闇を統べる者
王道 -夢に見た道-②
力については他者を頼ってはならない。自分がしっかり保持し、手綱を握る事で初めて真価を得られるのだ。
「・・・ではボトヴィ様とアナ様の処遇は我々に任せて頂きます。」
「此度の不祥事は私の管理不行き届きによるもの、全て『トリスト』の言葉に従います。」
それを痛感していたガビアムは訳の分からない異邦人が勝手に『アデルハイド』の黒い竜達を襲撃したという体で平謝りを決め込む。実際『トリスト』は『黒威』に気を取られていたのでこちらの腹の底までは見通せなかったはずだ。
(最後くらいは役に立ってくれよ)
しかしかなりの猛者だったボトヴィが『黒威』の力を得たにも拘らず黒い竜を倒すどころか御世話役に殺された事実は精査する必要があるだろう。
自身も生まれて初めて感じる力に高揚を隠すので精一杯だったが本物の猛者達からすると大したことが無い力なのか?
ショウを追い返した後、一度本気で試す機会を作らねばと考えていたガビアムは日を改めてクレイスを呼び出す。
最終的には自分の手で『リングストン』に終止符を打つ。この既定路線に変更はない。
だが万が一に備えて多岐の選択肢を用意しておくべきだろう。そこで『トリスト』内外で起きている次期国王問題を利用すべく話を持ち掛けたのだがすぐに誤算が生じた。
何と少し前までまだまだ子供だと思っていたクレイスは見た目以上に成長を遂げていたのだ。
王族としての雰囲気をまとっているだけでなく、『黒威』や『七神』の存在を匂わせながら腹の中を探ってこようとしてくるのでこちらも受け答えには慎重にならざるを得ない。
ヴァッツという破格の大将軍にばかり目が行きがちだが彼もナルサスやナハトールに打ち勝ち、『ジグラト戦争』でも大功を立てる活躍と力を見せている。
となればセイドの言う様に最も警戒すべき人物は次期『トリスト』王候補のクレイスなのかもしれない。
そう心に留めつつ、それでも自身は彼の持つ力と人脈に立場、権力を考慮して今は全力で援助する事を誓う。さすれば標的に近づけるという意味も含めて方々に多大な恩義を売りつけられる筈だ。
ところがガビアムの抑えつけられていた欲望は『黒威』によってみるみる膨らんでいた。既に自制が付かない程までに。
「セイド様、私が『リングストン』へ奇襲をかける時には確かに他の『七神』の方々からもご支援頂けるのでしょうか?」
「あ、ああ!彼らも人間達を間引きたい意思は残ってるみたいだからね!リ、『リングストン』は大国だし喜んで手を貸してくれると思うよ!」
『リングストン』を滅ぼしたいのか早く剣を振りたいのかわからなくなっていたガビアムは何回目かわからない確認をセイドに取ると彼は嫌な顔一つせずに答えてくれる。
であれば早々に行動すべきか。未だその力を確かめられていないのも忘れて思考を欲望に支配されつつあったガビアムがいよいよ行動に移そうと思い立った時、意外な訪問者が現れた事で僅かに正気を取り戻した。
「・・・ではボトヴィ様とアナ様の処遇は我々に任せて頂きます。」
「此度の不祥事は私の管理不行き届きによるもの、全て『トリスト』の言葉に従います。」
それを痛感していたガビアムは訳の分からない異邦人が勝手に『アデルハイド』の黒い竜達を襲撃したという体で平謝りを決め込む。実際『トリスト』は『黒威』に気を取られていたのでこちらの腹の底までは見通せなかったはずだ。
(最後くらいは役に立ってくれよ)
しかしかなりの猛者だったボトヴィが『黒威』の力を得たにも拘らず黒い竜を倒すどころか御世話役に殺された事実は精査する必要があるだろう。
自身も生まれて初めて感じる力に高揚を隠すので精一杯だったが本物の猛者達からすると大したことが無い力なのか?
ショウを追い返した後、一度本気で試す機会を作らねばと考えていたガビアムは日を改めてクレイスを呼び出す。
最終的には自分の手で『リングストン』に終止符を打つ。この既定路線に変更はない。
だが万が一に備えて多岐の選択肢を用意しておくべきだろう。そこで『トリスト』内外で起きている次期国王問題を利用すべく話を持ち掛けたのだがすぐに誤算が生じた。
何と少し前までまだまだ子供だと思っていたクレイスは見た目以上に成長を遂げていたのだ。
王族としての雰囲気をまとっているだけでなく、『黒威』や『七神』の存在を匂わせながら腹の中を探ってこようとしてくるのでこちらも受け答えには慎重にならざるを得ない。
ヴァッツという破格の大将軍にばかり目が行きがちだが彼もナルサスやナハトールに打ち勝ち、『ジグラト戦争』でも大功を立てる活躍と力を見せている。
となればセイドの言う様に最も警戒すべき人物は次期『トリスト』王候補のクレイスなのかもしれない。
そう心に留めつつ、それでも自身は彼の持つ力と人脈に立場、権力を考慮して今は全力で援助する事を誓う。さすれば標的に近づけるという意味も含めて方々に多大な恩義を売りつけられる筈だ。
ところがガビアムの抑えつけられていた欲望は『黒威』によってみるみる膨らんでいた。既に自制が付かない程までに。
「セイド様、私が『リングストン』へ奇襲をかける時には確かに他の『七神』の方々からもご支援頂けるのでしょうか?」
「あ、ああ!彼らも人間達を間引きたい意思は残ってるみたいだからね!リ、『リングストン』は大国だし喜んで手を貸してくれると思うよ!」
『リングストン』を滅ぼしたいのか早く剣を振りたいのかわからなくなっていたガビアムは何回目かわからない確認をセイドに取ると彼は嫌な顔一つせずに答えてくれる。
であれば早々に行動すべきか。未だその力を確かめられていないのも忘れて思考を欲望に支配されつつあったガビアムがいよいよ行動に移そうと思い立った時、意外な訪問者が現れた事で僅かに正気を取り戻した。
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