闇を統べる者

吉岡我龍

興亡 -温故知新-

 「あのさぁ。私言ったよね?もう『暗闇夜天』から抜けるし暗殺もしないって。手下も全部おじいちゃまに返したし二度と来ないでって言ったよね?何でまた姿を現したの?」

普通というには少し無理のある特殊な環境で新たな人生を謳歌していたハルカは『気まぐれ屋』での仕事が終わった後、リリーが傍にいるのも気にせず物陰に声をかけると『暗闇夜天』の下忍が2人姿を現す。
これから姉と2人で黒い竜の背中に乗って楽しく帰宅しようというのに台無しだ。久しぶりに不快感を覚えたが彼らの意外な言葉はそれを一瞬で霧散させてきた。
「はい。これはコクリ様の御命令です。」
「は?コクリ?何であいつが?」
彼に関しては狡猾な印象しか持ち合わせていなかった為驚愕と嫌悪感から思い切り顔をしかめると彼らにも十分理解出来るものだったらしい。
引退宣言以降本当に里の情報を全く知らなかったので先日起きたトウケンとコクリの宴席について詳しく教えてもらったのだがどうしても胡散臭さは拭えない。
「へ~。『暗闇夜天』にもそんな事情があるんだな。ってかこの話あたしが聞いても大丈夫なのか?」
「心配ございません。リリー様を始めヴァッツ様に関わる方々は我々の保護対象でもありますから。」
「ちょっと?!何でそんな事になるのよ?!」
奴の性格なら暗殺対象と言われた方がまだ納得がいく。だが今のコクリは真摯に『暗闇夜天』の未来を考えているようで金や権力といった欲望をさっぱり捨て去って行動しているらしい。
あまりにも突飛な内容に小首の角度はどんどん傾いていくが既に祖父の準備も整っているという。
「詳しいお話はトウケン様が直接ご説明するという事です。」
一方的に告げられると再び不快感が湧き出てきた。ならば断わってやろうか、とも考えたが逆に問い詰める好機と捉えればここは了承した方が面白いのかもしれない。

「・・・明日『アデルハイド』の王城に向かえばいいのね。わかったわ。」

案外穏便に話がまとまったのでリリーも不思議そうにしていたがもちろん素直に黙って言う事を聞くハルカではない。
双方の負担も軽く、また人間も乗りやすいよう鞍の付いた黒い竜に乗ると2人は夕暮れの空に飛び立って帰城する。それからすぐにヴァッツを探して回ると明日同行してもらうよう命令に近い懇願を告げるのだった。





 一体何を企んでいるのか。
翌朝久しぶりに戦闘衣装に身を包み完全武装を終えたハルカは気合を入れると早速ヴァッツの部屋に押しかけて『闇を統べる者』の力を頼る。
というのも彼を担いで飛べるのは相変わらずアルヴィーヌしかおらず、友人に余計な手間を取らせたくなかったので仕方なくだ。


【やれやれ。ここまで遠慮が無くなると今一度我の恐ろしさを植え付けねばならんな。】


「あら?その時は全力でヴァッツに護ってもらうわよ?ね?」
「えぇ~?そもそも『ヤミヲ』は怖くないからね?」
初対面の時こそ死を覚悟したものだが今では宿主というか本体というか、ヴァッツの庇護下に置かれているのだから何の心配もしていない。むしろその気になれば伴侶の座を手に入れる事さえ出来る筈だが時雨やリリーの気持ちを考えるとそこまで蛮行に走るつもりもない。
今のままが良い。戦いで命を奪う事も奪われる心配もなく、毎日を楽しく平和に過ごせる今のままが。
もしこの生活を取り上げようというのなら例え祖父でも容赦はしない。普段あまり近寄らないようにしているヴァッツを頼ったのもその覚悟をしっかり具現化する為なのだ。
「・・・もし私がまた戦いに引き戻されそうになったら助けてよね?」
「え?うん!でも珍しいね?ハルカがオレに助けてって言うなんて。でもハルカのおじいちゃんとっても優しそうだし大丈夫だと思うけど。」
「はぁ。あなたの強さだけは認めるけどもう少し人を疑った方がいいわよ?」
軽くため息をつきながら元暗殺者として軽い助言を告げると2人は一瞬で『アデルハイド』王城にある謁見の間に移動が完了する。

