闇を統べる者
クレイスの憂鬱 -王の侵略-①
西の大陸で異邦人によって『ダブラム』が襲撃された情報を詳しく入手出来ていたのはやはり『暗闇夜天』だから、というわけではない。
「ダム=ヴァーヴァとア=ディラファだってさ。何か本人達の強さっていうより持ってる武器が強力で黒威みたいって話よ。」
「ほう?だとすれば少し警戒する必要があるか。あれらは持ち主を狂わせるそうだからな。」
「こらこらお前ら!今は営業中じゃぞ?!お客様が少ないからといってサボる事は許さん!」
これはヴァッツやクレイスと懇意の仲であるハルカだからこそなせる業だろう。彼らから詳しい情報を聞き出した翌日、職場で同僚のイフリータと井戸端会議をしているとティナマが鬼の形相で注意してきたので慌てて業務に戻る。
「ちょっと待ってください。今、何と仰いましたか?」
ところが今日に限って珍しくウォダーフが声をかけてきたので3人は顔を見合わせた。見世物として鳥籠に入っていた『ファンタレック』の顔色も優れない事から彼らの知る人物らしい。
「おいおい、まさかあの傲慢王までこの世界にやってきてるのか?関わりたくないなぁ・・・あ、紅茶のおかわりもらっていい?」
「2人とも、ダム=ヴァーヴァとア=ディラファって知ってるの?」
ハルカが小さな茶器に素早くお湯を注いで手渡すと彼らは自分達の知っている存在と同一人物かはわからないと前置きをしてから詳しい内容を教えてくれる。
「はい。私達の世界では相当な悪名で有名でしたから。ア=ディラファは自分以外を王とは認めず、周囲に争いを生む暴虐の権化みたいな人物でしたね。」
「うんうん、俺も一度遠くからあいつが作らせた黄金城を見た事あるよ!でも近づく勇気はなかったなぁ。捕まったらそれこそ何をされるかわからなかったし。」
ウォダーフだけでなく悪戯好きの『ファンタレック』ですら敬遠するというのだから相当な人物なのだろう。黄金城という言葉にはハルカも少し心が動かされるも情報では彼らだけしかこの世界に迷い込んでいない筈だ。
「しかしヴァッツが向かったのであれば何も心配は要るまい?」
流石にティナマも気になったらしい。この時ばかりは口を挟んでくるとハルカも頷く。彼が接触しているのだから大事にはならないと信じたい。
「じゃがこの話の肝要はそこではない。今後もまたウォダーフ殿の世界から厄介な人物が迷い込む可能性がある、という点じゃ。」
「おじいちゃま・・・まーたいつの間にか入り込んできて。『アデルハイド』や『暗闇夜天』は大丈夫なの?」
そこに誰にも気が付かれる事無く店内の椅子に腰かけていたトウケンが話題に入ってくるとハルカはこれ見よがしに溜息を漏らす。お店に遊びに来ること自体はもう諦めているので良しとしよう。だがわざわざ『暗闇夜天』の秘術を使ってまで気配を消して来店するのは頭領としてどうなのだ?
「・・・でしたら私の知る人物をお伝えしておきましょうか?」
「それは良いな。早速ショウを呼んで来よう。」
こうしてイフリータが外に出て『トリスト』に飛んで行ったのだが入れ替わるように新たな異邦人が店に現れると誰よりもウォダーフが驚いていた。
「ダム=ヴァーヴァとア=ディラファだってさ。何か本人達の強さっていうより持ってる武器が強力で黒威みたいって話よ。」
「ほう?だとすれば少し警戒する必要があるか。あれらは持ち主を狂わせるそうだからな。」
「こらこらお前ら!今は営業中じゃぞ?!お客様が少ないからといってサボる事は許さん!」
これはヴァッツやクレイスと懇意の仲であるハルカだからこそなせる業だろう。彼らから詳しい情報を聞き出した翌日、職場で同僚のイフリータと井戸端会議をしているとティナマが鬼の形相で注意してきたので慌てて業務に戻る。
「ちょっと待ってください。今、何と仰いましたか?」
ところが今日に限って珍しくウォダーフが声をかけてきたので3人は顔を見合わせた。見世物として鳥籠に入っていた『ファンタレック』の顔色も優れない事から彼らの知る人物らしい。
「おいおい、まさかあの傲慢王までこの世界にやってきてるのか?関わりたくないなぁ・・・あ、紅茶のおかわりもらっていい?」
「2人とも、ダム=ヴァーヴァとア=ディラファって知ってるの?」
ハルカが小さな茶器に素早くお湯を注いで手渡すと彼らは自分達の知っている存在と同一人物かはわからないと前置きをしてから詳しい内容を教えてくれる。
「はい。私達の世界では相当な悪名で有名でしたから。ア=ディラファは自分以外を王とは認めず、周囲に争いを生む暴虐の権化みたいな人物でしたね。」
「うんうん、俺も一度遠くからあいつが作らせた黄金城を見た事あるよ!でも近づく勇気はなかったなぁ。捕まったらそれこそ何をされるかわからなかったし。」
ウォダーフだけでなく悪戯好きの『ファンタレック』ですら敬遠するというのだから相当な人物なのだろう。黄金城という言葉にはハルカも少し心が動かされるも情報では彼らだけしかこの世界に迷い込んでいない筈だ。
「しかしヴァッツが向かったのであれば何も心配は要るまい?」
流石にティナマも気になったらしい。この時ばかりは口を挟んでくるとハルカも頷く。彼が接触しているのだから大事にはならないと信じたい。
「じゃがこの話の肝要はそこではない。今後もまたウォダーフ殿の世界から厄介な人物が迷い込む可能性がある、という点じゃ。」
「おじいちゃま・・・まーたいつの間にか入り込んできて。『アデルハイド』や『暗闇夜天』は大丈夫なの?」
そこに誰にも気が付かれる事無く店内の椅子に腰かけていたトウケンが話題に入ってくるとハルカはこれ見よがしに溜息を漏らす。お店に遊びに来ること自体はもう諦めているので良しとしよう。だがわざわざ『暗闇夜天』の秘術を使ってまで気配を消して来店するのは頭領としてどうなのだ?
「・・・でしたら私の知る人物をお伝えしておきましょうか?」
「それは良いな。早速ショウを呼んで来よう。」
こうしてイフリータが外に出て『トリスト』に飛んで行ったのだが入れ替わるように新たな異邦人が店に現れると誰よりもウォダーフが驚いていた。
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