闇を統べる者
王道 -破格の歩む道は-⑦
「ところで『トリスト』でのナイルはどんな様子だったのかね?」
「父上。そういう話は私のいない場所でして頂けますか?」
だが彼にも思惑があったようだ。大きな食堂で開かれた晩餐会ではネクトニウスとナイルがいきなりいがみ合いらしいものを始めるとビアードも苦笑いだ。
「ナイルはネイヴンと名乗ってた。結構厳しいって聞いてたけど私とはほとんど絡んでないからわからない。」
「ほう?」
流石に『ネ=ウィン』の皇太子として復職した彼を前に堂々と意見を述べられる者など限られている。という理由もわからずアルヴィーヌはいつも通り本音を告げるとネクトニウスの機嫌は僅かに上向いたらしい。更に質問を重ねて来るが伝えた通り、あまり接点がなかったので答えようがない。
「・・・ナイル様は国務に携わったことのないザラール様やスラヴォフィル様を良くお助けになられたとお聞きしています。故にその信頼は絶大とも。」
「ほほう?という事は『ネ=ウィン』から『トリスト』に諜報活動を仕掛ける事も・・・」
「父上。第二の故郷とも呼べる『トリスト』にそのような行動を起こされた場合、速やかに『ネ=ウィン』を武力制圧致しますのでそのつもりで。」
噂には聞いていたがどうやら彼ら親子はあまり仲がよろしくないらしい。
時雨の発言から話が突拍子もない場所に飛ぶとナイルが静かに牽制したのだから歓待と呼ぶには程遠い空気が食卓に蔓延する。
「・・・2人は親子なんでしょ?ずっと離れ離れだったのにやっと一緒に暮らせるようになったんでしょ?何で仲が悪いの?」
しかしそんなものを一切読まないアルヴィーヌは不思議でならなかった。随分久しぶりに再会出来た親子が同じ屋根の下で暮らせるようになったのに何故険悪なのだ?
もし自分がセイラムと一緒に暮らせるようになれば毎日喜んでおしゃべりして、ご飯を食べて、一杯甘えて最高の日々を過ごせると思うのだが。
「・・・仲が悪いという訳ではない。そりが合わないだけだ。」
「父はやや頑固故に時代の変化を許容出来ない部分があります。それを諫めるという構図なだけで不和という訳ではございません。」
詳しくはわからないが大人の事情があるらしい。同じくよくわかっていないヴァッツと顔を見合わせるとクンシェオルトも苦笑を浮かべていたので喧嘩ではないとだけ理解する。
「しかしヴァッツが警戒する相手か・・・俺達も出来る事はやっておかないとな・・・」
そしてやっと明るい話題が場を和ませ始めた頃、やはり油断ならない獣が何かを思い立ったのかそう呟くとこちらに真剣な眼差しを向けて来たのでアルヴィーヌは反射的に顔を背けるのだった。
「父上。そういう話は私のいない場所でして頂けますか?」
だが彼にも思惑があったようだ。大きな食堂で開かれた晩餐会ではネクトニウスとナイルがいきなりいがみ合いらしいものを始めるとビアードも苦笑いだ。
「ナイルはネイヴンと名乗ってた。結構厳しいって聞いてたけど私とはほとんど絡んでないからわからない。」
「ほう?」
流石に『ネ=ウィン』の皇太子として復職した彼を前に堂々と意見を述べられる者など限られている。という理由もわからずアルヴィーヌはいつも通り本音を告げるとネクトニウスの機嫌は僅かに上向いたらしい。更に質問を重ねて来るが伝えた通り、あまり接点がなかったので答えようがない。
「・・・ナイル様は国務に携わったことのないザラール様やスラヴォフィル様を良くお助けになられたとお聞きしています。故にその信頼は絶大とも。」
「ほほう?という事は『ネ=ウィン』から『トリスト』に諜報活動を仕掛ける事も・・・」
「父上。第二の故郷とも呼べる『トリスト』にそのような行動を起こされた場合、速やかに『ネ=ウィン』を武力制圧致しますのでそのつもりで。」
噂には聞いていたがどうやら彼ら親子はあまり仲がよろしくないらしい。
時雨の発言から話が突拍子もない場所に飛ぶとナイルが静かに牽制したのだから歓待と呼ぶには程遠い空気が食卓に蔓延する。
「・・・2人は親子なんでしょ?ずっと離れ離れだったのにやっと一緒に暮らせるようになったんでしょ?何で仲が悪いの?」
しかしそんなものを一切読まないアルヴィーヌは不思議でならなかった。随分久しぶりに再会出来た親子が同じ屋根の下で暮らせるようになったのに何故険悪なのだ?
もし自分がセイラムと一緒に暮らせるようになれば毎日喜んでおしゃべりして、ご飯を食べて、一杯甘えて最高の日々を過ごせると思うのだが。
「・・・仲が悪いという訳ではない。そりが合わないだけだ。」
「父はやや頑固故に時代の変化を許容出来ない部分があります。それを諫めるという構図なだけで不和という訳ではございません。」
詳しくはわからないが大人の事情があるらしい。同じくよくわかっていないヴァッツと顔を見合わせるとクンシェオルトも苦笑を浮かべていたので喧嘩ではないとだけ理解する。
「しかしヴァッツが警戒する相手か・・・俺達も出来る事はやっておかないとな・・・」
そしてやっと明るい話題が場を和ませ始めた頃、やはり油断ならない獣が何かを思い立ったのかそう呟くとこちらに真剣な眼差しを向けて来たのでアルヴィーヌは反射的に顔を背けるのだった。
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