「あ、ヴァッツにハルカ。ようこそ『アデルハイド』へ。」

そこにはたまたま居合わせたクレイスが落ち着いた様子で挨拶をしてきたのだが彼も随分と変わったものだ。別世界で凄惨な出来事と遭遇したせいか、僅かではあるが厳しさを纏うようになっている。
元々リリーと並んでも遜色がない程整っていた容姿にそれが加わる事で周囲の反応も以前のような黄色い声より本気で見惚れるような素振りをする者が増えたのだから罪な存在だ。
「うん!クレイスは今日も開墾作業?」
「うん。もう少しで納得のいく所まで拓けそうなんだ。」
彼らと出会ったのも彼らが出会ったのもほぼ同時期であり、あの頃と比べられる数少ない存在の1人が自身なのだという自覚はなく、意識もしていなかったが時折こういう光景を見ると無意識にその関係は変わってないんだなぁと感心する。
「そういえばクレイス、今日おじいちゃまに呼び出されたんだけどあなた何か知ってる?」
「うん。多少は聞いてるし僕も参加する予定だよ。」
秘匿性が高いであろう一族の話に部外者を加えるとは。意外な答えに驚きはしたものの、であればさほど大した内容ではないのかもしれないと安堵すら覚えたハルカは頷いて早速祖父の待つ部屋へ向かった。





 「おじいちゃま!一体何の用なの?!」
恥じらいを捨てたというより無意識に周囲との距離を縮めていたからだろう。最初はその呼び方を隠すよう心掛けていたのも忘れて孫娘が堂々と執務室へ乗り込んでくると同席していたキシリングにコクリまでもが目を丸くしていた。
「おお!相変わらず元気そうじゃな!うむうむ!」
「何すっとぼけてるのよ。私が『気まぐれ屋』で働いている時には絶対姿を見せてるじゃない。で、コクリまでいるの?里は大丈夫?」
「ご心配なく。留守はラルヴォ殿に任せておりますので。」
次期頭領の座を狙っていた彼がまさか異邦人で亜人でもある彼を頼るとは。どうやら下忍達の話は本当らしい。それでも油断しないハルカは次期国王と大将軍をまるで手下のように使って自身の両脇に座らせると3人が対面する形となる。

「さて、役者も揃った事だし次世代の『暗闇夜天』について話をしようか。」

なるほど、だからまた手下達を押し付けてきたり呼びつけたりしたのか。次世代と銘打ってはいるものの根本を覆しようがないのだからこちらの答えは既に決定した。
今回は頼りになる仲間?手下?友人?が2人も傍にいるのだから彼らの威を借りつつ機を見計らって二度とその話を蒸し返せないよう強く断るべきだ。
「はい。我々『暗闇夜天』族は原初の志と活動に深く注目する事で温故知新を成し遂げようと考えました。そこで暗殺以外にも諜報、護衛の任務を復古させようというのがトウケン様と私の提案です。ハルカ様、如何でしょう?」
ところが想像すらしていなかった内容を聞かされたので言葉に詰まってしまった。今までの常識からは想像もつかない内容に否定しようにも優秀なハルカはまず考えてしまう。
「これはトウケン様が自然と僕達にして下さっていた事がきっかけにもなったんだよ。『暗闇夜天』の情報網は暗殺のみに使われていたらしいけどそれを別の方向で活用したい国家や個人は沢山いるんじゃないかって。」
クレイスもやや楽しそうに口を挟んでくるがもしそれが実現すると暗殺者というより忍者に近い、というかほぼ忍者だ。
ご先祖様達はその技術を使って唯一無二の地位を手に入れる為暗殺方向に特化していった。故にいつの時代にも重宝されてきたのにそれを捨て去るというのか。
「・・・私は既に里を離れちゃってるし本当なら粛清される対象なのよ?それを今更説かれてもねぇ?」
いくつか見える話の道筋はどれも不明瞭だが恐らくハルカにとっても悪い話ではない。だからこそこうやって仰々しい場を設けたのだろう。

