闇を統べる者
クレイスの憂鬱 -王と共に-⑥
「それを私に尋ねられた所で答えを持ち合わせておりません。」
「嘘。あなたは私に隠し事をしているの。どうしてかわからないけどその理由も教えてもらっていい?」
幸いヴァッツはクレイスと共に再び『ダブラム』へ出向いているので遠慮はいらない筈だ。ウンディーネは顕現させた足で間合いを詰めてみせると『孤高』と呼ばれるレドラでさえ下がってしまった。
「・・・それはクレイス様からの御命令ですか?」
「いいえ、私の独断なの。これを調べればクレイスが喜んでくれるかなって。」
「・・・なるほど。ではその経緯を詳しくお聞きしましょう。」
そう言うとレドラは主のいない部屋に通してくれる。そして美味しい紅茶に御茶菓子まで用意してくれると彼も珍しく椅子に腰かけた。
「ちなみに反対派の意見を聞いてどうなさるおつもりですか?」
「???どうもしないの。聞いたお話を全部クレイスにそのまま伝えるだけなんだけど何かしなきゃいけないの?」
「ふむ。でしたら・・・他の方々にお伝えしない、とお約束して頂けるのでしたら御教えしましょう。」
「え?!そ、それじゃ聞く意味がないの!!」
彼からの取引に今度はこちらが大いに驚かされるもレドラが態度を変えるつもりはないらしい。というか何故クレイスに教えたら駄目なのだ?その情報を最も知りたいのは彼の筈なのに。
「ではこのお話はおしまいという事で。」
「ま、待って!じゃ、じゃあ・・・力尽くで聞き出す・・・とかしちゃうかも?なの。」
「おや?『魔族』である貴女がそんな乱暴な手段を取るとは思えませんが。」
実年齢はウンディーネの方がはるかに上の筈なのに老獪さでは相手に分があるようだ。何か他に手段がないか悩んでいる間もレドラは美味しい紅茶と御菓子を堪能している。
「・・・約束してもクレイスに話さない保証はないの。それでも教えてくれるの?」
そして妙な違和感に辿り着いたウンディーネが自分でもよくわからないといった様子で尋ねるとレドラは静かに頷く。
「ええ。そこはお互いを信用するしかありませんからね。」
信用。信用か。多少は『トリスト』に染まりつつあったもののレドラも人間だ。それを信じていいのかどうか。ウンディーネは違う方向で悩み始めたがその間に彼は紅茶を飲み干してしまったらしい。
「・・・もし話が嘘だったらあなたの命を貰うの。それでもいい?」
「ええ、その代わり本当だったら絶対に内密でお願いしますね。」
「・・・本当か噓かってどうやって判断すればいいの?他の人にも尋ねればいいの?」
残す問題はそこだけだ。果たしてレドラは真実を教えてくれるのか。クレイスに内緒にしなければならない内容とは一体何だ?
「そうですね。ザラールに尋ねれば良いでしょう。彼が反対派の筆頭ですから。」
しかし話の内容が全く明かされていないのに何故か右宰相の名前が出てくるというきな臭さを感じ取れなかったウンディーネはただただ唖然とするしかなかった。
「嘘。あなたは私に隠し事をしているの。どうしてかわからないけどその理由も教えてもらっていい?」
幸いヴァッツはクレイスと共に再び『ダブラム』へ出向いているので遠慮はいらない筈だ。ウンディーネは顕現させた足で間合いを詰めてみせると『孤高』と呼ばれるレドラでさえ下がってしまった。
「・・・それはクレイス様からの御命令ですか?」
「いいえ、私の独断なの。これを調べればクレイスが喜んでくれるかなって。」
「・・・なるほど。ではその経緯を詳しくお聞きしましょう。」
そう言うとレドラは主のいない部屋に通してくれる。そして美味しい紅茶に御茶菓子まで用意してくれると彼も珍しく椅子に腰かけた。
「ちなみに反対派の意見を聞いてどうなさるおつもりですか?」
「???どうもしないの。聞いたお話を全部クレイスにそのまま伝えるだけなんだけど何かしなきゃいけないの?」
「ふむ。でしたら・・・他の方々にお伝えしない、とお約束して頂けるのでしたら御教えしましょう。」
「え?!そ、それじゃ聞く意味がないの!!」
彼からの取引に今度はこちらが大いに驚かされるもレドラが態度を変えるつもりはないらしい。というか何故クレイスに教えたら駄目なのだ?その情報を最も知りたいのは彼の筈なのに。
「ではこのお話はおしまいという事で。」
「ま、待って!じゃ、じゃあ・・・力尽くで聞き出す・・・とかしちゃうかも?なの。」
「おや?『魔族』である貴女がそんな乱暴な手段を取るとは思えませんが。」
実年齢はウンディーネの方がはるかに上の筈なのに老獪さでは相手に分があるようだ。何か他に手段がないか悩んでいる間もレドラは美味しい紅茶と御菓子を堪能している。
「・・・約束してもクレイスに話さない保証はないの。それでも教えてくれるの?」
そして妙な違和感に辿り着いたウンディーネが自分でもよくわからないといった様子で尋ねるとレドラは静かに頷く。
「ええ。そこはお互いを信用するしかありませんからね。」
信用。信用か。多少は『トリスト』に染まりつつあったもののレドラも人間だ。それを信じていいのかどうか。ウンディーネは違う方向で悩み始めたがその間に彼は紅茶を飲み干してしまったらしい。
「・・・もし話が嘘だったらあなたの命を貰うの。それでもいい?」
「ええ、その代わり本当だったら絶対に内密でお願いしますね。」
「・・・本当か噓かってどうやって判断すればいいの?他の人にも尋ねればいいの?」
残す問題はそこだけだ。果たしてレドラは真実を教えてくれるのか。クレイスに内緒にしなければならない内容とは一体何だ?
「そうですね。ザラールに尋ねれば良いでしょう。彼が反対派の筆頭ですから。」
しかし話の内容が全く明かされていないのに何故か右宰相の名前が出てくるというきな臭さを感じ取れなかったウンディーネはただただ唖然とするしかなかった。
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