闇を統べる者
クレイスの憂鬱 -王の侵略-②
「やっと着いた!おいウォダーフ、引越しするなら連絡をくれよな!随分と探し回ったんだぜ?!」
営業中なのでお客様が来店するのは当然なのだが今回だけは仕事にうるさいティナマも一瞬唖然としてしまう。
「その声はサックル?まさか貴方もこの世界に迷い込んでしまったのですか?」
恐らく彼の知人なのだろう。珍しく客間に姿を見せるとハルカも目を丸くして2人を見比べてしまった。
「ウォダーフ、彼は友人?同族?」
「そのどちらもです。紹介します。彼はサックル、同じ鳥人ですが私よりも戦いに秀でた個体です。」
「よう皆の衆!!紹介に預かったサックルだ!!しかしお前が人を雇ってるなんてなぁ・・・どういった心境の変化だ?」
確かにサックルもウォダーフと同じような頭を持ってはいたもののその嘴には黄色が混じっており大きな横傷が走っている。更に決定的に違ったのは手足の造形だ。
ウォダーフは指先足先も人間に近いので普段からしっかり衣装を着こなせているが、サックルの方は腕がほぼ翼のようになっている為手指も長くて人間のそれとはだいぶ違う。そのせいで上着も変わった形のものしか袖を通せないらしい。脚も見たままの猛禽類で非常にたくましい鉤爪がむき出しとなっていた。
「なるほど。確かに戦いが得意そうね。」
器用さと獰猛さを併せ持つ部分は『獅子族』に近いのか。ハルカが納得しつつ頷くとウォダーフはまず現在の状況を説明し始める。
「店ごとこの地に迷い込んでしまいましてね。目立つし土地勘もないのでこの地を治める国に助けを求めたのです。そして今では護衛を兼ねた従業員を貸与して頂けるまでの関係になっている、という訳です。しかしサックルもこの世界に迷い込んでいたとは。今まで何処をうろついていたんですか?」
「うん?今まで・・・普通に空を飛んでただけだぜ?そしたら急に見慣れない平野に出ちまって。しばらく飛んでたら『気まぐれ屋』を見つけたって訳よ。」
その話を聞いたハルカはティナマと顔を見合わせた。説明通りならサックルもルアトファと同じようについさっきこの世界に迷い込んだ感じなのか。
「お待たせしました。おや?見慣れない方がおられますね。私は『トリスト』の左宰相ショウ=バイエルハートと申します。お名前をお聞きしてもよろしいですか?」
そこにショウがやってくるとア=ディラファの件もある為、ウォダーフは全員を最も大きな来客席へと案内する。ちなみにティナマは店を営業する為に一人で切り盛りする事を選んだらしい。
「ふむふむ。つまりサックル様が『気まぐれ屋』に到着したのは偶然だと。」
それからまずはサックルについて詳しく聞いていくと早速ウォダーフが口を挟んできた。
「ショウ様、彼はかなりの方向音痴ですので空を飛んでいた、という部分に関しては話半分に聞いておいて下さい。」
「おいおいウォダーフ!久しぶりの再会だっていうのに随分じゃねぇか!言っておくが俺はちゃんと『バーイルンの森』を東に飛んでたんだぜ?!」
「・・・・・私の店は『バーイルンの森』を越えた西端ですよ?全く、どこに向かうつもりだったんですか。」
空を飛べるというのに方向音痴なのか。これにはハルカも呆れていたが今までのやり取りから決して悪い存在では無さそうだ。
「あれ?!そうだっけ?ま、いいや!それより傲慢王が居城から消えたっていう噂を聞いたんだ!よかったら一緒に行かないか?!何処かから侵略を受ける前に奪えるだけ奪っちまおうぜ!!」
しかし良い奴なのかと言われれば怪しいか。先程聞いたばかりの情報と彼の言動が合致したのだけは納得するもののショウは何度か頷いた後、この世界と大陸について語り始めるのだった。
営業中なのでお客様が来店するのは当然なのだが今回だけは仕事にうるさいティナマも一瞬唖然としてしまう。
「その声はサックル?まさか貴方もこの世界に迷い込んでしまったのですか?」
恐らく彼の知人なのだろう。珍しく客間に姿を見せるとハルカも目を丸くして2人を見比べてしまった。
「ウォダーフ、彼は友人?同族?」
「そのどちらもです。紹介します。彼はサックル、同じ鳥人ですが私よりも戦いに秀でた個体です。」
「よう皆の衆!!紹介に預かったサックルだ!!しかしお前が人を雇ってるなんてなぁ・・・どういった心境の変化だ?」
確かにサックルもウォダーフと同じような頭を持ってはいたもののその嘴には黄色が混じっており大きな横傷が走っている。更に決定的に違ったのは手足の造形だ。
ウォダーフは指先足先も人間に近いので普段からしっかり衣装を着こなせているが、サックルの方は腕がほぼ翼のようになっている為手指も長くて人間のそれとはだいぶ違う。そのせいで上着も変わった形のものしか袖を通せないらしい。脚も見たままの猛禽類で非常にたくましい鉤爪がむき出しとなっていた。
「なるほど。確かに戦いが得意そうね。」
器用さと獰猛さを併せ持つ部分は『獅子族』に近いのか。ハルカが納得しつつ頷くとウォダーフはまず現在の状況を説明し始める。
「店ごとこの地に迷い込んでしまいましてね。目立つし土地勘もないのでこの地を治める国に助けを求めたのです。そして今では護衛を兼ねた従業員を貸与して頂けるまでの関係になっている、という訳です。しかしサックルもこの世界に迷い込んでいたとは。今まで何処をうろついていたんですか?」
「うん?今まで・・・普通に空を飛んでただけだぜ?そしたら急に見慣れない平野に出ちまって。しばらく飛んでたら『気まぐれ屋』を見つけたって訳よ。」
その話を聞いたハルカはティナマと顔を見合わせた。説明通りならサックルもルアトファと同じようについさっきこの世界に迷い込んだ感じなのか。
「お待たせしました。おや?見慣れない方がおられますね。私は『トリスト』の左宰相ショウ=バイエルハートと申します。お名前をお聞きしてもよろしいですか?」
そこにショウがやってくるとア=ディラファの件もある為、ウォダーフは全員を最も大きな来客席へと案内する。ちなみにティナマは店を営業する為に一人で切り盛りする事を選んだらしい。
「ふむふむ。つまりサックル様が『気まぐれ屋』に到着したのは偶然だと。」
それからまずはサックルについて詳しく聞いていくと早速ウォダーフが口を挟んできた。
「ショウ様、彼はかなりの方向音痴ですので空を飛んでいた、という部分に関しては話半分に聞いておいて下さい。」
「おいおいウォダーフ!久しぶりの再会だっていうのに随分じゃねぇか!言っておくが俺はちゃんと『バーイルンの森』を東に飛んでたんだぜ?!」
「・・・・・私の店は『バーイルンの森』を越えた西端ですよ?全く、どこに向かうつもりだったんですか。」
空を飛べるというのに方向音痴なのか。これにはハルカも呆れていたが今までのやり取りから決して悪い存在では無さそうだ。
「あれ?!そうだっけ?ま、いいや!それより傲慢王が居城から消えたっていう噂を聞いたんだ!よかったら一緒に行かないか?!何処かから侵略を受ける前に奪えるだけ奪っちまおうぜ!!」
しかし良い奴なのかと言われれば怪しいか。先程聞いたばかりの情報と彼の言動が合致したのだけは納得するもののショウは何度か頷いた後、この世界と大陸について語り始めるのだった。
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