まちがいなく、僕の青春ラブコメは実況されている
第5章 僕は、チカラになりたい。15
「おまえを……一度だって友達と思ったことはない!」
空き地に僕の声が響き渡ると、選手たちはさらに一歩前に歩み出た。
四方を倉庫の壁が取り囲んでおり、赤坂たちに逃げ道はない。おそらく襲うのに好都合と考えたこの場所に、逆に赤坂たちは追い込まれることとなった。自業自得だ。
「おい、そこのガキども! 逃げ場はない、男らしく観念しろ!」
大鉄さんが一喝し、追い打ちをかける。
と、あっけなく赤坂はその場に土下座し始めた。
すると男たち3人もそれにならい、すぐに頭を地面につけた。
「すみませんでした!」「「「……す、すみませんでした!」」」
「おいおい、安い土下座だな? なぜ謝る? どんな悪いことをしたというんだ? 洗いざらい話せ、この下衆野郎!」
大鉄さんがそう叫ぶと、赤坂たちは醜い言い争いをはじめた。
「ぜ、全部! そ、そこにいる赤坂が立てた計画だったんです!」
「ちっ、ちがいます!」
「ちがわねーだろ! ヤレる女紹介しますって、誘ってきたのはおまえだろうが‼」
赤坂の顔が真っ赤になる。
「そうだよ! ウチの学校の女で多分、処女ですよって。俺の言うことなら、なんでも聞くチョロい女ですからって、おまえ言ったよなー!」
そのあまりに軽薄な言葉に胸が痛み、思わず新垣さんを見た。彼女は静かに唇を噛み、うつむいていた……。
「それは先輩たちが、ヤリてえヤリてえ、うるさかったからでしょうが!」
「うるせー! それにコイツ! 似たような手口で何人も女子高生騙して売りに斡旋して、ちょっとした商売してんすよ! 一番悪いのはこの赤坂です‼ だから、俺たちは――」
「―−悪くない。そう言いたいんですか?」
男の声を遮るようにして、僕は言葉を発した。
男らは、バツ悪そうに口ごもる。大鉄さんも選手たちも新垣さんも、急に話しだした僕に少し驚いた表情を見せた。でも構わず、僕は続けた。
「――彼女を助けに来た僕に、こうして目頭から出血するほど蹴ったり殴ったりしたのは……いったい、誰でしたっけ?」
「それは、その……すまなかったよ」
男たちは、弱々しく頭を垂れた。
「それに、あなたたちの話を総合すれば、そこにいる赤坂が誘ったにしろ、もし僕がここに来なければ、彼女を襲っていたってことになりますよね? より正確に言うなら、強姦していたってことですよね?」
「それは、その……そうかもしれねえが……おまえも知ってるだろ? おまえが来た時点では、まだ俺らは、その女に手を出しちゃいねー!」
「でも、それって確実に強姦未遂、ですよね?」
「だ、だから、それは……」口ごもる男たちに、僕はさらに告げる。
「ちなみに、その赤坂が似たような手口で何人も女子高生を騙し、その体を男たちに斡旋し商売していたっていうのは本当ですか?」
「あぁ、それは本当だ! 間違いない‼ とにかく一番悪いのはこの赤坂なんだよ!」
「……おいおい、さっきなんだテメエは! ざけんなよ、デブはたの分際で!」
ついに苛立ちが限界に達したのか、赤坂が状況も顧みず声を上げた。そんな赤坂を見て、僕は静かに笑い始める。新垣さんも選手たちも、僕がどうかしてしまったんじゃないかと少し心配したような目で見る。
「なにがおかしいんだ! デブはた――!!」
もはや激昂した赤坂が僕を睨む。が、僕はおもむろにスマホを取り出す。そして、大鉄さん、選手たちに「ご迷惑おかけし、すみません」と頭を下げると、
たった3桁のダイヤルをする。
「もしもし、警察ですか?」
途端、赤坂の顔から血の気が引く。
「○○の倉庫街で男4人組に暴行を受けている被害者なんですが、すぐに助けに来て頂けませんか?」
