闇を統べる者
王道 -破格の歩む道は-⑥
稽古とはいえヴァッツの戦う姿というのは誰も見た事がなかった為、こちらもまた多くの観衆が身構えつつも興味を示す。
だが静かに始まった立ち合いは皆が驚く内容となった。
がっ!がっ!!がっ!!!
何とヴァッツはカズキの放つ形をそのまま真似て同時に放ち始めたのだ。お互いが空を飛べない為それは地上で繰り返され、カズキの方はほぼ全力で手足を放っているにも拘らずアルヴィーヌの時と違い余計な暴風や衝撃は生まれていない。
これは全力で放たれる直前に受け流すような形で交わっている為お互いの力が逃げているからだろう。激しい打撃音すら響かない組み手のような光景にまるで演武とも見紛うが実力差がはっきりしている証左とも呼べる。
それにしても時折見せる変則的な動きにも寸分違わず、一切の遅れを見せる事無く瞬時に真似してのける姿は予知や頭の中を覗き込んでいるのではと勘ぐってしまう。
それは相手をしているカズキが最も強く感じている筈だ。アルヴィーヌとの稽古では見せなかった跳んでからの攻撃を繰り出すも着地の拍子まで少しのずれも無い。
「・・・まるで踊ってるみたい。」
ふと心境を呟いてしまったがそれは見ている皆も感じたらしい。先程の激しすぎる立ち合い稽古と違い、周囲がまるで観劇するような様子で10分以上続くとカズキの方からぴたりと手を止めた後、とても満足そうな表情を浮かべて頷いた。
「やっぱお前は凄いな。真似されるだけならまだしも呼吸すら乱れてねぇじゃねぇか。」
言われてみればカズキの額にはうっすらと汗が見えており、呼吸もやや浅くなっている。対してヴァッツはあれだけ動いていたにも拘らず立ち会う前と全く同じ様子なのだからまさに格が違うのだろう。
「うん!形だけだしね!でも体をどう使えば力を伝えられるのかが良く分かったよ!ありがとう!」
そんなやり取りも周囲からの大きな歓声と拍手でかき消されつつあったので2人は周囲に手を振りながら訓練場を後にすると皇帝自らが私室に招待してくれる。
「いや、実に良いものをみせてもらった。カズキの強さは訓練場で何度か見ていたがヴァッツよ、お主の力はまさにクンシェオルトが望む泰平を掴むためのものなのかもしれんな。」
ナイルが戻って以降、元気にならざるを得なかったネクトニウスは朗らかに笑うとヴァッツも珍しく気恥ずかしそうだ。
それから急に押し掛けたにも拘らず是非晩餐をと勧めてきたので周囲は少し困っていたようだがアルヴィーヌとヴァッツが快諾した事で彼は満面の笑みで何度も頷くのだった。
だが静かに始まった立ち合いは皆が驚く内容となった。
がっ!がっ!!がっ!!!
何とヴァッツはカズキの放つ形をそのまま真似て同時に放ち始めたのだ。お互いが空を飛べない為それは地上で繰り返され、カズキの方はほぼ全力で手足を放っているにも拘らずアルヴィーヌの時と違い余計な暴風や衝撃は生まれていない。
これは全力で放たれる直前に受け流すような形で交わっている為お互いの力が逃げているからだろう。激しい打撃音すら響かない組み手のような光景にまるで演武とも見紛うが実力差がはっきりしている証左とも呼べる。
それにしても時折見せる変則的な動きにも寸分違わず、一切の遅れを見せる事無く瞬時に真似してのける姿は予知や頭の中を覗き込んでいるのではと勘ぐってしまう。
それは相手をしているカズキが最も強く感じている筈だ。アルヴィーヌとの稽古では見せなかった跳んでからの攻撃を繰り出すも着地の拍子まで少しのずれも無い。
「・・・まるで踊ってるみたい。」
ふと心境を呟いてしまったがそれは見ている皆も感じたらしい。先程の激しすぎる立ち合い稽古と違い、周囲がまるで観劇するような様子で10分以上続くとカズキの方からぴたりと手を止めた後、とても満足そうな表情を浮かべて頷いた。
「やっぱお前は凄いな。真似されるだけならまだしも呼吸すら乱れてねぇじゃねぇか。」
言われてみればカズキの額にはうっすらと汗が見えており、呼吸もやや浅くなっている。対してヴァッツはあれだけ動いていたにも拘らず立ち会う前と全く同じ様子なのだからまさに格が違うのだろう。
「うん!形だけだしね!でも体をどう使えば力を伝えられるのかが良く分かったよ!ありがとう!」
そんなやり取りも周囲からの大きな歓声と拍手でかき消されつつあったので2人は周囲に手を振りながら訓練場を後にすると皇帝自らが私室に招待してくれる。
「いや、実に良いものをみせてもらった。カズキの強さは訓練場で何度か見ていたがヴァッツよ、お主の力はまさにクンシェオルトが望む泰平を掴むためのものなのかもしれんな。」
ナイルが戻って以降、元気にならざるを得なかったネクトニウスは朗らかに笑うとヴァッツも珍しく気恥ずかしそうだ。
それから急に押し掛けたにも拘らず是非晩餐をと勧めてきたので周囲は少し困っていたようだがアルヴィーヌとヴァッツが快諾した事で彼は満面の笑みで何度も頷くのだった。
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