闇を統べる者
王道 -夢に見た道-④
宿願などという言葉で飾っても所詮は復讐でしかなく、自己満足の域を出る事は無い。
「権力者のみを始末するという考え方、私も嫌いではない。」
本当にこれでよかったのだろうか。覚悟の中を生きてきたガビアムは初めて相対する本物の『七神』を前に少しだけ躊躇したがもう止められないのだ。
セイドが連れてきたフェレーヴァという顔色の悪い男は腫れた頬でそう告げると老人の方もからからと笑っている。
「まぁ久しぶりの表舞台じゃ。あまり気負いせずに行こうじゃないか。」
それに今回の助力を得る為の条件として何故かセイドの方からクレイスに会いたいと言ってきたのには驚いた。
相手も『黒威』をこれ以上人間に渡さないよう忠告したいと申し出ていたので互いの要望が奇跡的にかみ合ってはいる。だが下手をすると関係性を指摘されるだけでなく、どちらかが命を落としかねない危険な邂逅だ。
「・・・フェレーヴァ様やアジューズ様もご一緒であれば用意いたしましょう。」
故に実力が未知数な『七神』の2人も同席という条件でまとめてはみたものの本当にこれでよかったのだろうか?
しかし懸念が拭えないままフェレーヴァとアジューズに手を引かれて夜空を飛んで行くとあっという間に『リングストン』の副都市マルタゾンに到着したのだから思考は軽い感動に上書きされてしまった。
「これが空を飛べる者の特権ですか・・・」
今回の襲撃は夜が明ける前に終わるだろうと言われた意味をやっと理解したガビアムは感嘆の声を漏らすと『七神』の2人も笑みを浮かべている。
「では城の中にいる人間はわしに任せてもらおうか。フェレーヴァはガビアムと共に周辺の屋敷を回ってくれ。」
見た目が相当高齢な老人な為、その提案には耳を疑ったが顔を腫らせた男も反論する素振りすら見せずに頷いていたので彼らの力を信じるしかない。
「では近場から参りましょう。」
ここまでの雰囲気や空を飛べる事実からも頼りになるのは間違いないのだ。であれば速やかに目的を達成すべきだろう。
ガビアムは未だ振るえていない『黒威』の長剣に頼もしさと高揚感を覚えつつ、過去の記憶から有力者がいるであろう屋敷に走るとどこから忍び込むのか考える。
だが『七神』とは『天人族』、もしくは『魔人族』の集団なのだ。
襲撃先に到着したフェレーヴァがまるで自分の屋敷に帰ってきたかのように自然に玄関の扉を叩いたので目を丸くしていると、対応した召使いも当然のように彼を招き入れたのだから最初は既に根回しをしていたのかと勘違いする。
これこそが『天族』の力である他者を操るという能力というものらしい。制限として向かい合ってからでないと相手に術をかける事が出来ないそうだがそのような緩い条件などあってないようなものだ。
「ガビアム殿、どうする?彼らにも手伝ってもらおうか?」
「・・・そうですね。是非得意分野であるお掃除で活躍してもらいましょう。」
そう答えるとフェレーヴァは自身の操る召使いに他の召使いが眠る場所まで案内させる。そして20人近い即興の掃除屋を完成させた2人は己の手を汚さずに一軒目を終えるのだった。
「権力者のみを始末するという考え方、私も嫌いではない。」
本当にこれでよかったのだろうか。覚悟の中を生きてきたガビアムは初めて相対する本物の『七神』を前に少しだけ躊躇したがもう止められないのだ。
セイドが連れてきたフェレーヴァという顔色の悪い男は腫れた頬でそう告げると老人の方もからからと笑っている。
「まぁ久しぶりの表舞台じゃ。あまり気負いせずに行こうじゃないか。」
それに今回の助力を得る為の条件として何故かセイドの方からクレイスに会いたいと言ってきたのには驚いた。
相手も『黒威』をこれ以上人間に渡さないよう忠告したいと申し出ていたので互いの要望が奇跡的にかみ合ってはいる。だが下手をすると関係性を指摘されるだけでなく、どちらかが命を落としかねない危険な邂逅だ。
「・・・フェレーヴァ様やアジューズ様もご一緒であれば用意いたしましょう。」
故に実力が未知数な『七神』の2人も同席という条件でまとめてはみたものの本当にこれでよかったのだろうか?
しかし懸念が拭えないままフェレーヴァとアジューズに手を引かれて夜空を飛んで行くとあっという間に『リングストン』の副都市マルタゾンに到着したのだから思考は軽い感動に上書きされてしまった。
「これが空を飛べる者の特権ですか・・・」
今回の襲撃は夜が明ける前に終わるだろうと言われた意味をやっと理解したガビアムは感嘆の声を漏らすと『七神』の2人も笑みを浮かべている。
「では城の中にいる人間はわしに任せてもらおうか。フェレーヴァはガビアムと共に周辺の屋敷を回ってくれ。」
見た目が相当高齢な老人な為、その提案には耳を疑ったが顔を腫らせた男も反論する素振りすら見せずに頷いていたので彼らの力を信じるしかない。
「では近場から参りましょう。」
ここまでの雰囲気や空を飛べる事実からも頼りになるのは間違いないのだ。であれば速やかに目的を達成すべきだろう。
ガビアムは未だ振るえていない『黒威』の長剣に頼もしさと高揚感を覚えつつ、過去の記憶から有力者がいるであろう屋敷に走るとどこから忍び込むのか考える。
だが『七神』とは『天人族』、もしくは『魔人族』の集団なのだ。
襲撃先に到着したフェレーヴァがまるで自分の屋敷に帰ってきたかのように自然に玄関の扉を叩いたので目を丸くしていると、対応した召使いも当然のように彼を招き入れたのだから最初は既に根回しをしていたのかと勘違いする。
これこそが『天族』の力である他者を操るという能力というものらしい。制限として向かい合ってからでないと相手に術をかける事が出来ないそうだがそのような緩い条件などあってないようなものだ。
「ガビアム殿、どうする?彼らにも手伝ってもらおうか?」
「・・・そうですね。是非得意分野であるお掃除で活躍してもらいましょう。」
そう答えるとフェレーヴァは自身の操る召使いに他の召使いが眠る場所まで案内させる。そして20人近い即興の掃除屋を完成させた2人は己の手を汚さずに一軒目を終えるのだった。
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