の心配はしてないのか本国は。」
「そこも含めての権力争いなんじゃねーの?」
この2人は辺境の村出身だが知勇ともに優れている為、上官からの覚えもよかった。
そんな上からの雑談や愚痴からこの争いのぼんやりとした輪郭だけは掴んでいたのだが、
「前みたいに訳のわからん騎士団に襲われるのだけは勘弁してほしいよ。」
休憩を終えた2人はそんな愚痴をこぼしながら野営地へ戻っていった。



 港街『ダラウェイ』を占領してから10日。
この地の復興作業を迅速に進める為ヤータムが各地に招集をかけていた。
港町なだけあって背後から攻められる危険がない上に資源も豊富な為、
この地を盤石にすることがヤータム軍としても最優先に位置付けられたのだ。
目減りしている補給に期待は出来ないが、
人員だけはどんどん集まってきてかなりの速度で街の重要機構が修復、再建築されていく。

そんな中に皆と混じって石材を運ぶ金髪と黒髪の青年。
若さか強さの為か、若干他より目立つ容姿の2人に、
「はい休憩~!休憩時間だよ~!!」
周囲に休憩を促すはつらつとした元気な声が響き、少女が近づいていく。
「あれ?エリーシア?お前も来たのか?」
黒髪のアスワットが汗をぬぐいつつ少女に歩み寄った。
金髪をおさげにした、少しそばかすがあり愛嬌があふれ出ている。
大きな蒼い瞳が目を引くエリーシアと呼ばれた少女は、
「あんた達が生きてるかどうか見てきてっておばさん達に言われたのよ。
全く・・・そろそろ軍人引退したら?」
呆れた顔でそう言う少女に、
「それは無理だ。辞めたらまた身分が下がる。」
金髪のサファヴが答えながら2人に合流する。
強く同意の意思を表して頷くアスワットも、
「『リングストン』じゃ軍人やってるのが一番安定するからな。
戦果次第で昇進も見込めるし。」
『ネ=ウィン』ほど戦闘に特化した国ではないが戦える人間はやはり重宝される。
兼業を前提とした農家や商人よりも地位は高く設定されているのだ。
「だからって死んじゃったら意味ないでしょ?」
エリーシアは2人の生き方には否定的のようで少し嫌悪の表情を浮かべ、暗に反対を伝えるが、
「奴隷に近い身分で細々と生きるくらいなら俺は戦う。」
サファヴは強い意志を乗せて少女を睨みつける。
農家だからといって食えない訳ではないが、ある目標の為には少しでも上の身分を手に入れたい。
「同感だ。他国に行こうにも先立つ物もないし、ここで上を目指すならこれしかないしな。」

『リングストン』王国は独裁国家だ。

身分の絶対的な上下関係はもちろん、金銭という概念がほぼ存在しない。
そんな厳しい国勢の中、国民が他国へ移る事は基本的に禁止。
そしてそれを出来ないように全て配給制となっているのだ。

「・・・そんなに上を目指す必要ある?」
木陰に腰かけ用意した握り飯を2人に配りながら、
理解しがたいといった感じで懐疑的な視線を送るエリーシア。
「お前な。少しでもいい生活を送りたいと思わないのか?」
「そうだぞ?俺は多少の贅沢をしたいしさせたいんだ。」
2人が揃って反論してくるので諦めて口を閉ざすが、
「ん?贅沢をさせたいって、誰に?ご両親?」
「んん?!ま、まぁそんなところだ?」
アスワットが疑問形で答える。
妙にぎくしゃくして非常に怪しく見えるが、この少女も大概鈍感なので何も思わないだろう。
「俺たちには俺たちの生き方がある。女が簡単に口出しするんじゃない。」
サファヴが無言で握り飯を口に運びながら冷たく言い放つと、
エリーシアは口元をとんがらせて、
「男とか女とか関係ないし。色んな人が心配してるから言ってるだけだし。」
そんな調子で3人のいつもの会話がそこで終わる。

彼らが軍人を選んだ意味と、そんな危険から2人を遠ざけたい少女。
年頃になるにつれてそれぞれの思いが強くなり、こうやって衝突する機会が増えていた。





 『リングストン』王国リングストン領。
そこの王城ではネヴラディンが次期副王の選出について考えていた。
ナーグウェイ領に関しては3人の中から1人を選ぶのは決定事項なのだが、
最東で起こってしまったワイルデル領とアデルハイドの戦果が急報で入ってきたのだ。
目も当てられぬ被害の羅列に『粛清』を実行しようと命を下したが、
死を覚悟したファイケルヴィは配下であったハイジヴラムと共に決死隊に参加したらしい。

