闇を統べる者
王道 -夢に見た道-⑤
今更だが何故『七神』が警戒されるかを良く良く理解したガビアムは感動と悪知恵を働かせる。
「・・・フェレーヴァ様の人を操る能力というのは何人くらいまで可能でしょうか?」
「さて?気にした事がないのでわからんな。少し前に数千人の部隊を操ってはみたが・・・何だ?街中の人間でも操れというのか?」
「いえ、最初は私も自身の『黒威』を振るおうかと考えていたのですが召使いだけで仕事を終えられるのであれば足も付きにくくて良策かと考えた次第です。」
「ふむ、確かに。流石は『七神』に話を持ち掛けるだけの王だ。自ら敵地に乗り込む辺りも気に入ったぞ。」
気に入られる事を喜んでいいのかどうか。
とにかくこれで事件が明るみになっても返り血や凶器から召使い達の反乱で処理されるだろう。つまり自分は一切の手を汚さずに憎き『リングストン』を滅亡に追い込めるのだ。
そう思うと更なる高揚と達成感で心はみるみる満たされていく。『ビ=ダータ』の運営は多少傾きはしたものの己の信念を押し通してよかったと安堵すら覚える。
だが現在の世界には様々な存在が入り混じっているのだ。
「今回ばかりは感謝致しますわ。」
6軒目の屋敷に向かう際中、突然空から声をかけられたので2人は思わず見上げるとそこには豪奢な衣装を身にまとった鷹の杖を持つ女性と狼人間らしい存在がこちらを見下ろしているではないか。
「我らも酒の流通の為に様々な場所に潜り込んでいるからな。しかし『七神』か。見た所人間と変わらんが・・・」
恐らく女性の方は特徴から噂で聞いた『モ=カ=ダス』の女王に間違いない、筈なのだが女王自らこんな場所に足を運ぶだろうか?
己の事を丸々棚に上げていたガビアムが困惑しているとフェレーヴァの方は自身の正体を知られている事から強く警戒を見せる。
「何だお前達は?」
「私はヴァッツ様より『モ=カ=ダス』を任されているイェ=イレィよ。こっちは『悪魔族』の王フロウ。『黒威』とかいう忌まわしい武器をばら撒いているあなた達を消し去りにきたって言えば覚えがあるでしょ?」
「待て、その言い方だと『悪魔族』まで加担するかのように聞こえるではないか。」
「でも乗り掛かった舟じゃない?それにもう1人は王城で暴れてるんでしょ?だったらお食事も兼ねて、ね?」
「あれ程『悪魔』を忌避していたのに何と強かな。それに最近は人間を食っておらんし食うつもりもない。しかし・・・見ているだけというのも退屈か。」
狼人間らしき姿をしたフロウは呆れた様子を見せつつも結局は女王に言いくるめられるとそのまま王城の方向へ飛んで行く。
「さて、じゃあ早速始末しましょう。あ、一応確認しておくけどそっちの男の腰に佩いているのが『黒威』よね?」
あまりにも一方的な展開に尋ねられたガビアムは答えるのも忘れて見上げていたのだがそれを庇うかのようにフェレーヴァが体を前に出すときつく睨みつける。
「・・・事情はよくわからんが命を狙われているとなれば戦わざるを得ないな。」
どうしてこんな事になったのだ。ガビアムもやっと訪れた戦いの場に『黒威』の長剣を抜いてみせるも今は高揚感などを感じる余裕はなかった。
「・・・フェレーヴァ様の人を操る能力というのは何人くらいまで可能でしょうか?」
「さて?気にした事がないのでわからんな。少し前に数千人の部隊を操ってはみたが・・・何だ?街中の人間でも操れというのか?」
「いえ、最初は私も自身の『黒威』を振るおうかと考えていたのですが召使いだけで仕事を終えられるのであれば足も付きにくくて良策かと考えた次第です。」
「ふむ、確かに。流石は『七神』に話を持ち掛けるだけの王だ。自ら敵地に乗り込む辺りも気に入ったぞ。」
気に入られる事を喜んでいいのかどうか。
とにかくこれで事件が明るみになっても返り血や凶器から召使い達の反乱で処理されるだろう。つまり自分は一切の手を汚さずに憎き『リングストン』を滅亡に追い込めるのだ。
そう思うと更なる高揚と達成感で心はみるみる満たされていく。『ビ=ダータ』の運営は多少傾きはしたものの己の信念を押し通してよかったと安堵すら覚える。
だが現在の世界には様々な存在が入り混じっているのだ。
「今回ばかりは感謝致しますわ。」
6軒目の屋敷に向かう際中、突然空から声をかけられたので2人は思わず見上げるとそこには豪奢な衣装を身にまとった鷹の杖を持つ女性と狼人間らしい存在がこちらを見下ろしているではないか。
「我らも酒の流通の為に様々な場所に潜り込んでいるからな。しかし『七神』か。見た所人間と変わらんが・・・」
恐らく女性の方は特徴から噂で聞いた『モ=カ=ダス』の女王に間違いない、筈なのだが女王自らこんな場所に足を運ぶだろうか?
己の事を丸々棚に上げていたガビアムが困惑しているとフェレーヴァの方は自身の正体を知られている事から強く警戒を見せる。
「何だお前達は?」
「私はヴァッツ様より『モ=カ=ダス』を任されているイェ=イレィよ。こっちは『悪魔族』の王フロウ。『黒威』とかいう忌まわしい武器をばら撒いているあなた達を消し去りにきたって言えば覚えがあるでしょ?」
「待て、その言い方だと『悪魔族』まで加担するかのように聞こえるではないか。」
「でも乗り掛かった舟じゃない?それにもう1人は王城で暴れてるんでしょ?だったらお食事も兼ねて、ね?」
「あれ程『悪魔』を忌避していたのに何と強かな。それに最近は人間を食っておらんし食うつもりもない。しかし・・・見ているだけというのも退屈か。」
狼人間らしき姿をしたフロウは呆れた様子を見せつつも結局は女王に言いくるめられるとそのまま王城の方向へ飛んで行く。
「さて、じゃあ早速始末しましょう。あ、一応確認しておくけどそっちの男の腰に佩いているのが『黒威』よね?」
あまりにも一方的な展開に尋ねられたガビアムは答えるのも忘れて見上げていたのだがそれを庇うかのようにフェレーヴァが体を前に出すときつく睨みつける。
「・・・事情はよくわからんが命を狙われているとなれば戦わざるを得ないな。」
どうしてこんな事になったのだ。ガビアムもやっと訪れた戦いの場に『黒威』の長剣を抜いてみせるも今は高揚感などを感じる余裕はなかった。
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