転生したら自殺した元カノ似のモブ子に出会ったのでラブコメだけどハーレムから脱却します!
怖い人が増えたんですけど!
「おやめなさい! 昴」
俺がナイフにビビって目を瞑ると、謎の女性の声が聞こえてきた。
また、新しい人かよ。
「か、会長!」
さっきまで暴れ馬のように興奮していた副会長が戸惑いだした。
そして、恐る恐る俺は目を開けた。
すると、副会長の後ろの方に女子学生の姿があった。
彼女が会長?ということか。
「おそらく彼に罪はないわ。昴、早くその矛を収めなさい」
「……承知しました」
やっと副会長はナイフをしまってくれた。
まじで危なかった。
おそらくだが、彼女がさっき言っていた「あのお方」ってことかな?
会長と呼ばれた彼女は落ち着いた雰囲気で、ゆっくりと俺たちの方へやってきた。
これまたどえらい美人さんだった。
この世界じゃ珍しい黒髪のロングヘアー。
なので、俺のいた世界と逆でかなり目立っている。
それにそのスタイルのよさに驚かされる。
身長は副会長と同じくらいで、胸は大きいけど爆乳の沙理弥ほどじゃない。
なんといっても目を引くのが、脚だ。
股下が突出して長く、規定以内のスカートが短く見えてしまうほどだった。
なんでここの連中は、あっちもこっちもプロポーション抜群なんだか。
「無礼をお詫びするわ。こうやってしっかりと話すのは初めてよね?」
「……っえ、それは……」
俺には判断しかねたので、近くにいる海利を見ると軽く頷いていた。
「初めてですね。どうも、虎頭心火です」
一応自己紹介しておいた。
さっき副会長には叫ばれてたけど。
「ふふ、もちろん知っているわ。けれど、あなたは私のことを知っているかしら。
一応、生徒会長を務めている不死山凛李よ。」
軽く頬を緩めるその仕草は、高校生とは思えない大人の色気を感じた。
笑ってはいるのに、どこか底の見えない冷たさを感じる。
そういえば、その名前どこかで見たな。
っあ、そういえば2位の人がそんな名前だったような。
一瞬しか見ていないけど、印象には残っている。
あれ、じゃあこの人同じ2年生ってことか。
雰囲気からして3年かと思ってた。
つい敬語にしてしまった。
なるほど。つまりはそういうことだったのか。
「会長! こんなやつに自己紹介など不要です。あやつは不正を犯した可能性があるのですよ?」
「めったなことは言わないものよ。それに、証拠はないのでしょう?」
「……ですが、そうでなければ会長が1位ではない理由が分かりません」
やはり、副会長が怒っていたのは会長より俺の順位が良かったからだ。
おそらく、会長は今までずっと1位だったのだろう。
委員長が毎回2位って聞いてたから、1位もずっと同じ人だとは考えていた。
「それは単純に私の力不足よ。昴、あなたがやっていることはただの負け惜しみ。
一つ聞いておくけれど、私の顔に泥を塗って楽しいかしら?」
突然、会長の瞳が蛇のような鋭さを放った。
目線は同じはずなのに、まるで彼女が副会長を上から睨みつけているようだった。
「い、いえ決してそんなことは!」
「だったらもう下がりなさい」
「はっ!」
副会長は俊敏に会長の斜め後ろに行き、片膝を立てた。
いやあんたは忍者かっ!
「あの、もう、大丈夫ですかね?」
もうよくわからないけど、とにかくこの二人は危険人物ってことは理解した。
「ええ、大変失礼したわ。だけれど、確かにあなたが突然順位をあげたのには驚いたわ。
何か勉強のコツのようなものを見つけたのかしら?
良かったら参考までに教えてほしいのだけれど」
「え、それは……」
副会長にはああ言ってたけど、この人も俺のことを疑っているようだ。
表には出していないだけで、内心プライドが傷つけられたことに怒ってるんだ。
まだあって数分も経ってないけど、そんな感じがする。
「他の生徒には教えたくないということかしら。
それは残念……」
会長の眼光がみるみる鋭くなっていった。
やばり。不信感が強まってる。
あと、後ろの副会長もずっとこっちを睨んでる。
このままじゃ二人が狩りで殺されてもおかしくない!