「・・・おのれファイケルヴィ。」
普段から畏怖の対象として見られている冷酷な王ネヴラデゥンは
激しい怒りに目を吊り立たせ、真っ赤になった顔色も相まって鬼のような形相だ。
その怒りの矛を恐れる臣下は肝を冷やしながら職務を続ける。
失脚させる際には必ず見せしめが必要な独裁国家で、
逃亡の可能性を残したままの位剥奪は自身の絶対的な権力が届かなかったと周囲に見られてしまう。
すぐさま似た容姿の者を代わりに処断し首を城前に晒してはいるが、
そんな事で大王の気分が晴れるわけは無い。
「・・・で、ではワイルデル領の副王は代理のバディールをそのまま据えるという事で?」
恐る恐る最終確認を取る政務官に、
「うむ。後は兵をアルガハバム領から10万送れ。」
失った兵のほとんどが兼業兵だ。
これにより現在のワイルデル領は戦力、生産力共にかなりの低下が考えられる。
まずはそこを補わないと国力の維持が難しくなるので
隣接している暗愚の領内から失った兵数全てを補填させるよう命令を出す。

そしてネヴラディンを怒らせたもう1つの理由。
それが2人共家族を持っていなかったという事だ。
いや、もしかしたらどこかに隠れて養っていた可能性もあるが、
ある程度調査をしてもその形跡は見つけられなかった。
なので人質としてリングストン領で預かるという形を取れなかった。
独裁国家で超集権制を実現出来ている仕組みを、
彼らが優秀かつ従順という理由でそこから免除していたのが完全な裏目となったのだ。
「生死は問わん。必ずあの2人を見つけて我の前に連れて来い。いいな?」
本来であれば失態を犯した者の家族は一族郎党嬲り殺しだ。
それが王の楽しみと権力の誇示に繋がるので正に一石二鳥、やらない手はない。
しかし今回はそれが出来ず、『粛清』対象も勝手に戦場へ赴いた。
これを臣民はどう受け取るか・・・
陰口を叩く者は全て処断すればいいが嘯く輩は判断に困る。
心の中を恐怖で支配してこその『リングストン』なのだ。

「大王、随分お怒りの様子だな。」

絶対的な権力を持つネヴラディンに静かに話しかける男。
その声が周囲の政務官達の耳に届くと一気に場の空気が暖かみを帯びた。
「ラカンか。ワイルデル領で思わぬ事態が起きてな。
その原因2人が決死隊で死地に赴いたらしい。全くけしからん。」
『リングストン』副王にして大将軍を務める側近中の側近に愚痴を漏らす大王。
唯一ネヴラディンと対等に近い位置で話が出来る男が現れたことで、
場の空気が一気に弛緩したのは理不尽な処断が下された時、彼が仲裁してくれるからだ。
権力もさることながら『孤高』の強さを持つと噂されるラカンは、
物静かで自ら目立とうとする行動は取らず常に大王の傍に隠れるよう仕えていた。
「では今は副王不在か・・・私が出向こうか?」
「いいや、もうあちらには手を打った。
それよりもラカンにはナーグウェイ領に行ってもらおうと思う。」
「ほう?」
この発言はついに中央から決定的な仲裁を入れるという意味だ。つまるところ、
「レッターポを擁立せよ。残党の高官は全て処刑、それで地を均せ。」
盛り上げ過ぎていた権力の整理がついたと大王は判断したのだ。
「畏まりました。」
静かにそう答えると、翡翠色の髪を持つラカンはそのまま王の間を後にした。





 「アルヴィーヌ様~!!アルヴィーヌ様~~!!!!」
傷がほぼ全快したハイジヴラムは城内を走りながら大声を上げて王女の名を呼ぶ。
行きかう召使いや兵士にその行方を聞いてまわるが全く居所が掴めない。
この城に運ばれて1月弱。
手厚い看護のお陰ですっかり快復したハイジヴラムは、
スラヴォフィルの提示してきた王女2人の世話役という提案の返答をしなければならない。
そう思って関係者との接触を試みているのだが・・・
「・・・どこに行かれたんだ・・・」
探し続けてもう1週間にもなる。
スラヴォフィルとイルフォシアは任務の為多方を飛び回っているという話は召使いから聞いた。
しかしそれらに従事していないアルヴィーヌは常に城にいるという。
もしかすると城外に出られたのかとも思ったが、流石に1週間姿を見せないのはおかしい。
自らが探しに行きたい気持ちもあるが、まだその任務について全く話が進んでいないのだ。
勝手な判断で世話になったこの城から外に出てしまうのは変な疑いを持たれかねない。
(・・・・・どうしよう・・・・・)
今まで幾多の困難を乗り越えてきた猛将も、この展開には完全にお手上げ状態だ。
困り果てて立ち尽くしていると、
「おや。これはハイジブラム殿。」
優しい男の声が彼を呼んだ。見れば自分が戦闘時に被るような仮面をつけた戦士が歩いてくる。
「おお。確かネイヴン殿。すみませんがアルヴィーヌ様を見かけませんでしたか?」
彼は訳あって仮面をつけているそうだが、話した感じだと非常に社交的で親切な男だ。
それなりの身分を持っているらしいのだがそんな彼でも、
「むぅ。またどこかに遊びに行かれてるのでしょうな。
近場だと城下街にあるご友人宅に遊びに行かれているかもしれませんが・・・」
自由過ぎる彼女の行動には手を焼いている感じだ。
「そ、そうですか・・・いつも王女様はお1人で色んな場所へ赴かれるのですか?」
口に出してはみたものの、いくらなんでもそれは危険すぎる。
恐らく誰かが付いているのだろう。そしてその役目を今回ハイジヴラムに託そうとしているのか。
「そうですね。アル姫様は人と接するのをあまり好まれないようで。
イル姫様やスラヴォフィル様、後は親しいご友人など接触される方は非常に限定されています。」
「むむむ・・・左様ですか。」
しかし体が元に戻ったハイジヴラムはこれ以上何もせずここに留まるのが心苦しいくて仕方なかった。
何としても今日中に世話役の返事を伝えたい。
切羽詰まった彼は出会ってまだ日も浅いネイヴンにその事を伝え、
どうすれば良いか意見を貰おうと相談した所、
「そういう事でしたら宰相にお伝えすればよろしいかと。ご案内しましょう。」
これはまさしく渡りに船だ。喜んで後をついて歩き出した時。
「ハイジだ。」
いきなり後ろから声を掛けられ、背中に抱き着いてくる感触。
「アルヴィーヌ様?!探しましたぞ?!」
「おお。よかったですねハイジヴラム殿。」
探すのを諦めた瞬間王女の方からこちらに接触してきてくれた。
本当は彼女に世話係の件を答えようと思っていたのだが、せっかく宰相の元へ案内してもらえるのだ。
「アルヴィーヌ様。今から宰相様のところへ大事な話をする為に向かいます。
よろしければご同行いただけませんか?」
「えー・・・あの人怖い・・・」
「私も一緒についております。ご安心を。」
ネイヴンも話を合わせてくれる。心強い事この上ない。
「うー・・・わかった。」
こうして3人は宰相の執務室に向かう事となった。



