闇を統べる者
王道 -破滅へ続く道-⑧
「やったなアサド!!っつか怖ぇよ!!獅子みたいじゃん?!」
「・・・うむ。俺は獅子だからな。」
ボトヴィを殺したというのに何とも気の抜けるような会話だ。しかし彼らにとってボトヴィとはそういう存在だったのだろう。
死体の喉元から口元には太い牙と咬筋の圧力でぐちゃぐちゃになっており、虚ろな目のまま倒れる彼を誰も気にする事なく笑い合っていたがこちらは笑い事ではないのだ。
ぴぎゃああっ!!
「・・・っ?!」
次の行動を考えるよりも先に突然の鳴き声に驚いて振り向くとそこには黒い竜達が3頭、アナに牙を見せて唸り声を上げてくる。
不味い。独力で戦える手段が無い為ここで襲われればボトヴィの後を追うしかないのだが今の彼女は失うものなど何もない。
であれば身を委ねるか?大好きだったボトヴィと共にこの世から旅立とうか?
「あ、何だ?誰かいるのか?」
「そういえばもう一人いたな。こいつの仲間が。」
ところが生物というのは中々に良く出来ており、思考を整理したつもりでも命の危機が迫れば本性が現れるのだ。
ぴゅい?
気が付けば全速力で走り出し、息を切らしていたアナは自分を見失っていた。ただ本能のままに、己の命を救う為に行動したとしても相手があまりにも悪すぎた。
「おい、あいつはお前の仲間だろ?無理に戦えとは言わねぇけどあんまりじゃないか?」
そう、敵は空を飛べるのだ。しかも相当な速さで。
義足の青年が小柄な竜に跨って並走しながら軽い調子で話しかけてくると一瞬だけ我に返ったのだがここは足を止めてはいけない。止めた瞬間殺されるのは火を見るよりも明らかだ。
故に無視して走り続けるが魔法使いであるアナにそこまでの体力は無い。段々と失速していくのを不思議そうに眺めていたフランシスカの表情はさぞ困惑したものだっただろう。
それを確認は出来なかったものの彼がこちらの襟首を掴んで一気に上空へ引っ張られるといよいよ己の最後を痛感する。
せめて苦しまない方法で殺して欲しいと懇願したい所だが声が出ないのでそれも難しいだろう。ならばここで手を放してもらって地面に叩きつけられる方法が最も楽だろうか。
そう思っても命が惜しいと本能で理解している今のアナにはとても行動まで移せない。
結局ボトヴィの亡骸がある場所まで連れ戻された後、周囲から心臓が止まりそうな視線を受け続けるとこれもまた本能が危機を察知する。
彼らが呆れるのも知らずに気を失った彼女は仕方なく保護され、目を覚ました時には温かい寝具の上で見知らぬ天井を視界に捉えていた。
「・・・うむ。俺は獅子だからな。」
ボトヴィを殺したというのに何とも気の抜けるような会話だ。しかし彼らにとってボトヴィとはそういう存在だったのだろう。
死体の喉元から口元には太い牙と咬筋の圧力でぐちゃぐちゃになっており、虚ろな目のまま倒れる彼を誰も気にする事なく笑い合っていたがこちらは笑い事ではないのだ。
ぴぎゃああっ!!
「・・・っ?!」
次の行動を考えるよりも先に突然の鳴き声に驚いて振り向くとそこには黒い竜達が3頭、アナに牙を見せて唸り声を上げてくる。
不味い。独力で戦える手段が無い為ここで襲われればボトヴィの後を追うしかないのだが今の彼女は失うものなど何もない。
であれば身を委ねるか?大好きだったボトヴィと共にこの世から旅立とうか?
「あ、何だ?誰かいるのか?」
「そういえばもう一人いたな。こいつの仲間が。」
ところが生物というのは中々に良く出来ており、思考を整理したつもりでも命の危機が迫れば本性が現れるのだ。
ぴゅい?
気が付けば全速力で走り出し、息を切らしていたアナは自分を見失っていた。ただ本能のままに、己の命を救う為に行動したとしても相手があまりにも悪すぎた。
「おい、あいつはお前の仲間だろ?無理に戦えとは言わねぇけどあんまりじゃないか?」
そう、敵は空を飛べるのだ。しかも相当な速さで。
義足の青年が小柄な竜に跨って並走しながら軽い調子で話しかけてくると一瞬だけ我に返ったのだがここは足を止めてはいけない。止めた瞬間殺されるのは火を見るよりも明らかだ。
故に無視して走り続けるが魔法使いであるアナにそこまでの体力は無い。段々と失速していくのを不思議そうに眺めていたフランシスカの表情はさぞ困惑したものだっただろう。
それを確認は出来なかったものの彼がこちらの襟首を掴んで一気に上空へ引っ張られるといよいよ己の最後を痛感する。
せめて苦しまない方法で殺して欲しいと懇願したい所だが声が出ないのでそれも難しいだろう。ならばここで手を放してもらって地面に叩きつけられる方法が最も楽だろうか。
そう思っても命が惜しいと本能で理解している今のアナにはとても行動まで移せない。
結局ボトヴィの亡骸がある場所まで連れ戻された後、周囲から心臓が止まりそうな視線を受け続けるとこれもまた本能が危機を察知する。
彼らが呆れるのも知らずに気を失った彼女は仕方なく保護され、目を覚ました時には温かい寝具の上で見知らぬ天井を視界に捉えていた。
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