名誉挽回しなければ。
あ、そうか。本当のことを言えばいいのか。
「とにかく必死に勉強はしたんです。彼と一緒に」
俺は生徒たちの集団の中にいた委員長を指さした。
周りには3人の女子が心配そうにこちらを見ていた。
「……高見沢君ね。そう、納得したわ。先を行くものに教えを乞う、今までの私にはできなかったことね」
やっぱしこの人、相当プライドが高いな。
このいいぶりだと、常に1位を獲得してきたに違いない。
俺なんかが殺気が初めてだって言うのに。
「そうね。なら、今度はあなたに教えて貰おうかしら。学年1位の虎頭心火くん」
怪しく彼女は微笑んだ。
この笑顔、全く安心できない。
「代わりに、俺が教えてあげましょうか? 学年2位の不死山凛李さん」
横やりを指してきたのは、いつものように飄々とした態度の海利だった。
俺が言われっぱなしのを見て、フォローしてくれるようだ。
何から何までありがたい。
「……あなたは万年最下位の唐石海利ね」
「残念。今回はドベ脱出してます」
こ、こいつ全然フォローなんかじゃない。
真っ向から殴りあう気でいやがる。
海利と会長の目線がぶつかり合い、火花がバチバチと出そうな勢いだった。
「唐石、貴様も会長に仇なす気か!」
「さぁ? どうだか。俺は単純に人の努力にいちゃもんつける奴が嫌いなだけです」
さっきから俺みたいに敬語を使ってるけど、全く敬う気がないのが伝わってくる。
ちょっと、素の海利が出だしてるのか?
いや、これも女の子をいじる時の延長線上なのだろうか。
「……あなたの言うとおりね。この話はここまでにしましょう」
「話が分かる人で助かります」
あっぶねー。なんとか事態は収束するようだ。
意外と海利が食らいついたのが良かったのかもしれない。
たぶん、生徒会は喧嘩なんて御法度だろうし。
「唐石、貴様名前態度をとっていると、刺すぞ」
いや、副会長だけは全く落ち着いていないし、平気で人を刺しそうだ。
「昴、行くわよ。朝の貴重な時間を奪ってしまって申し訳ないわ。それじゃあ、また」
会長が後ろを振り返り廊下を歩いていくと、副会長もそのあとを追った。
まさに家来だ。
「とりあえず、なんとかなったな」
「た、助かったよ。本当に死ぬかと思った」
副会長の持っていたナイフは最後までおもちゃだったけど、あれは本気で俺を殺す気だった。
「心火、大丈夫だった!?」
「うわ、春乃」
俺は急に会話に入ってきた春乃に驚いてしまった。
こいつ、一瞬で走ってここまで来たのか。
もはや瞬間移動のレベルだな。
「生徒会に何かされたの?」
「心配しなくても、俺様が追っ払ったから大丈夫だ」
ドヤ顔を見せつける海利。
この男子中学生みたいなことを言わなきゃ、最後までかっこいい海利なんだけどな。
「あっそ。まぁ、今日だけはお礼を言っておくわ」
「いつでも大歓迎だぜ」
二人が珍しく喧嘩せずに話していると、他の3人も集まってきた。
さっきは自分から離れてしまったけど、今は皆がいることが心地よく思える。
特に殺伐とした空気を味わったからな。
「虎頭心火、彼女には気を付けたほうがいいですわよ」
「え、どうして?」
「どうしてって、彼女は不死山家の長女だからですわ。国内でも有数の財閥の娘、敵に回したらこの先生きてイケないですわ」
「そ、そんなに!?」
あんなでっかい城みたいな家に住んでるルニールが言うんだから、信憑性を感じる。
この学校には、彼女以外にもお金持ちがいたようだ。
「まぁ、その時はわたくしが守ってさしわげますけども」
「る、ルニールさん頼もしいですね」
ルニールの一言に委員長がすぐさま反応した。
これは心底惚れてるようだ。
「心火、副会長の十文字昴にも気をつけた方がいいよ。あの子、有名な道場の1人息子で、あらゆる武術や剣術を学んでるって聞いたことがある」
次から次へと危険そうなワードが出てくる。
副会長は世間では息子、つまり男と認識されてるのか。
「もし狙われたら、海利くんが身代わりになってくれるよ」
「沙理弥、お前は心火を守ろうとはしないんだな」
なんかこの会話、妙に安心する。
皆、仲が良いんだか悪いのかわからないけど、信頼しあってることは伝わってくる。
皆は俺を虎頭心火と思ってるから仲良くしてくれてるのは分かってる。
けど、この空間に入れるだけでなんだか妙に懐かしくて嬉しく感じた。
分かっている事 〈追加〉
その⑰
生徒会副会長の十文字昴はとんでもないナイフで刺してくるとんでもない奴
その⑱
生徒会長の不死山凛李は冷静にみえるが、心の中でどう思っているかは分からない。
俺がナイフにビビって目を瞑ると、謎の女性の声が聞こえてきた。
また、新しい人かよ。
「か、会長!」
さっきまで暴れ馬のように興奮していた副会長が戸惑いだした。
そして、恐る恐る俺は目を開けた。
すると、副会長の後ろの方に女子学生の姿があった。
彼女が会長?ということか。
「おそらく彼に罪はないわ。昴、早くその矛を収めなさい」
「……承知しました」
やっと副会長はナイフをしまってくれた。
まじで危なかった。
おそらくだが、彼女がさっき言っていた「あのお方」ってことかな?
