転生したら自殺した元カノ似のモブ子に出会ったのでラブコメだけどハーレムから脱却します!
こ、殺す気ですか!?
俺と海利が教室へ向かおうと歩き出した時だった。
「ことぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉおぉ、しんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
後ろからとんでもない声量で、誰かが心火のことをよんだ。
「え、なに?」
「さぁ?」
突然のことにビビりながら振り返るも、声の主と思われる人物は分からなかった。
玄関にはまだ生徒がたむろしており、そこから特定するのは困難だ。
しかし、次々その場から生徒たちが離れていく。
まるで海を割ったかのように、綺麗に廊下に道ができていく。
春乃たちもその流れに巻き込まれていた。
なんだ。
これからいったい何が始まるんだ?
テストは無事終わったと思ったのに。
廊下の奥から、一人の制服を着た学生が猛ダッシュで走ってくる。
ズボンを履いてるから、男か?
のわりには、声が高かったような。
「きーーーーーさーーーーーーまーーーー」
その学生をみるみる距離を詰めていく。
廊下を走るんじゃない。
「っげ、まじかよ」
そこで海利がどうやら、その人物の正体に気がついたようだ。
「海利、知ってるの?」
「知ってるっていうか、この学校で知らないやつはいねぇよ」
そんなに有名な人なのか。
猛烈な勢いで近づいてくるので恐怖を感じながらも、少し興味がわいてきた。
「地獄に落ちろぉぉぉぉぉぉぉ」
「じ、地獄!? え、手に持ってるのって!?」
俺はその子が手にしている物を見て驚愕した。
「ナイフ!?」
離れていても怪しい光で、何となくその形状が分かる。
嘘だろ、ここ学校だぞ?
いくらこの世界が普通じゃないからって、あんなのありかよ!
そして、とうとう凶器を持ったそいつは俺の目の前に来てしまった。
やはり男子制服を着ているのだが、男にしてはやけに体が細かった。
紺色がかった髪で、目や耳にかかるぐらいには伸びていた。
何より目を引くのは、今にも持ったナイフで刺してきそうな殺気のある瞳だ。
いや、今まで殺気なんて感じたことないから、多分だけど。
「あ、あの、なんでしょうか?」
俺は完全に狼狽してしまい、声も何だか裏返ってしまった。
「とぼけるなっ! 貴様、いったいどうやって1位をとった!?」
1位って、つまりこの人はテストのことでこんなに怒ってるのか?
「え、必死で勉強しただけですけど」
「嘘をつけ! 前回十位程度のお前が……お前があのお方を超えられるはずがないだろ!」
あのお方? なんか急にバトル漫画みたいなセリフ回しになってきたな。
なんとなくだけど、この人が何に怒ってるのかが分かっきた。
興奮状態のその学生は、ぐっと近づき俺の久もとにナイフを持ってきた。
危なすぎんだろっ!
誰か助けて!
「おいおい、副会長。さすがに物騒すぎねぇ?」
「貴様は……勉強もろくにしない問題児、唐石海利だな。邪魔をするな!」
横から入ろうとしてきた海利に対して、噛みつきそうな勢いで警告した。
「はいはい、わかりましたよ」
さすがの海利も、何を言ってもダメだと諦めたのか、後ろに引き下がった。
そういえば今、海利は副会長って呼んでたけど……
もしかして、生徒会とか?
にしては無法すぎるけど。
「虎頭よ、質問に答えろ。素直に答えれば、命だけは助けてやる」
そんな野蛮な台詞、実際に言われる日が来るとは思ってなかった。
「おそらくカンニングか、それに類する不正をしたのだろう。さぁ、何を行ったか吐け!」
尋問だ。いや、拷問に近いか。
以前、ナイフは俺の首を標的にしている。
「カンニングなんて俺は……」
と、真っ向から否定しようとした。
けど、俺は気がついてしまった。
不正、合法ともいえる行為を俺はしていたのだ。
本当の俺はすでに高校卒業。
歴史は覚え直したけど、他の教科はある程度頭に残っていた。
そのおかげで、順調にいったんだけど。
これにより1位をとってしまったので、この副会長のように怪しむものが現れたってことか。
「言葉を詰まらしたな。やはり、不正を行ったということだな。恥を知るがいい!」
俺が真実を話さなかったので、副会長の怒りが頂点に上ってしまった。
え、まじで俺死ぬの!?
こんなとこでお陀仏なんて、まだ真里菜の事何もわかってないのに。
副会長は手に持ったナイフを、さらに俺の首に近づける。
やばい、このままじゃ切られる!
