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【朗報】体型に自信のなかったこの俺が、筋トレしたらチート級の筋肉になった! ちょっと魔王倒してくる!【ラノベ】

ねこ飼いたい丸

第六話 英雄オーディン その三

「さらばだ、魔王ベルゼブブ。神のお力により永久に眠れ! ハルマゲドン!!」

 オーディンは掲げていたエクスカリバーをオリバに向かって振りぬく。
 黄金色に輝くエネルギーの塊がオリバの視界に広がった。

 ――早い!
 よけるのは間に合わない。

 オリバはとっさに両腕を前に突き出し、ハルマゲドンを受け止めた。

 さすがは魔王を倒した最終奥義。
 『向こう側の筋肉』をもってしても押し返せない。
 オリバは少しずつ後ろに追いやられる。

「無駄な悪あがきはやめよ。これは本来、神しか発動できない奥義だ。今までの残虐非道な行いを悔いよ!」

 オーディンが言い放つ。

 ついにオリバは闘技場の端まで追いやられた。
 オリバの背中が結界に触れる。
 もう逃げ場はない。

「終わりだ。このままハルマゲドンと結界に挟まれて消え失せよ」

 オーディンがそう言った時――

 オリバは地面から足を放し、膝を曲げて足の裏を結界に張り付けた。
 大きく胸を張り、肩甲骨を引き寄せ、腰を浮かす。
 後頭部、肩、尻、足の裏の4点のみ結界に接している。

 この体勢は『ベンチプレス』だ。
 圧倒的人気ナンバーワンの筋トレ種目。
 仰向けになり、バーベルと呼ばれる鉄の棒を胸の前で持ち上げる。
 バーベルを垂直に降ろし、バーベルが胸に触れたらまた持ち上げる。
 この動作を繰り返す筋トレだ。
 憧れの大きな胸筋を作れる。

「俺は冒険にでたことがない。だが、毎日筋トレしてスキルを身につけたんだ! スキル! ベンチプレス・ライウェイ!!」

 オリバは叫んだ。

 何千、何万回とジムで繰り返してきたベンチプレスの動作。
 オリバはこの動作でハルマゲドンを押しかえした。

 ハルマゲドンは斜め上空に弾きとばされ、結界を破って空の彼方に消えていった。

 暗かった空が明るくなる。

「ありえん……」

 オーディンは放心した表情で地上に降り立った。
 言葉を失っている。

「今度は俺の攻撃ターンです」

 オリバは右肩をオーディンに向ける。
 オリバの肩は大きく丸く発達し、筋肉のスジと血管が浮き出ている。
 その姿は肩にメロンを乗せているようだ。

「スキル! 肩メロン・タックル!」

 オリバはオーディンに向かって肩から体当たりをし、メロンのようなその肩をオーディンの胸にぶち込んだ。

 オーディンはふき飛ぶ。
 結界にぶつかり、そのまま気絶し地面に崩れ落ちた。

 最高の硬度を誇るオリハルコンの鎧には、くっきりとメロン型の凹みができている。

 勝負あったな……。

 オリバは額の汗を拭った。

「オーディン様が倒された! 結界も破られている! 逃げろ! 魔王に全員殺されるぞ!」

 誰かが叫んだ。

 見物席は大混乱になる。
 逃げだす者や子どもを抱きしてその場にうずくまる者、戦闘態勢に入る冒険者でごったがえす。

「落ち着け、みなのもの! ワシの声が聞こえぬか!」

 ひとりの老人が叫んだ。
 威厳に満ちたその声は闘技場に響き渡る。

 騒ぎが一瞬にして止む。
 全国民がその声の主を知っている。
 戦で不敗を誇る国王・アレクサンドロス四世だ。

「そやつは人間じゃ。神のお告げにでてきた。このイベントはこの者を見つけるために行ったのじゃ」

 アレクサンドロス四世の声は自信に満ちている。

 不敗王・アレクサンドロス四世は神のお告げを聞ける。
 その能力を活かして、戦では連戦連勝の不敗神話を築き上げたのだ。

「そなたはオリバ・ラインハルトと言ったな。オリバよ、会いたかったぞ!」

 アレクサンドロス四世はオリバの前に立つ。

「お告げはこう言った」

 アレクサンドロス四世はお告げの内容を歌い上げる。


 魔王が再び現れる

 すべての魔王を統べる王

 史上最強の大魔王

 悪を打ち砕く者が現れる

 英雄をも倒すその力

 人類最後の希望となる


「そなたのことだ! オリバ・ラインハルトよ。そなたに大魔王討伐を命じる!」

 マジか!!
 働きたく、ないっ!!
 週六でジムに行って、それ以外の時間は三毛猫マロとノンビリまったりライフを満喫したい!

「そなたが王国最強なのは紛れもない事実だ。大魔王がこの国を滅ぼせばそなたも生活できまい。すまぬが選択肢はない。その代わり、大魔王討伐に必要なものを授けよう」

 アレクサンドロス四世は金貨の入った革袋、王家の紋章が入ったメダル、そして古びた世界地図をオリバに手渡した。

「そのメダルはそなたが王の命令を遂行していることを証明できる。それを見せればどこでも協力を得られる。その地図は我が王族に伝わる秘宝『神託の地図』じゃ。そなたがどこへ行くべきか教えてくれる。二十年前に英雄オーディンにもこの地図を渡した。あやつは聖剣エクスカリバーと聖なる鎧オリハルコンを手にした。そなたも自分に適した神器を見つられるじゃろう」

 説明が終わるとアレクサンドロス四世は見物席を見渡し、こう叫んだ。

「みなのもの、よく聞け! ここにいるオリバが大魔王を倒す! この者に武運あれ!」

「オリバ様、万歳!」

「素晴らしい筋肉だ!」

 見物席から溢れんばかりの歓声が聞こえる。

 さっきまでお前ら、『逃げろ! 魔王に殺されるっ!』とか言ってたぞ?
 変わり身早すぎだろ。

 まあ、それだけ王の言葉に説得力があるってことだ。
 戦では負け知らず、歴代最高と言われる国王だ。

 オリバは神託の地図を広げる。

 地図上に赤い光が現れた。
 その場所は春の村と呼ばれ、一年中暖かいことで有名な『アルカナの村』だ。
 次に行くべき場所が決まった。

 オリバは闘技場を去るとき、大魔法使いアルキメデスに声をかけた。

「アルキメデス様、ひとつだけお願いがあります。大魔法使いさまにこんなお願いをするのは失礼ですが……」

「ひぃぃいっ! こ、これは、オリバ様! 私でよければなんでも協力しますぞ! 死者も復活できましゅ!」

 英雄オーディンを倒され、究極の結界魔法まで破られたことがトラウマみたいだ。

「あそこに色白細身のメガネをかけた男がいます。あいつはヤンです」

「あの少年をどうしろと? 不治の病でも治せますぞ!」

 俺は深呼吸してからこう言った。

「ヤンのキューティクルを復活させてください!!」

 胸にささっていた小骨がスッと消えた気がした。




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