闇を統べる者
王道 -破格の歩む道は-④
それでもヴァッツの為と、今後二度と自分におかしな要求をしてこないようここでしっかりと実力差を見せつけるよう気合を入れるが逆に戦闘狂は喜んでしまっているのだから呆れるしかない。
「おうよ!!じゃあヴァッツ、見といてくれ!!俺も全力で戦ってみるからさ!!」
「い、いや・・・稽古だよね?怪我とかしないでね?」
もちろんアルヴィーヌもそこには気を付けたいが一人でやる気満々のカズキを見ていると無性に腹が立ってくる。
多少の手傷ならルルーに頼めばいいよね?誰に確認するでもなく、心の中で勝手に自己完結すると新たに選ばれた4将と他国の王女が戦うという噂が瞬く間に広がり、『ネ=ウィン』の訓練場には人だかりが出来ていた。
「クンシェオルト、元気そうだな、と言っていいのか?」
「ネクトニウス様、ご無沙汰しております。はい、今の所は生前以上の活力を感じております。」
その中に皇帝ネクトニウスまでもが姿を現すと流石に一瞬だけはそちらに注目が集まるが、クンシェオルトとの関係や柔らかい雰囲気から誰もが意識を逸らすよう心掛ける。
4年前は己の寿命を察して『ネ=ウィン』を去ったそうだがまさか蘇って再会出来るとは思いもしなかったのだろう。負い目があるような素振りだった彼も皇帝ネクトニウスお前では普段見せない笑顔を浮かべていた。
「うし!んじゃやるか!アルヴィーヌ、手加減は無用だぜ?!」
「わかってる。こてんぱんにしてあげる。」
もちろんそんな2人を気遣った訳ではないのだが早く暴れたくて仕方のなかったカズキに急かされたアルヴィーヌも人差し指で挑発するかのような仕草をすると周囲からは妙な歓声が沸き上がった。
「わかってるよね?!怪我しないようにだよ?!」
そこに夫が心配そうな声をかけて来るが大丈夫、この生意気な戦闘狂を一捻りして稽古は終わりだから。
「では始めて下さい。」
一応立会人としてフランセルが開始の宣言をするとカズキは喜んで突進してきた。彼の戦いは何度か見た事はあるがやはり地を這うような動きには否が応でも警戒心が高まる。
それでもアルヴィーヌの眼から見ればまだまだ遅い。
彼女が合わせて腰を落とし、向かってくる獣の顎に目がけて閃光のような拳を放つのを目視出来たものは何人いるだろうか。
しかし油断をしていた訳ではない。ヴァッツの友人をある程度痛めつけるに留めねばと加減しただけなのだが何とカズキは疾る反撃を躱して更なる反撃の拳を放ってきたのだ。
これにはアルヴィーヌも大いに驚くと同時に『天族』の血が騒ぐ。
いつの間にかこれ程の力をつけていたのか。滅多に高ぶらない感情が体中を駆け巡ると稽古という名の危険な遊戯は始まりを迎えるのだった。
「おうよ!!じゃあヴァッツ、見といてくれ!!俺も全力で戦ってみるからさ!!」
「い、いや・・・稽古だよね?怪我とかしないでね?」
もちろんアルヴィーヌもそこには気を付けたいが一人でやる気満々のカズキを見ていると無性に腹が立ってくる。
多少の手傷ならルルーに頼めばいいよね?誰に確認するでもなく、心の中で勝手に自己完結すると新たに選ばれた4将と他国の王女が戦うという噂が瞬く間に広がり、『ネ=ウィン』の訓練場には人だかりが出来ていた。
「クンシェオルト、元気そうだな、と言っていいのか?」
「ネクトニウス様、ご無沙汰しております。はい、今の所は生前以上の活力を感じております。」
その中に皇帝ネクトニウスまでもが姿を現すと流石に一瞬だけはそちらに注目が集まるが、クンシェオルトとの関係や柔らかい雰囲気から誰もが意識を逸らすよう心掛ける。
4年前は己の寿命を察して『ネ=ウィン』を去ったそうだがまさか蘇って再会出来るとは思いもしなかったのだろう。負い目があるような素振りだった彼も皇帝ネクトニウスお前では普段見せない笑顔を浮かべていた。
「うし!んじゃやるか!アルヴィーヌ、手加減は無用だぜ?!」
「わかってる。こてんぱんにしてあげる。」
もちろんそんな2人を気遣った訳ではないのだが早く暴れたくて仕方のなかったカズキに急かされたアルヴィーヌも人差し指で挑発するかのような仕草をすると周囲からは妙な歓声が沸き上がった。
「わかってるよね?!怪我しないようにだよ?!」
そこに夫が心配そうな声をかけて来るが大丈夫、この生意気な戦闘狂を一捻りして稽古は終わりだから。
「では始めて下さい。」
一応立会人としてフランセルが開始の宣言をするとカズキは喜んで突進してきた。彼の戦いは何度か見た事はあるがやはり地を這うような動きには否が応でも警戒心が高まる。
それでもアルヴィーヌの眼から見ればまだまだ遅い。
彼女が合わせて腰を落とし、向かってくる獣の顎に目がけて閃光のような拳を放つのを目視出来たものは何人いるだろうか。
しかし油断をしていた訳ではない。ヴァッツの友人をある程度痛めつけるに留めねばと加減しただけなのだが何とカズキは疾る反撃を躱して更なる反撃の拳を放ってきたのだ。
これにはアルヴィーヌも大いに驚くと同時に『天族』の血が騒ぐ。
いつの間にかこれ程の力をつけていたのか。滅多に高ぶらない感情が体中を駆け巡ると稽古という名の危険な遊戯は始まりを迎えるのだった。
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