「うむ。しかしわしもコクリもこの先を考えるとやはりお前の存在と力は必要じゃと判断した。そこでハルカよ。まずはこの場で伴侶を選ぶが良い。」

「・・・・・はぃ?!」
何故そんな話になったのか。理解が追い付かなかったハルカが素っ頓狂な声を上げるもヴァッツはともかく、クレイスがとても静かだった事からやっと謀られた事に気が付く。
ならばこちらも伝家の宝刀を抜くしかあるまい。わかりやすく頬を膨らませて睨みつけた後、大きく顔を逸らす事でまずは祖父に心に大きな傷を与えるとそこから立ち直るまでの間、しばし集中してその真意を考え始めた。





 「・・・私の伴侶はヴァッツよ。」
これまでの扱いや流れから考えてもいきなりクレイスに乗り換えるのは流石に危険が過ぎる。特にイルフォシアが冗談で済ませてくれそうにもなかった為、最終判断を消去法で下したのだがトウケンはハルカの祖父なのだ。
「・・・では婚儀の日取りを決めよう。正式な夫妻となるようにな。」
「待って待って!そもそも私とヴァッツの関係は他の人に関係ないでしょ?!」
「いいえ。生まれてくる御子様には『暗闇夜天』族の未来が託されるのですから大いに関係がございます。」
どうやら彼らはそれが目的だったらしい。ハルカを連れ戻せなくともその子孫に新生『暗闇夜天』を継いでもらおうという事か。

「・・・私、子供って欲しくないなぁ。」

「え?そうなの?アルヴィーヌは欲しいって言ってたけど・・・やっぱり皆違うんだね。」
「あの娘はまだ意味がわかってないのよ!!そりゃ私だって欲しい・・・いや、欲しくないけどね?!」
自分でも驚く程意見がころころ変わってしまったのはヴァッツの天然過ぎる発言につい引っかかってしまったからだがもう遅い。トウケンだけでなく鉄面皮のコクリでさえ嫌らしい笑みを浮かべていたのだから懐の棒手裏剣を投げつけそうな衝動に駆られる。

「ハルカの夫となれば一族として扱うのが当然じゃ。よってヴァッツには『暗闇夜天』の頭領を譲ろう。」

「ちょっと待てぃ!!!」
職権乱用のお手本とも呼べる動きに思わず声を張り上げて止めに入るが悪い大人達はきょとんとした表情を浮かべて小首を傾げている。
「何か待たねばならぬ理由があるか?新生『暗闇夜天』であればヴァッツも反対はしまい。のう?」
「え?う、うん。そうだね。難しい話はよく分からないけどあんまり暗殺をしなくなるって事?なら賛成かな?」
「わかってないにも程があるわ!今あなたは面倒事を押し付けられそうになってるのよ?!しかも私が妻になって!!」
「え?!そ、そうなの?!それは困るなぁ・・・オレ、クレイスの国の大将軍になるって約束してるから他のお手伝いは難しいんだよ。」
ここにきてやっと反撃材料が手に入るとハルカはその経緯を瞬時に思い出しながら組み立てていく。
「そうよね?!あの旅でそういう話になったのよね?!ほらほら!クレイスも言ってあげなさいよ!!ヴァッツは大将軍になるんだから他と兼任なんて無理だって!!」

「構わんよ。ヴァッツにはその肩書だけ背負ってもらえれば運営はわしらで何とかしよう。のうコクリ?」
「当然でございます。ヴァッツ様には一切の御負担を掛ける事無く立派に里を切り盛りしてご覧に見せましょう。」