会長と呼ばれた彼女は落ち着いた雰囲気で、ゆっくりと俺たちの方へやってきた。
これまたどえらい美人さんだった。
この世界じゃ珍しい黒髪のロングヘアー。
なので、俺のいた世界と逆でかなり目立っている。
それにそのスタイルのよさに驚かされる。
身長は副会長と同じくらいで、胸は大きいけど爆乳の沙理弥ほどじゃない。
なんといっても目を引くのが、脚だ。
股下が突出して長く、規定以内のスカートが短く見えてしまうほどだった。
なんでここの連中は、あっちもこっちもプロポーション抜群なんだか。
「無礼をお詫びするわ。こうやってしっかりと話すのは初めてよね?」
「……っえ、それは……」
俺には判断しかねたので、近くにいる海利を見ると軽く頷いていた。
「初めてですね。どうも、虎頭心火です」
一応自己紹介しておいた。
さっき副会長には叫ばれてたけど。
「ふふ、もちろん知っているわ。けれど、あなたは私のことを知っているかしら。
一応、生徒会長を務めている不死山凛李よ。」
軽く頬を緩めるその仕草は、高校生とは思えない大人の色気を感じた。
笑ってはいるのに、どこか底の見えない冷たさを感じる。
そういえば、その名前どこかで見たな。
っあ、そういえば2位の人がそんな名前だったような。
一瞬しか見ていないけど、印象には残っている。
あれ、じゃあこの人同じ2年生ってことか。
雰囲気からして3年かと思ってた。
つい敬語にしてしまった。
なるほど。つまりはそういうことだったのか。
「会長! こんなやつに自己紹介など不要です。あやつは不正を犯した可能性があるのですよ?」
「めったなことは言わないものよ。それに、証拠はないのでしょう?」
「……ですが、そうでなければ会長が1位ではない理由が分かりません」
やはり、副会長が怒っていたのは会長より俺の順位が良かったからだ。
おそらく、会長は今までずっと1位だったのだろう。
委員長が毎回2位って聞いてたから、1位もずっと同じ人だとは考えていた。
「それは単純に私の力不足よ。昴、あなたがやっていることはただの負け惜しみ。
一つ聞いておくけれど、私の顔に泥を塗って楽しいかしら?」
突然、会長の瞳が蛇のような鋭さを放った。
目線は同じはずなのに、まるで彼女が副会長を上から睨みつけているようだった。
「い、いえ決してそんなことは!」
「だったらもう下がりなさい」
「はっ!」
副会長は俊敏に会長の斜め後ろに行き、片膝を立てた。
いやあんたは忍者かっ!
「あの、もう、大丈夫ですかね?」
もうよくわからないけど、とにかくこの二人は危険人物ってことは理解した。
「ええ、大変失礼したわ。だけれど、確かにあなたが突然順位をあげたのには驚いたわ。
何か勉強のコツのようなものを見つけたのかしら?
良かったら参考までに教えてほしいのだけれど」
「え、それは……」
副会長にはああ言ってたけど、この人も俺のことを疑っているようだ。
表には出していないだけで、内心プライドが傷つけられたことに怒ってるんだ。
まだあって数分も経ってないけど、そんな感じがする。
「他の生徒には教えたくないということかしら。
それは残念……」
会長の眼光がみるみる鋭くなっていった。
やばり。不信感が強まってる。
あと、後ろの副会長もずっとこっちを睨んでる。
このままじゃ二人が狩りで殺されてもおかしくない!
