ジェネレーション・ストラグル〜6日間革命〜

0o0【MITSUO】

1日目(1)―スターティングオーバー

 
 まぶたを開けると、天井のシミが見えた。

 そのシミは、まだ不確かな意識ながら、どこかなつかしく感じられた。

 どうやら、いつの間にか寝入ってしまったらしい。体が重く、心なしか節々も痛む。
 
 ここは……事務所、か? 

 こんなシミ……あったか?
 
 頭だけ動かし、視線を左に振ってみる。

 なぜか、ハンガーにかかった学生服が見えた。

 まったく……どうやらまだ夢のつづきのようだ。にしても、恐ろしく、そして奇妙な夢だった。

 演説中に核が投下され、真っ白な世界で死神と契約を交わした……いや、天使だったか? まあ、どっちでもいい。もうひと眠り――

『――ピピピピ! ピピピピ!』

 突然の電子音のループが、乱暴に意識を覚醒へと導いた。だが、その電子音の出どころがわからない。

 まだ意識と感覚が直結されていないなか、適当な方向に手を伸ばすと、電子音の発信源をつかむことにようやく成功した。

 それを目の前に持ってくると、昔懐かしいスマホ・・・だと認識できた。あぁ、このスマホか……たしか高校時代に使ってて…………

 
 ん? 


 ん!!


 動揺のあまり、龍馬は一旦、ベッドの上に正座した。
 
 待て待て!

 落ち着け!

 まずは、落ち着こう!
 
 自分に言い聞かせるようにつぶやき、龍馬は改めて部屋を見回した。

 高校の頃、使ってたベッド。

 高校の頃、使ってた学習机。

 高校の頃、使ってたハンガーラック。

 そして、自分が通っていた高校の制服。

 そこはどっからどう見ても、高校時代の龍馬の部屋・・・・・・・・・・だった……。
 
 最後に、恐る恐る壁にかかったカレンダーを見た。

「2021年」

 そこには、確かにそう印字されていた。

 おいおい、嘘だろ……どうなってるんだ。

 夢、だよな……あるいは、

「本当に20年前……なのか?」

 龍馬は、混乱したまま独りごちた。

 気づいたように、スマホの日時も確認してみる。

「2021年7月16日 AM6:02」

 ディスプレイは、そう表示していた。

 改めて、カレンダーに視線を戻した。

 確かに、7月のページが開かれている。

 よく見ると、今日から6日後の21日のところに何かが・・・赤い文字で書き込まれているのに気づいた。


『GAME OVER』


 血のように真っ赤な文字でそう書かれていた。その上には、なぜかドクロのイラストまで描かれていた。

 おいおいドクロって、いったい誰が……。


 あっ……死、神!?


 その瞬間、龍馬の中に、現世と黄泉の間での記憶が鮮明に蘇った!


「うぉ―――――――――――――――!」


 龍馬は髪をきむしり、ひとしきり心が落ち着くまで絶叫を繰り返した……。

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