 こんこん。

扉を叩くと召使いが顔を覗かせるので、
「ネイヴンだ。ハイジヴラム殿とアル姫様がお会いになりたいと仰っている。」
「私は会いたくない。」
年相応の素直な発言に思わずたじろいでしまうハイジヴラム。
だが他の2人は慣れたもので、何事も無いように話を進め、すぐに中に通された。
そこには机に向かって何やら書類を作成している老人がいた。
「少し待ってくれ。これだけ仕上げてしまう・・・よし。」
筆を止めて席を立ち、こちらに向かって歩いてくる男は文官らしさの裏に何か獰猛さを匂わせる。
「初めましてハイジヴラム殿。私が『トリスト』王国の宰相ザラールだ。」
そこで手短に挨拶を済ませると来客用の長椅子に座るよう促され、
「で、どういったご用件かな?」
「はい。実はスラヴォフィル様に王女様方の世話役を頼まれておりまして。
1つだけ条件を付けさせていただければこれをお受けしようと考えております。」
真剣な表情になったハイジヴラムの顔を隣に座るアルヴィーヌが見つめている。
あまり子供慣れしていないのでその視線をこそば痒く感じていると、
「お聞きしましょう。」
ザラールが静かに答えてくれたので、
「はい。我が友ファイケルヴィに会わせていただきたい。出来れば定期的に。
2人で杯を交わす時間を設けていただきたいのです。」
「ふむ・・・・・」
手短にささやかな条件を提示すると意外に宰相は口を噤んで考え出した。
(むぅ・・・やはり捕虜に近い扱いか。)
自身ではもう命がない物だとばかり思っていた。
それを拾われた以上『リングストン』への未練を断ち切り、
この純粋な王女の傍に仕えようと考えていたのだが、
肝心の『トリスト』側に彼らを重く用いる気配がないのなら断らざるを得ない。
ハイジヴラムの中ではこの城を去った後の事について考え始める。
「あの御仁は王が大変気に入っておられましてな。その王がまたあちこちに飛び回る男でして。
暇が合えば、という条件でならいくらでも酒を酌み交わしていただいて構わないのですが。」
・・・・・
どうやら自分の考え違いだったらしい。早計に心で恥じ入る中、
「む?では既にファイケルヴィは?」
「はい。現在ですと恐らくアデルハイドで戦後処理。
その後『リングストン』への内部工作の為にアルガハバム領に向かわれるでしょう。」
「!?」
以前アルヴィーヌがこき使われると言っていた事を思い出し、
同時に『リングストン』の将軍だった男にさらりと機密情報を漏らす宰相に目を剥く。
「・・・私が裏切る事をお考えにならないのですか?」
「ファイケルヴィ殿が既に我が国に仕えております故。それとも彼の御仁と敵対するおつもりですか?」
そう言われると何も言い返せない。
敵対や粛清で片方が亡くなるのを避ける為に共に決死隊を組んだのだ。
(私がもたもたしている間に道を開いてくれていたんだな・・・)
「わかりました。王女様方の御世話役、是非受けさせて頂く。」
大きな体で深く頭を下げると、アルヴィーヌが笑顔を浮かべて彼の肩に跨って来た。

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