と思った時だった。
「……あれ?」
「なんだ、良いわけでもするつもりか!」
「これってもしかして……」
俺は首元のナイフをよく眺めた。
あ、やっぱりそうだ。
俺はこのナイフに見覚えがあった。
「おもちゃだ」
そう言って、自ら首をナイフに近づけた。
すると、ナイフの刃は首を傷つけるどころか、引っ込んでしまった。
それどころか、全く痛みはなく刃をおそらくプラスチックだろう。
「……貴様、良く見破ったな」
副会長は少し冷静になり、ナイフを引き下げてくれた。
「子供の頃、触ったことあるので」
懐かしいな。
手のひらに無意味にナイフを何度も刺したっけ。
今考えると、何があんなに面白かったのか謎だ。
「だからと言って、貴様の罪が消えるわけではない!」
再び強い口調に戻ったけど、ナイフがないせいかあまり恐怖を感じなかった。
拍子抜けした感じかな。
「……んー、やっぱり……」
「なんだ、そんなにジロジロと……」
平常心に戻りつつあった俺は、改めて海利に副会長と呼ばれたこの生徒を眺めた。
下から舐めるように見てると、副会長は顔をしかめた。
「女の子?」
つい、言葉に出てしまった。
けど、言わずには入れないほど俺には違和感があったのだ。
声は低くはしてるけど、どこかか細さを感じる。
肩幅は狭いし、身長もそんなには高くない。
170ないかぐらいか。男子にしては小さい方だ。
それに、一番は胸だ。
全体的に華奢なのに、胸板だけ異様に厚いように感じる。
これがもし女の子、ということなら全部納得がいく。
胸も本当はあって、いわゆるさらしかなんかで巻いているのか。
「な、今貴様なんと言った! そそ、そんなわけあるまいだろうが……」
分かりやすく副会長は動揺しだした。
やっぱり、そうなんだ。
この人は、男装女子だったのだ。
「あれ、もしかして、これって言わない方がよかったですか?」
「な、なんのことだ! 私は、紛れもない日本男子だ!!」
俺はさらに、彼、いや彼女?を怒らせてしまった。
男装してるだけではなく、完全に自分を男と思っているようだ。
これは、安易に指摘するべきではなったか。
ちょっと、デリカシーがなかったわ俺。
「おい、心火! 逃げろ!」
男と主張する副会長をみて、海利が急に慌てだした。
それは、再びナイフをこちらに向けてきたからだろう。
「大丈夫だよ。あれ引っ込む奴だし……」
と俺が余裕をかましていると、そのナイフに異変が起きた。
副会長がナイフの柄を親指で強く押した。
すると「カチっ」っと音が鳴る。
「ま、まさかっ!」
海利の焦り、副会長の怒り、そしてナイフの不審なおと。
「そのまさかだ。会長と私に詫びながら死ねぇ!」
副会長はナイフを振りかざし、俺に向かって振り下ろそうとした。
おもちゃと分かってたから油断してたけど、あれはただのおもちゃナイフではない。
おそらく、ボタンを押すことでナイフが引っ込まないようにも出来るのだ。
「ちょ、嘘だろ!?」
本物じゃないとはいえ、あれをそのまま突き刺されたら相当痛いはずだ。
俺は状況の変化についていけず、咄嗟に目を閉じてしまった。
「ことぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉおぉ、しんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
後ろからとんでもない声量で、誰かが心火のことをよんだ。
「え、なに?」
「さぁ?」
突然のことにビビりながら振り返るも、声の主と思われる人物は分からなかった。
玄関にはまだ生徒がたむろしており、そこから特定するのは困難だ。
しかし、次々その場から生徒たちが離れていく。
まるで海を割ったかのように、綺麗に廊下に道ができていく。
春乃たちもその流れに巻き込まれていた。
なんだ。
これからいったい何が始まるんだ?
テストは無事終わったと思ったのに。
廊下の奥から、一人の制服を着た学生が猛ダッシュで走ってくる。
ズボンを履いてるから、男か?
のわりには、声が高かったような。
「きーーーーーさーーーーーーまーーーー」
その学生をみるみる距離を詰めていく。
廊下を走るんじゃない。
「っげ、まじかよ」
そこで海利がどうやら、その人物の正体に気がついたようだ。
「海利、知ってるの?」
「知ってるっていうか、この学校で知らないやつはいねぇよ」
そんなに有名な人なのか。
猛烈な勢いで近づいてくるので恐怖を感じながらも、少し興味がわいてきた。
「地獄に落ちろぉぉぉぉぉぉぉ」
「じ、地獄!? え、手に持ってるのって!?」
俺はその子が手にしている物を見て驚愕した。
「ナイフ!?」
離れていても怪しい光で、何となくその形状が分かる。
嘘だろ、ここ学校だぞ?
いくらこの世界が普通じゃないからって、あんなのありかよ!
そして、とうとう凶器を持ったそいつは俺の目の前に来てしまった。
やはり男子制服を着ているのだが、男にしてはやけに体が細かった。
紺色がかった髪で、目や耳にかかるぐらいには伸びていた。
何より目を引くのは、今にも持ったナイフで刺してきそうな殺気のある瞳だ。
いや、今まで殺気なんて感じたことないから、多分だけど。
「あ、あの、なんでしょうか?」
俺は完全に狼狽してしまい、声も何だか裏返ってしまった。
「とぼけるなっ! 貴様、いったいどうやって1位をとった!?」
1位って、つまりこの人はテストのことでこんなに怒ってるのか?