駄目だ。祖父も心の底ではかなり嫌っていた筈のコクリといつの間にここまで打ち解けてしまったのか、完全に流れを持っていかれた事でハルカの心が決壊し始めるといよいよ言葉も失っていく。
「え、ええっと・・・その!わ、私はヴァッツが好きじゃない!・・・ことはないんだけど!その!結婚とかになると色々と大変でしょ?!」
だが手持ちの武器ではここまでのようだ。最後は証人として立ち会っていたキシリングも優しい笑みを浮かべてきたので再び棒手裏剣を投げつけたい衝動を抑えつつ、どうするかを必死に考えるとやはり答えは1つしか思い浮かばなかった。





 トウケンとコクリもここまで話をまとめるのに相当腹を割って話し合ったはずだ。であればこちらも隠し事で自分を縛り上げている余裕などない。

「・・・私のお姉さま・・・リリーと時雨がヴァッツの事を本気で好きなのは知ってる?」

冷静さと声を落として静かに尋ねると何かを悟ったのか、答える事無く皆がハルカの言葉を待っているようなので続けて口を開く。
「大切な人達の気持ちを考えると私がヴァッツと結婚するなんて考えられない。だからこの話はおしまい。いい?」
「いや、良くはないな。それに関してはわしも聞いておる。ヴァッツは何人だって娶ってくれるという話をな。」
「あのねおじいちゃま!!ヴァッツの体は1つなの!!そんなに沢山の妻が出来ちゃうと1人1人に割ける時間も減っちゃうの!!それって悲しいでしょ?!私はそれが嫌なの!!」
あくまで、これはあくまでリリーや時雨の立場を考えての発言だった。そのつもりだった。だが最後の一言がとてもよろしくなかったらしい。

「・・・そうか。確かにお前は甘えん坊じゃったの。夫との時間を沢山設けたいという気持ちは抜け落ちとった。これはわしらの落ち度じゃ。」
「はい。でしたらこれからはヴァッツ様の伴侶になられる方を極力排除・・・いえ、暗殺ではありませんよ?なるべく穏便に諦めてもらう方向に働きかけねば・・・」
「全然わかってなぁぁぁいっ!!!」

2人の中で暴走するハルカとヴァッツの夫婦像をまずどうにかせねばならないか?彼らになら本気の棒手裏剣を投げたところで誰からもお咎めはないだろうといよいよ両手を懐に突っ込んだ時、それに気が付いた証人親子が慌てて宥めに入る。
「まぁまぁ。ハルカ殿の話はよくわかった。となると別の伴侶を探す方向に切り替えた方が良いのではないか?」
「いいや、わしはヴァッツ以外に認め・・・いや、クレイスでも許す。」
「え?!ぼ、僕にはその、もう心に決めた人がいるので・・・ごめんなさい!」
だがますます混乱の様相を呈してくると執務室は喧噪に包まれていく。この混沌を一体誰が収めるのか。各々が思いの丈を口走っているとついに最も強い彼が静かに口を開いた。

「大丈夫だよハルカ。オレ、『ヤミヲ』の力を使ってでも皆の傍にいるから!」

静かに告げた彼は自然とハルカの手を握るとこちらも周囲の目など気にならなくなる程心を揺り動かされてしまう。
そうなのだ。彼女がもう1つ遠慮する理由として彼の意味が分からない程の包容力をとても苦手としているのがあげられる。
『暗闇夜天』の隠れ里で様々な修業をこなしてきたハルカが何故手を握られただけでどぎまぎせねばならないのだ。何故こうも高揚を覚え、頬を赤らめねばならぬのだ。
「し、心配いらないわ!私の事はいいからアルやお姉さまの傍にいてあげなさいよ!いいわね?!」
「という事は婚約は成立ですか。いやいや目出度い。」

びしゅっ!

