闇を統べる者
クレイスの憂鬱 -王と共に-⑦
「な、何でザラールが関係してるの?」
未だ核心を知らされはしなかったものの謀らずとも少しずつ関係者の情報をちゃっかり得てしまう様はヴァッツにも似た純粋さがなせる技なのかもしれない。疑問をそのまま口に出すと今度はレドラが少し考える様子を見せる。
「・・・それ以上は約束に抵触してきますね。よろしいですか?お伝えしても?」
「えっ?!え、えーっと・・・わ、私って少しおっちょこちょいな所があるからもしかするとついぽろっと漏らしてしまうかもしれないの・・・だからその・・・内緒に出来る自信がないわ。」
つまりこれ以上首を突っ込まない方が良いというのが最終判断だ。ここまでの流れからもし約束を違えるとクレイスに迷惑を掛けかねない。そう思って席を立とうとしたのだがレドラはウンディーネを呼び止める。
「クレイス様は素晴らしい。キシリングの息子というのも関係しているのでしょうがとても真っすぐな青年に成長しています。更にヴァッツ様とも昵懇の仲であり、『トリスト』の次期国王として申し分ございません。」
「えぇぇ・・・・・あ!!わかった!!その言葉が嘘なのね?!」
「とんでもない。主であるヴァッツ様の御親友ですよ?嘘をつく理由がございません。」
「えぇぇぇぇぇ・・・・・だったらどうして反対してるの?」
訳が分からないウンディーネはここでも思ったままのやり取りをしてみせるとレドラの表情には優しい笑顔が浮かんでいた。
「それはクレイス様を試しているのですよ。最後の試練、とでも申しましょうか。」
「試練??」
「はい。彼であれば今すぐにでも王位を継承出来るでしょう。ですが早々にそれを認めれば気持ちに緩みが生じるかもしれない。ザラールはそう考えたようです。」
「はぁ・・・」
話が良くわからないので適当な相槌を返してしまったがこの内容は既に約束事へと触れている。
「ですので17歳になるその時までクレイス様には国王へ向けてもっと邁進して頂く為に我々はあえて反対を表明しているのです。」
「・・・あぁ!つまりわざといじわるしてるのね?!」
「いじわる・・・意地が悪いとは言い得て妙ですね。」
いつの間にか全容を教えられたウンディーネは気付く事無く呆れていたがレドラもただただ苦笑いを浮かべるだけだ。
「つまりクレイス様がより偉大に成長されるのを期待している表れでもあります。ウンディーネ様、皆様に内緒にしていただけますね?」
「・・・あっ?!そ、そういう事なの?!私まだ約束するって言ってないのに!!これだから人間は油断ならないの!!」
そしてやっと理解が追い付いた時にはレドラが優しく人差し指を口元に添えていたので怒りよりも諦めと安堵から、今度はこちらが苦笑いで応えるのだった。
未だ核心を知らされはしなかったものの謀らずとも少しずつ関係者の情報をちゃっかり得てしまう様はヴァッツにも似た純粋さがなせる技なのかもしれない。疑問をそのまま口に出すと今度はレドラが少し考える様子を見せる。
「・・・それ以上は約束に抵触してきますね。よろしいですか?お伝えしても?」
「えっ?!え、えーっと・・・わ、私って少しおっちょこちょいな所があるからもしかするとついぽろっと漏らしてしまうかもしれないの・・・だからその・・・内緒に出来る自信がないわ。」
つまりこれ以上首を突っ込まない方が良いというのが最終判断だ。ここまでの流れからもし約束を違えるとクレイスに迷惑を掛けかねない。そう思って席を立とうとしたのだがレドラはウンディーネを呼び止める。
「クレイス様は素晴らしい。キシリングの息子というのも関係しているのでしょうがとても真っすぐな青年に成長しています。更にヴァッツ様とも昵懇の仲であり、『トリスト』の次期国王として申し分ございません。」
「えぇぇ・・・・・あ!!わかった!!その言葉が嘘なのね?!」
「とんでもない。主であるヴァッツ様の御親友ですよ?嘘をつく理由がございません。」
「えぇぇぇぇぇ・・・・・だったらどうして反対してるの?」
訳が分からないウンディーネはここでも思ったままのやり取りをしてみせるとレドラの表情には優しい笑顔が浮かんでいた。
「それはクレイス様を試しているのですよ。最後の試練、とでも申しましょうか。」
「試練??」
「はい。彼であれば今すぐにでも王位を継承出来るでしょう。ですが早々にそれを認めれば気持ちに緩みが生じるかもしれない。ザラールはそう考えたようです。」
「はぁ・・・」
話が良くわからないので適当な相槌を返してしまったがこの内容は既に約束事へと触れている。
「ですので17歳になるその時までクレイス様には国王へ向けてもっと邁進して頂く為に我々はあえて反対を表明しているのです。」
「・・・あぁ!つまりわざといじわるしてるのね?!」
「いじわる・・・意地が悪いとは言い得て妙ですね。」
いつの間にか全容を教えられたウンディーネは気付く事無く呆れていたがレドラもただただ苦笑いを浮かべるだけだ。
「つまりクレイス様がより偉大に成長されるのを期待している表れでもあります。ウンディーネ様、皆様に内緒にしていただけますね?」
「・・・あっ?!そ、そういう事なの?!私まだ約束するって言ってないのに!!これだから人間は油断ならないの!!」
そしてやっと理解が追い付いた時にはレドラが優しく人差し指を口元に添えていたので怒りよりも諦めと安堵から、今度はこちらが苦笑いで応えるのだった。
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