闇を統べる者
王道 -破格の歩む道は-③
「おお?!?!まじか?!?!?まさかお前が・・・」
農作業の監督みたいな立ち位置だったカズキは突然の訪問にも拘らず喜色満面の驚愕を浮かべて大歓迎してくれる。しかしそれは戦いに飢えていたからに他ならないというのはアルヴィーヌでもよくよく理解出来た。
「おいカズキ、あくまで訓練だからな?」
誰よりも早くリリーが釘を刺すとカズキも我に返って軽く咳払いをする。というかヴァッツと戦った所で絶対に負けるというのに彼もおかしな性格だ。
「わ、わかってるよ!!んじゃ・・・いや、訓練場に行くのも惜しい。ここでやろうぜ?!」
『ネ=ウィン』の兼業戦士達が田畑を耕す中で酔狂が過ぎる提案をすると周囲はもちろん、流石のヴァッツも目を丸くして驚いている。そしてその様子がおかしかったアルヴィーヌがからからと笑い転げる中、堅物であるクンシェオルトは諭すように口を挟んできた。
「カズキ殿、逸る気持ちはわかりますがここはヴァッツ様の御要望にしっかりお応えして頂きたいので十全に暴れられる場所で行いましょう。」
「そ、そうですね!し、失礼しました!」
おかしい。クンシェオルトはヴァッツの従者であり配下なのだ。なのにカズキの態度からは王女であるアルヴィーヌよりも彼への敬意を大きく感じるのはどうにも納得がいかない。
かといって咎める程自分の身分にこだわりがある訳でもなく、むしろ下手に絡むとまた戦ってくれとしつこくせがまれる恐れがあるのでここは流してしまおう。
それから一行はマホリーの背に乗って『ネ=ウィン』の王城に戻ると早速大きな訓練場に足を運ぶ。
「あら?カズキもう帰ってきたの?って、ヴァッツ様にアルヴィーヌ様までご一緒に・・・え?!クンシェオルト様?!」
するとそこでは部隊の訓練を行っていたのだろう。話では聞いたことのあるフランセルという女の子がこちらに気が付くとまたクンシェオルトに最大の敬意を示すではないか。
「・・・・・あ、そっか。クンシェオルトは元4将なんだっけ?」
「はい。ですがそれも過去の話です。」
重く用いてくれたネクトニウスにだけは若干の負い目を感じているそうだがそれでも彼はヴァッツの護る平和な世界を望んだのだ。
であれば気にしなくてもいいのにとアルヴィーヌは簡単に考えていたが主従とは難しい関係らしい。
「よっし!!んじゃ始めるか!!で、立ち合い稽古か?!」
「え~っと・・・あのね、オレ、自分の体だけで戦いたいんだ。だからカズキにはその動き方を見せてもらいたいんだよ。」
それよりも今はヴァッツの事だ。どうやら彼は徒手空拳で戦いたいようだがこれは自身にも思い当たる所がある。
「動き、か。ふむ・・・じゃお互い無手でって事でいいのか?!」
「い、いや、だからね?先にカズキが動くところを見せてよ。オレはそれを真似するから。」
「ほう?・・・・・ま、いいか。でも虚空に拳を放ってもなぁ・・・・・誰か相手になってもらいたいなぁ?」
「・・・・・・・・・・」
やっぱり彼は苦手だ。まさかここにきてアルヴィーヌと立ち会うという欲求まで満たそうとするとは。いくら夫の友人とはいえ、これは一度厳しく諫めてもらう必要があるだろう。
「・・・手加減出来ないよ?」
農作業の監督みたいな立ち位置だったカズキは突然の訪問にも拘らず喜色満面の驚愕を浮かべて大歓迎してくれる。しかしそれは戦いに飢えていたからに他ならないというのはアルヴィーヌでもよくよく理解出来た。
「おいカズキ、あくまで訓練だからな?」
誰よりも早くリリーが釘を刺すとカズキも我に返って軽く咳払いをする。というかヴァッツと戦った所で絶対に負けるというのに彼もおかしな性格だ。
「わ、わかってるよ!!んじゃ・・・いや、訓練場に行くのも惜しい。ここでやろうぜ?!」
『ネ=ウィン』の兼業戦士達が田畑を耕す中で酔狂が過ぎる提案をすると周囲はもちろん、流石のヴァッツも目を丸くして驚いている。そしてその様子がおかしかったアルヴィーヌがからからと笑い転げる中、堅物であるクンシェオルトは諭すように口を挟んできた。
「カズキ殿、逸る気持ちはわかりますがここはヴァッツ様の御要望にしっかりお応えして頂きたいので十全に暴れられる場所で行いましょう。」
「そ、そうですね!し、失礼しました!」
おかしい。クンシェオルトはヴァッツの従者であり配下なのだ。なのにカズキの態度からは王女であるアルヴィーヌよりも彼への敬意を大きく感じるのはどうにも納得がいかない。
かといって咎める程自分の身分にこだわりがある訳でもなく、むしろ下手に絡むとまた戦ってくれとしつこくせがまれる恐れがあるのでここは流してしまおう。
それから一行はマホリーの背に乗って『ネ=ウィン』の王城に戻ると早速大きな訓練場に足を運ぶ。
「あら?カズキもう帰ってきたの?って、ヴァッツ様にアルヴィーヌ様までご一緒に・・・え?!クンシェオルト様?!」
するとそこでは部隊の訓練を行っていたのだろう。話では聞いたことのあるフランセルという女の子がこちらに気が付くとまたクンシェオルトに最大の敬意を示すではないか。
「・・・・・あ、そっか。クンシェオルトは元4将なんだっけ?」
「はい。ですがそれも過去の話です。」
重く用いてくれたネクトニウスにだけは若干の負い目を感じているそうだがそれでも彼はヴァッツの護る平和な世界を望んだのだ。
であれば気にしなくてもいいのにとアルヴィーヌは簡単に考えていたが主従とは難しい関係らしい。
「よっし!!んじゃ始めるか!!で、立ち合い稽古か?!」
「え~っと・・・あのね、オレ、自分の体だけで戦いたいんだ。だからカズキにはその動き方を見せてもらいたいんだよ。」
それよりも今はヴァッツの事だ。どうやら彼は徒手空拳で戦いたいようだがこれは自身にも思い当たる所がある。
「動き、か。ふむ・・・じゃお互い無手でって事でいいのか?!」
「い、いや、だからね?先にカズキが動くところを見せてよ。オレはそれを真似するから。」
「ほう?・・・・・ま、いいか。でも虚空に拳を放ってもなぁ・・・・・誰か相手になってもらいたいなぁ?」
「・・・・・・・・・・」
やっぱり彼は苦手だ。まさかここにきてアルヴィーヌと立ち会うという欲求まで満たそうとするとは。いくら夫の友人とはいえ、これは一度厳しく諫めてもらう必要があるだろう。
「・・・手加減出来ないよ?」
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