闇を統べる者
王道 -夢に見た道-⑧
もとより大した力を持たないガビアムからの交渉には『悪魔王』フロウでさえわかりやすい驚愕を浮かべていた。
「・・・面白いな。ではこいつも連れていこう。」
「えぇぇ・・・手傷を負った人間なんか放っておけばいいじゃない。それに彼はどこかの国の国王なんでしょ?深く関わると私が叱られそうで怖いわ。」
ところがイェ=イレィの方はとても嫌そうな表情で拒絶している。確かに自身も逆の立場なら面倒事とは距離を取り、速やかに退散していただろう。
「・・・『七神』は今後クレイス様との会談を開く予定もあるのだ。もし彼らに危害を加えれば親友であるヴァッツ様はどう思われるだろうか?」
なのでこちらも悪知恵を重ねていくしかない。かなり危ない橋だがこれ以上失うものが無いガビアムはあえて彼らの名を出すとまたも2人はわかりやすく表情に表してくれた。
「・・・・・面白いじゃない。その話、もし虚偽だったら死ぬより辛い目にあってもらうわよ?」
「うむ。クレイスは我が恩師でもあるのだ。その場凌ぎに名を語ったのであれば決して許される事はないと思え。」
少し効果が覿面過ぎたか。ここまで割と温和に話を進めていたフロウから『悪魔族』らしい怒気が放たれた瞬間本当に昇天するかと思ったが気が付くと『七神』達に率いられていた時とは比べ物にならない速度で空を飛んでいた。
そこから夜明けの気配もないまま数十分もかからずに『モ=カ=ダス』という国に連れて来られると3人は場違いなほど豪奢な部屋に通された。影響力のある2人の名前を出したおかげか尋問前にはしっかりと応急処置も施される。
「ではまず何故クレイスと『七神』が会談するのか。その理由から教えてもらおうか。」
後はフロウから放たれる怒りを鎮痛代わりに利用しながらガビアムは慎重に言葉を選びつつ答え始める。
「はい。実は彼も『黒威』に関しては懸念を抱かれておりまして。それを人に渡さないよう忠告したいと仰っていました。」
その内容に『七神』の2人も驚いていたが逆に『悪魔王』は一瞬で怒気を収めると満足そうに頷く。
「普段から争いを避ける言動をしてはいたがそうか。であれば・・・うん?少し先走ってしまったか?」
ところが新たな問題に気が付くとイェ=イレィも僅かに眉を動かす。
「・・・私達は彼らの思惑を知らなかったのです。それに『七神』には注意するよう周辺国に通達もされていました。そんな危険な存在を誰よりも先に確保したのですから・・・咎められたりはしません、よね?」
2人の様子から焦りを感じているのは間違いない。であればここが勝負所だろう。彼らは相当な力を保有しているが故に『トリスト』やその人物達との相談、報告を怠っていた事実に何とか付け込まねば。
「ヴァッツ様は本当にお優しい方ですからね。もし『七神』の方々に危害を加えたと知ればどうお考えなさるか・・・」
「・・・貴様?私を脅すつもりか?」
そして今度はイェ=イレィの方から容赦ない殺意を向けられると意識が飛びそうになる。しかし今夜の件はどう取り繕っても死を免れないのだから本望だ。
ただ今後の『ビ=ダータ』を考えると最低限の位置に落とし込まねば命も無駄になってしまう。
「いいえ。ですので今夜我々が出会った事を内密にしませんか?そうすれば誰も損はしません。」
「・・・面白いな。ではこいつも連れていこう。」
「えぇぇ・・・手傷を負った人間なんか放っておけばいいじゃない。それに彼はどこかの国の国王なんでしょ?深く関わると私が叱られそうで怖いわ。」
ところがイェ=イレィの方はとても嫌そうな表情で拒絶している。確かに自身も逆の立場なら面倒事とは距離を取り、速やかに退散していただろう。
「・・・『七神』は今後クレイス様との会談を開く予定もあるのだ。もし彼らに危害を加えれば親友であるヴァッツ様はどう思われるだろうか?」
なのでこちらも悪知恵を重ねていくしかない。かなり危ない橋だがこれ以上失うものが無いガビアムはあえて彼らの名を出すとまたも2人はわかりやすく表情に表してくれた。
「・・・・・面白いじゃない。その話、もし虚偽だったら死ぬより辛い目にあってもらうわよ?」
「うむ。クレイスは我が恩師でもあるのだ。その場凌ぎに名を語ったのであれば決して許される事はないと思え。」
少し効果が覿面過ぎたか。ここまで割と温和に話を進めていたフロウから『悪魔族』らしい怒気が放たれた瞬間本当に昇天するかと思ったが気が付くと『七神』達に率いられていた時とは比べ物にならない速度で空を飛んでいた。
そこから夜明けの気配もないまま数十分もかからずに『モ=カ=ダス』という国に連れて来られると3人は場違いなほど豪奢な部屋に通された。影響力のある2人の名前を出したおかげか尋問前にはしっかりと応急処置も施される。
「ではまず何故クレイスと『七神』が会談するのか。その理由から教えてもらおうか。」
後はフロウから放たれる怒りを鎮痛代わりに利用しながらガビアムは慎重に言葉を選びつつ答え始める。
「はい。実は彼も『黒威』に関しては懸念を抱かれておりまして。それを人に渡さないよう忠告したいと仰っていました。」
その内容に『七神』の2人も驚いていたが逆に『悪魔王』は一瞬で怒気を収めると満足そうに頷く。
「普段から争いを避ける言動をしてはいたがそうか。であれば・・・うん?少し先走ってしまったか?」
ところが新たな問題に気が付くとイェ=イレィも僅かに眉を動かす。
「・・・私達は彼らの思惑を知らなかったのです。それに『七神』には注意するよう周辺国に通達もされていました。そんな危険な存在を誰よりも先に確保したのですから・・・咎められたりはしません、よね?」
2人の様子から焦りを感じているのは間違いない。であればここが勝負所だろう。彼らは相当な力を保有しているが故に『トリスト』やその人物達との相談、報告を怠っていた事実に何とか付け込まねば。
「ヴァッツ様は本当にお優しい方ですからね。もし『七神』の方々に危害を加えたと知ればどうお考えなさるか・・・」
「・・・貴様?私を脅すつもりか?」
そして今度はイェ=イレィの方から容赦ない殺意を向けられると意識が飛びそうになる。しかし今夜の件はどう取り繕っても死を免れないのだから本望だ。
ただ今後の『ビ=ダータ』を考えると最低限の位置に落とし込まねば命も無駄になってしまう。
「いいえ。ですので今夜我々が出会った事を内密にしませんか?そうすれば誰も損はしません。」
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