闇を統べる者
クレイスの憂鬱 -王の侵略-③
「申し訳ございませんが恐らくその黄金城、つまり『マスィール』という国家はこの世界に存在しないでしょう。」
「???お前は何を言っているんだ?」
「サックル、ここは以前私達が住んでいた世界とは異なる場所なのです。貴方が私の店に辿り着いたという事は貴方自身も迷い込んだとみて間違いないでしょう。」
「???」
ウォダーフと違ってより鳥に近い形態だからか、彼は有り得ない程小首を傾げて目をぱちくりとしていると更に同郷の者が口を挟んでくる。
「つまりア=ディラファの黄金城もここにはないんだよ。しかし奴が捕まってるんだったら俺も金を取りに行きたかったなぁ・・・」
「?????」
「すみません皆様。サックルは決して悪い奴ではないのですが如何せん理解力が低くて・・・」
しかし考えてみれば別段おかしなことではない。突然別世界に迷い込んでしまった等そうそう信じられる事でも起こる事でもないのだ。むしろ今までの人物がすんなりと受け入れ過ぎていたのだろう。
「ふむ。ではこう告げましょう。ここは貴方の住む大陸とはずっとかけ離れた地になります。」
なのでショウも別世界という部分を省いて再度説明を始めると120度程傾いていた首が90度くらいに戻って来た。
「ほう?それはどれくらいだ?」
「貴方が二度と戻れない程離れていますね。ですので『マスィール』に辿り着く事も出来ません。」
「・・・・・じゃあここは何処なんだ?」
「ここは『カーラル大陸』と呼ばれる場所です。」
「聞いた事がないな~。ウォダーフ、お前よくそんな遠くに引越し出来たなぁ。」
まるで子供に言い聞かせるような内容にハルカも苦笑いを浮かべて見守っていたのだがサックルの中では納得していったらしい。みるみる首の角度が戻ってくるとウォダーフも軽くため息をついてみせる。
「そうですよ。私も色々苦労したんです。しかし貴方までこの地に迷い込んできたとなると他の存在にも気を付けねばなりませんね。」
それからやっと話が本筋に戻るとショウも僅かに目を光らせる。ちなみにお昼時で忙しくなってきたティナマはイフリータを客間に駆り出してしまった。
「他の存在?また難しい話をするのか?」
「いえいえ。私達の知る要注意人物をショウ様にお伝えするだけですよ。サックルも様々な国に傭兵として雇われていたのですから覚えがあるでしょう?」
それで妙に屈強な雰囲気をまとっているのか。納得したハルカは方向音痴の彼に視線を向けると傷の入った黄色い嘴が僅かに動く。
「・・・俺が二度と雇われたくないって思うのはファーンだな。あいつはまじでクソ野郎だ。」
「ほうほう。他には?是非特徴も添えて色々お聞かせください。」
これは中々面白そうな展開になりそうだ。ハルカは胸を躍らせてサックルの話に耳を傾けていたのだが今は仕事の最中なのだ。
故に店内から忙しい雰囲気が伝わってくると『暗闇夜天』で培った任務を必ず遂行するという性格が顔を出してしまい、気が付けば無意識に客間へ足を運んでいた。
「???お前は何を言っているんだ?」
「サックル、ここは以前私達が住んでいた世界とは異なる場所なのです。貴方が私の店に辿り着いたという事は貴方自身も迷い込んだとみて間違いないでしょう。」
「???」
ウォダーフと違ってより鳥に近い形態だからか、彼は有り得ない程小首を傾げて目をぱちくりとしていると更に同郷の者が口を挟んでくる。
「つまりア=ディラファの黄金城もここにはないんだよ。しかし奴が捕まってるんだったら俺も金を取りに行きたかったなぁ・・・」
「?????」
「すみません皆様。サックルは決して悪い奴ではないのですが如何せん理解力が低くて・・・」
しかし考えてみれば別段おかしなことではない。突然別世界に迷い込んでしまった等そうそう信じられる事でも起こる事でもないのだ。むしろ今までの人物がすんなりと受け入れ過ぎていたのだろう。
「ふむ。ではこう告げましょう。ここは貴方の住む大陸とはずっとかけ離れた地になります。」
なのでショウも別世界という部分を省いて再度説明を始めると120度程傾いていた首が90度くらいに戻って来た。
「ほう?それはどれくらいだ?」
「貴方が二度と戻れない程離れていますね。ですので『マスィール』に辿り着く事も出来ません。」
「・・・・・じゃあここは何処なんだ?」
「ここは『カーラル大陸』と呼ばれる場所です。」
「聞いた事がないな~。ウォダーフ、お前よくそんな遠くに引越し出来たなぁ。」
まるで子供に言い聞かせるような内容にハルカも苦笑いを浮かべて見守っていたのだがサックルの中では納得していったらしい。みるみる首の角度が戻ってくるとウォダーフも軽くため息をついてみせる。
「そうですよ。私も色々苦労したんです。しかし貴方までこの地に迷い込んできたとなると他の存在にも気を付けねばなりませんね。」
それからやっと話が本筋に戻るとショウも僅かに目を光らせる。ちなみにお昼時で忙しくなってきたティナマはイフリータを客間に駆り出してしまった。
「他の存在?また難しい話をするのか?」
「いえいえ。私達の知る要注意人物をショウ様にお伝えするだけですよ。サックルも様々な国に傭兵として雇われていたのですから覚えがあるでしょう?」
それで妙に屈強な雰囲気をまとっているのか。納得したハルカは方向音痴の彼に視線を向けると傷の入った黄色い嘴が僅かに動く。
「・・・俺が二度と雇われたくないって思うのはファーンだな。あいつはまじでクソ野郎だ。」
「ほうほう。他には?是非特徴も添えて色々お聞かせください。」
これは中々面白そうな展開になりそうだ。ハルカは胸を躍らせてサックルの話に耳を傾けていたのだが今は仕事の最中なのだ。
故に店内から忙しい雰囲気が伝わってくると『暗闇夜天』で培った任務を必ず遂行するという性格が顔を出してしまい、気が付けば無意識に客間へ足を運んでいた。
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