「え、必死で勉強しただけですけど」
「嘘をつけ! 前回十位程度のお前が……お前があのお方を超えられるはずがないだろ!」
あのお方? なんか急にバトル漫画みたいなセリフ回しになってきたな。
なんとなくだけど、この人が何に怒ってるのかが分かっきた。
興奮状態のその学生は、ぐっと近づき俺の久もとにナイフを持ってきた。
危なすぎんだろっ!
誰か助けて!
「おいおい、副会長。さすがに物騒すぎねぇ?」
「貴様は……勉強もろくにしない問題児、唐石海利だな。邪魔をするな!」
横から入ろうとしてきた海利に対して、噛みつきそうな勢いで警告した。
「はいはい、わかりましたよ」
さすがの海利も、何を言ってもダメだと諦めたのか、後ろに引き下がった。
そういえば今、海利は副会長って呼んでたけど……
もしかして、生徒会とか?
にしては無法すぎるけど。
「虎頭よ、質問に答えろ。素直に答えれば、命だけは助けてやる」
そんな野蛮な台詞、実際に言われる日が来るとは思ってなかった。
「おそらくカンニングか、それに類する不正をしたのだろう。さぁ、何を行ったか吐け!」
尋問だ。いや、拷問に近いか。
以前、ナイフは俺の首を標的にしている。
「カンニングなんて俺は……」
と、真っ向から否定しようとした。
けど、俺は気がついてしまった。
不正、合法ともいえる行為を俺はしていたのだ。
本当の俺はすでに高校卒業。
歴史は覚え直したけど、他の教科はある程度頭に残っていた。
そのおかげで、順調にいったんだけど。
これにより1位をとってしまったので、この副会長のように怪しむものが現れたってことか。
「言葉を詰まらしたな。やはり、不正を行ったということだな。恥を知るがいい!」
俺が真実を話さなかったので、副会長の怒りが頂点に上ってしまった。
え、まじで俺死ぬの!?
こんなとこでお陀仏なんて、まだ真里菜の事何もわかってないのに。
副会長は手に持ったナイフを、さらに俺の首に近づける。
やばい、このままじゃ切られる!
と思った時だった。
「……あれ?」
「なんだ、良いわけでもするつもりか!」
「これってもしかして……」
俺は首元のナイフをよく眺めた。
あ、やっぱりそうだ。
俺はこのナイフに見覚えがあった。
「おもちゃだ」
そう言って、自ら首をナイフに近づけた。
すると、ナイフの刃は首を傷つけるどころか、引っ込んでしまった。
それどころか、全く痛みはなく刃をおそらくプラスチックだろう。
「……貴様、良く見破ったな」
副会長は少し冷静になり、ナイフを引き下げてくれた。
「子供の頃、触ったことあるので」
懐かしいな。
手のひらに無意味にナイフを何度も刺したっけ。
今考えると、何があんなに面白かったのか謎だ。
「だからと言って、貴様の罪が消えるわけではない!」
再び強い口調に戻ったけど、ナイフがないせいかあまり恐怖を感じなかった。
拍子抜けした感じかな。
「……んー、やっぱり……」
「なんだ、そんなにジロジロと……」
平常心に戻りつつあった俺は、改めて海利に副会長と呼ばれたこの生徒を眺めた。
下から舐めるように見てると、副会長は顔をしかめた。
「女の子?」
つい、言葉に出てしまった。
けど、言わずには入れないほど俺には違和感があったのだ。
声は低くはしてるけど、どこかか細さを感じる。
肩幅は狭いし、身長もそんなには高くない。
170ないかぐらいか。男子にしては小さい方だ。
それに、一番は胸だ。
全体的に華奢なのに、胸板だけ異様に厚いように感じる。
これがもし女の子、ということなら全部納得がいく。
胸も本当はあって、いわゆるさらしかなんかで巻いているのか。
「な、今貴様なんと言った! そそ、そんなわけあるまいだろうが……」
分かりやすく副会長は動揺しだした。
やっぱり、そうなんだ。
この人は、男装女子だったのだ。
「あれ、もしかして、これって言わない方がよかったですか?」
「な、なんのことだ! 私は、紛れもない日本男子だ!!」
俺はさらに、彼、いや彼女?を怒らせてしまった。
男装してるだけではなく、完全に自分を男と思っているようだ。
これは、安易に指摘するべきではなったか。
ちょっと、デリカシーがなかったわ俺。
「おい、心火! 逃げろ!」
男と主張する副会長をみて、海利が急に慌てだした。
それは、再びナイフをこちらに向けてきたからだろう。
「大丈夫だよ。あれ引っ込む奴だし……」
と俺が余裕をかましていると、そのナイフに異変が起きた。
副会長がナイフの柄を親指で強く押した。
すると「カチっ」っと音が鳴る。
「ま、まさかっ!」
海利の焦り、副会長の怒り、そしてナイフの不審なおと。
「そのまさかだ。会長と私に詫びながら死ねぇ!」
副会長はナイフを振りかざし、俺に向かって振り下ろそうとした。
おもちゃと分かってたから油断してたけど、あれはただのおもちゃナイフではない。
おそらく、ボタンを押すことでナイフが引っ込まないようにも出来るのだ。
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俺は状況の変化についていけず、咄嗟に目を閉じてしまった。
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