名誉挽回しなければ。
あ、そうか。本当のことを言えばいいのか。
「とにかく必死に勉強はしたんです。彼と一緒に」
俺は生徒たちの集団の中にいた委員長を指さした。
周りには3人の女子が心配そうにこちらを見ていた。
「……高見沢君ね。そう、納得したわ。先を行くものに教えを乞う、今までの私にはできなかったことね」
やっぱしこの人、相当プライドが高いな。
このいいぶりだと、常に1位を獲得してきたに違いない。
俺なんかが殺気が初めてだって言うのに。
「そうね。なら、今度はあなたに教えて貰おうかしら。学年1位の虎頭心火くん」
怪しく彼女は微笑んだ。
この笑顔、全く安心できない。
「代わりに、俺が教えてあげましょうか? 学年2位の不死山凛李さん」
横やりを指してきたのは、いつものように飄々とした態度の海利だった。
俺が言われっぱなしのを見て、フォローしてくれるようだ。
何から何までありがたい。
「……あなたは万年最下位の唐石海利ね」
「残念。今回はドベ脱出してます」
こ、こいつ全然フォローなんかじゃない。
真っ向から殴りあう気でいやがる。
海利と会長の目線がぶつかり合い、火花がバチバチと出そうな勢いだった。
「唐石、貴様も会長に仇なす気か!」
「さぁ? どうだか。俺は単純に人の努力にいちゃもんつける奴が嫌いなだけです」
さっきから俺みたいに敬語を使ってるけど、全く敬う気がないのが伝わってくる。
ちょっと、素の海利が出だしてるのか?
いや、これも女の子をいじる時の延長線上なのだろうか。
「……あなたの言うとおりね。この話はここまでにしましょう」
「話が分かる人で助かります」
あっぶねー。なんとか事態は収束するようだ。
意外と海利が食らいついたのが良かったのかもしれない。
たぶん、生徒会は喧嘩なんて御法度だろうし。
「唐石、貴様名前態度をとっていると、刺すぞ」
いや、副会長だけは全く落ち着いていないし、平気で人を刺しそうだ。
「昴、行くわよ。朝の貴重な時間を奪ってしまって申し訳ないわ。それじゃあ、また」
会長が後ろを振り返り廊下を歩いていくと、副会長もそのあとを追った。
まさに家来だ。
「とりあえず、なんとかなったな」
「た、助かったよ。本当に死ぬかと思った」
副会長の持っていたナイフは最後までおもちゃだったけど、あれは本気で俺を殺す気だった。
「心火、大丈夫だった!?」
「うわ、春乃」
俺は急に会話に入ってきた春乃に驚いてしまった。
こいつ、一瞬で走ってここまで来たのか。
もはや瞬間移動のレベルだな。
「生徒会に何かされたの?」
「心配しなくても、俺様が追っ払ったから大丈夫だ」
ドヤ顔を見せつける海利。
この男子中学生みたいなことを言わなきゃ、最後までかっこいい海利なんだけどな。
「あっそ。まぁ、今日だけはお礼を言っておくわ」
「いつでも大歓迎だぜ」
二人が珍しく喧嘩せずに話していると、他の3人も集まってきた。
さっきは自分から離れてしまったけど、今は皆がいることが心地よく思える。
特に殺伐とした空気を味わったからな。
「虎頭心火、彼女には気を付けたほうがいいですわよ」
「え、どうして?」
「どうしてって、彼女は不死山家の長女だからですわ。国内でも有数の財閥の娘、敵に回したらこの先生きてイケないですわ」
「そ、そんなに!?」
あんなでっかい城みたいな家に住んでるルニールが言うんだから、信憑性を感じる。
この学校には、彼女以外にもお金持ちがいたようだ。
「まぁ、その時はわたくしが守ってさしわげますけども」
「る、ルニールさん頼もしいですね」
ルニールの一言に委員長がすぐさま反応した。
これは心底惚れてるようだ。
「心火、副会長の十文字昴にも気をつけた方がいいよ。あの子、有名な道場の1人息子で、あらゆる武術や剣術を学んでるって聞いたことがある」
次から次へと危険そうなワードが出てくる。
副会長は世間では息子、つまり男と認識されてるのか。
「もし狙われたら、海利くんが身代わりになってくれるよ」
「沙理弥、お前は心火を守ろうとはしないんだな」
なんかこの会話、妙に安心する。
皆、仲が良いんだか悪いのかわからないけど、信頼しあってることは伝わってくる。
皆は俺を虎頭心火と思ってるから仲良くしてくれてるのは分かってる。
けど、この空間に入れるだけでなんだか妙に懐かしくて嬉しく感じた。
分かっている事 〈追加〉
その⑰
生徒会副会長の十文字昴はとんでもないナイフで刺してくるとんでもない奴
その⑱
生徒会長の不死山凛李は冷静にみえるが、心の中でどう思っているかは分からない。
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