闇を統べる者
クレイスの憂鬱 -王と共に-⑤
クレイスの意思はともかくウンディーネ達は既に後宮で私室を与えられていたので周りはそういう風に捉えていたようだ。
「そうなの?それじゃ私はこのままでいいのかな?」
「はい!ウンディーネちゃんはそのままが一番ですよ!!ていうか何かありました?」
未だ国家や王族周辺の知識が疎い彼女は自室で着替えを手伝ってもらう最中に包み隠さず現状を説明すると召使い達も顔を見合わせて驚く。
「ウンディーネ様、素敵です!!愛を押し付けるでもなく陰から支えたいだなんて、もう妻も同然ですね!!」
「妻か・・・ふむ。じゃあ妻らしく気になっていた事を片付けるの。アファマル、アズラファ、アスファル、アファダル、ハウフ、今から尋ねる質問に答えてほしいの。隠し事は駄目よ?」
セヴァを唆してスラヴォフィルに迫らせた彼女達の存在は一部では有名であり、ある種の畏怖や敬遠すらされていた。にも拘わらず気兼ねなく接するのは細かい事を気にしない性格だからだろう。
前置きだけは入れるもののウンディーネはクレイスの為にと素直な質問をぶつけると流石の彼女達も顔色を変えつつ再び互いを見合う。
「・・・そのご質問にはお答え出来ません。」
「どうして?私はクレイスの力になりたいの。だったら一番大事な事じゃないの?誰がクレイスの王位継承に反対しているかを知るのって。」
「私達もそこだけは固く口止めされておりまして。イルフォシア様にすら告げていないのです。どうかお許しください。」
その名前がアズラファの口から飛び出すと俄然やる気が出てきた。これを突き止めれば第一級の勲功として認めてもらえるに違いないのだ。
「だったら猶更教えて欲しいの。だって私がイルフォシアより先に重要な情報を掴めばきっとクレイスも意識してくれるでしょ?」
そう言われると召使い達も困惑した様子を隠さずに三度顔を見合わせる。そしてここで性格の違いが顕著に現れた。
「・・・でしたらレドラ様にお尋ねになってみて下さい。あの御方でしたら何か知っているかと思われます。あの、私達が漏らした事は内緒でお願いしますね?」
これは良し悪しではない。イルフォシアには身分や性格も含め、恐れ多くて主従の距離がはっきりしていたのに対し、ウンディーネは誰にでも同じような対応を見せるので自ずと心の距離が縮んでいたのだ。
故に最低限ではあるものの有用な情報を得ると喜色満面でアズラファを文字通り抱きしめてから早速ヴァッツの部屋に向かう。
「おや?珍しいですね。ウンディーネ様がヴァッツ様に御用とは。」
「いいえ、私はあなたに用事があるの。ねぇレドラ、何故『トリスト』の人間はクレイスが国王になる事に反対しているの?」
そして最短距離を突っ走ると普段冷静なレドラの顔にさえ僅かに驚きの表情が見えていた。
「そうなの?それじゃ私はこのままでいいのかな?」
「はい!ウンディーネちゃんはそのままが一番ですよ!!ていうか何かありました?」
未だ国家や王族周辺の知識が疎い彼女は自室で着替えを手伝ってもらう最中に包み隠さず現状を説明すると召使い達も顔を見合わせて驚く。
「ウンディーネ様、素敵です!!愛を押し付けるでもなく陰から支えたいだなんて、もう妻も同然ですね!!」
「妻か・・・ふむ。じゃあ妻らしく気になっていた事を片付けるの。アファマル、アズラファ、アスファル、アファダル、ハウフ、今から尋ねる質問に答えてほしいの。隠し事は駄目よ?」
セヴァを唆してスラヴォフィルに迫らせた彼女達の存在は一部では有名であり、ある種の畏怖や敬遠すらされていた。にも拘わらず気兼ねなく接するのは細かい事を気にしない性格だからだろう。
前置きだけは入れるもののウンディーネはクレイスの為にと素直な質問をぶつけると流石の彼女達も顔色を変えつつ再び互いを見合う。
「・・・そのご質問にはお答え出来ません。」
「どうして?私はクレイスの力になりたいの。だったら一番大事な事じゃないの?誰がクレイスの王位継承に反対しているかを知るのって。」
「私達もそこだけは固く口止めされておりまして。イルフォシア様にすら告げていないのです。どうかお許しください。」
その名前がアズラファの口から飛び出すと俄然やる気が出てきた。これを突き止めれば第一級の勲功として認めてもらえるに違いないのだ。
「だったら猶更教えて欲しいの。だって私がイルフォシアより先に重要な情報を掴めばきっとクレイスも意識してくれるでしょ?」
そう言われると召使い達も困惑した様子を隠さずに三度顔を見合わせる。そしてここで性格の違いが顕著に現れた。
「・・・でしたらレドラ様にお尋ねになってみて下さい。あの御方でしたら何か知っているかと思われます。あの、私達が漏らした事は内緒でお願いしますね?」
これは良し悪しではない。イルフォシアには身分や性格も含め、恐れ多くて主従の距離がはっきりしていたのに対し、ウンディーネは誰にでも同じような対応を見せるので自ずと心の距離が縮んでいたのだ。
故に最低限ではあるものの有用な情報を得ると喜色満面でアズラファを文字通り抱きしめてから早速ヴァッツの部屋に向かう。
「おや?珍しいですね。ウンディーネ様がヴァッツ様に御用とは。」
「いいえ、私はあなたに用事があるの。ねぇレドラ、何故『トリスト』の人間はクレイスが国王になる事に反対しているの?」
そして最短距離を突っ走ると普段冷静なレドラの顔にさえ僅かに驚きの表情が見えていた。
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