やはりこいつは信用ならない。我慢の限界を遥かに超えたハルカが棒手裏剣を全力で放つとその柄が彼の眉間に強く深く突き刺さる。
それからなし崩し的に話は幕を閉じていくのだがこの一件により彼女とトウケンは正式に『暗闇夜天』の一員として復帰を果たすのだった。





 「今日の事は絶対皆に内緒だからね?もし漏らしたら覚悟しなさいよ?」

冷静になって考えると祖父を説得する為とはいえ随分と自分の心を打ち明けてしまったものだ。これは暗殺者として、忍びとして大いに反省すべき点でありしっかりと箝口令を敷いておかねば後が怖い。
「え?それって全部?」
「全部!って言いたいけど、まぁ『暗闇夜天』の運営形態が少しだけ変わった事くらいは言ってもいいわよ。変な気遣いや心配はさせたくないし。」
「・・・ハルカも変わったね。」
柄撃ちとはいえ眉間に棒手裏剣を受けたコクリが机に突っ伏しているのを前に落ち着いた様子を見せるクレイスも相当変わった筈だが本人には気付きにくいのだろう。
だが根本というのは早々変わりようがないのだ。
三つ子の魂百までというように生来から純粋さと優秀さにずる賢さを兼ね備えていたハルカは彼の発言を聞き流すと今後の動きについて指針を打ち出す。
まずヴァッツが『暗闇夜天』の頭領になる事に異存はない。これは今まで鍛え上げてきた力を行使する喜びこそ知っているものの、若さ故に『暗闇夜天』族への思いがまだ熟成されていないのが大きい。

問題は自身とヴァッツを無理矢理くっつけて夫婦にしようという魂胆、ここにある。

リリーや時雨の気持ちもあるのだから形式上そういう風に装う、つまり婚約者を演じれば全てが丸く収まるのではないか?
過去にそういった立場を与えられた少女が深みに落ちた事実を知らずに我ながら素晴らしい策謀だと自画自賛していたのだがこれはハルカが多少なりとも意識してしまっている時点でとうに破綻している。
だからこそ感づいていたトウケンは余計な搦め手を行使する事無く静観を決め込んだのだ。
ハルカはヴァッツと直接相対した数少ない存在であり、底抜けの優しさや明るさだけでなく底知れぬ強さや恐怖といった他の者が知りえない情報を得ている。これが前向きに転べば正室も夢ではないと企んでいるのだが彼女が真意に気付く事はない。

「さて、それじゃ話は終わりね?私仕事に行ってくるから、今日はお店に来ないでよね?」

「えぇ~・・・し、仕方あるまい・・・」
まるで子供のように駄々をこねようとした祖父を強く睨みつけるとこれまた子供のようにしょげてしまったので軽くため息をつきながら席を立つ。
「ハルカ様、新生『暗闇夜天』の任務である護衛と諜報活動に関してですが、裁量はお任せ致しますので出来る限りヴァッツ様の御傍に付いて頂けますか?」 
そこに痛みから立ち直ったコクリが無表情に告げてきたのだが流石に小首を傾げざるを得ない。
「護衛?こいつに?絶対必要ないでしょ?」
「ヴァッツ様も人の子だとお聞きしております。私では全く想像がつきませんが何時、どんな状況で窮地に立たされるとも限りません。」
その意見には納得というより興味が生まれる。『闇を統べる者』も人間だと言っていたのだから怪我以外だと病床に伏す可能性は考えられるのか?隣に座るヴァッツを見つめてみても純粋な双眸と表情で見つめ返してくるだけなので何一つ読み取れない。

「・・・ま、一応意識しておくわ。」

しかしそんな場面が訪れたら間違いなく時雨が看病を買って出るだろうし自分の出る幕はないだろう。故に軽く返事をしてその場は切り上げたのだがこれもまたコクリの陰湿な策謀だとは気づく事無く彼女は残りの人生を歩むのだった。

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