空き地に僕の声が響き渡ると、選手たちはさらに一歩前に歩み出た。
四方を倉庫の壁が取り囲んでおり、赤坂たちに逃げ道はない。おそらく襲うのに好都合と考えたこの場所に、逆に赤坂たちは追い込まれることとなった。自業自得だ。
「おい、そこのガキども! 逃げ場はない、男らしく観念しろ!」
大鉄さんが一喝し、追い打ちをかける。
と、あっけなく赤坂はその場に土下座し始めた。
すると男たち3人もそれにならい、すぐに頭を地面につけた。
「すみませんでした!」「「「……す、すみませんでした!」」」
「おいおい、安い土下座だな? なぜ謝る? どんな悪いことをしたというんだ? 洗いざらい話せ、この下衆野郎!」
大鉄さんがそう叫ぶと、赤坂たちは醜い言い争いをはじめた。
「ぜ、全部! そ、そこにいる赤坂が立てた計画だったんです!」
「ちっ、ちがいます!」
「ちがわねーだろ! ヤレる女紹介しますって、誘ってきたのはおまえだろうが‼」
赤坂の顔が真っ赤になる。
「そうだよ! ウチの学校の女で多分、処女ですよって。俺の言うことなら、なんでも聞くチョロい女ですからって、おまえ言ったよなー!」
そのあまりに軽薄な言葉に胸が痛み、思わず新垣さんを見た。彼女は静かに唇を噛み、うつむいていた……。
「それは先輩たちが、ヤリてえヤリてえ、うるさかったからでしょうが!」
「うるせー! それにコイツ! 似たような手口で何人も女子高生騙して売りに斡旋して、ちょっとした商売してんすよ! 一番悪いのはこの赤坂です‼ だから、俺たちは――」
「―−悪くない。そう言いたいんですか?」
男の声を遮るようにして、僕は言葉を発した。
男らは、バツ悪そうに口ごもる。大鉄さんも選手たちも新垣さんも、急に話しだした僕に少し驚いた表情を見せた。でも構わず、僕は続けた。
「――彼女を助けに来た僕に、こうして目頭から出血するほど蹴ったり殴ったりしたのは……いったい、誰でしたっけ?」
「それは、その……すまなかったよ」
男たちは、弱々しく頭を垂れた。
「それに、あなたたちの話を総合すれば、そこにいる赤坂が誘ったにしろ、もし僕がここに来なければ、彼女を襲っていたってことになりますよね? より正確に言うなら、強姦していたってことですよね?」
「それは、その……そうかもしれねえが……おまえも知ってるだろ? おまえが来た時点では、まだ俺らは、その女に手を出しちゃいねー!」
「でも、それって確実に強姦未遂、ですよね?」
「だ、だから、それは……」口ごもる男たちに、僕はさらに告げる。
「ちなみに、その赤坂が似たような手口で何人も女子高生を騙し、その体を男たちに斡旋し商売していたっていうのは本当ですか?」
「あぁ、それは本当だ! 間違いない‼ とにかく一番悪いのはこの赤坂なんだよ!」
「……おいおい、さっきなんだテメエは! ざけんなよ、デブはたの分際で!」
ついに苛立ちが限界に達したのか、赤坂が状況も顧みず声を上げた。そんな赤坂を見て、僕は静かに笑い始める。新垣さんも選手たちも、僕がどうかしてしまったんじゃないかと少し心配したような目で見る。
「なにがおかしいんだ! デブはた――!!」
もはや激昂した赤坂が僕を睨む。が、僕はおもむろにスマホを取り出す。そして、大鉄さん、選手たちに「ご迷惑おかけし、すみません」と頭を下げると、
たった3桁のダイヤルをする。
「もしもし、警察ですか?」
途端、赤坂の顔から血の気が引く。
「○○の倉庫街で男4人組に暴行を受けている被害者なんですが、すぐに助けに来て頂けませんか?」
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