転生したら自殺した元カノ似のモブ子に出会ったのでラブコメだけどハーレムから脱却します!
そ、その子が好きなの!?
「あ、あの高見沢くん……」
俺は恐る恐る委員長の背中に話しかける。
めちゃめちゃ気が荒い人で、キレられたらどうしよう。
「はい?」
高見沢はくるっと首を動かし、一瞬でこちらに振り返った。
反応速度が速すぎて、こっちの体がびくっと動いてしまった。
俺は委員長の顔を見て驚いた。
黒縁眼鏡をかけていて地味なのは変わらないけど、かなりイケメンだった。
目は二重で大きいし、鼻筋がスラッとしていてかっこよかった。
俺のいた世界だったら女子がほっとくわけない、それぐらいの美男子だ。
けど、海利みたいな派手なイケメンがいれば、このレベルでも目囮してしまうのがこの世界の凄いところだ。
「もうすぐテスト期間でしょ? よかったら……僕たちに勉強を教えてくれないかな?」
「ついでに俺も頼む!」
海利がちゃっかり便乗してきた。
女子だけじゃなくて男子にも、こんな軽快な口調で喋るのか。
「え、あ、え、いやぁ……」
突然話したこともないクラスメイトに頼みごとをされて、委員長は分かりやすく動揺していた。
まぁ、そうなるよな。
「ダメ……かな?」
俺はあまり追い打ちをかけないように、ゆっくりと頼み込んだ。
今は君だけが頼りなんだ。
「……うーん、ちょっと……」
人見知りなのか全然こっちと目を合わせず、下を向きっぱなしだった。
こうも嫌な反応をされると、なんだか胸が痛んでくる。
「やっぱり友達でもないのに無理だよね。ごめん、忘れて」
さすがに好感度が足りな過ぎたか。
心火の奴が何かこいつと接点があればい良かったんだけど。
となると……どうするか。
上位の人に片っ端から頭下げに行くか。
それはそれで、虎頭心火が頼み込んでくる、って変な噂が立ちそうだけど。
「いやそれは関係ないというか、虎頭君たちと話してみたいって思ってたし」
「ほ、本当に?」
あれ、意外な反応。
嫌われていたわけではなかったのようだ。
これも心火の普段の行いからくるものなのか。
「じゃあ、いいじゃん。この機に仲良くなろうぜ」
チャンスだ、と言わんばかりに海利が距離を詰める。
高見沢の肩に手をやり、まるで親友のように喋り始める。
こいつ、コミュ力高すぎるだろ。
「ははっ、嬉しいな。けど、今は自分の勉強に忙しいというか。この後も塾に行く予定なんだ」
ガンガンに攻めてくる海利に戸惑ってはいるが、言葉通り嬉しがっている感じはした。
もしかしたら、リア充生活を謳歌している心火たちに憧れていたのかもしれない。
俺だって羨ましい限りだ。
「そっか、歴史だけでもいいから教えてほしいんだよね」
俺は引き下がらない。
あともう少し押せば、話が上手くいく気がした。
「歴史だけか……、でもそもそも虎頭くんは勉強ができたんじゃなかったけ?」
「っう、そうなんだけど、最近体調悪くてあんまり勉強できてなくて」
「確かにクマがひどいもんね。寝れてないの?」
「そうそう。だから、このままだと順位が落ちて困るんだ」
鏡をよく見なかったからわからなかったけど、かなり目の下のクマがひどいようだ。
世界を移動した疲労もあるし、体調が悪いのは嘘ではなかった。
「じゃあ、そういうことなら歴史だけ教えるよ」
「あ、ありがとう! 本当に助かるよ!」
「ま、歴史だけでもいい点とれればいいか」
海利の奴、自分では他の教科を勉強する気は一切ないようだ。
学年2位に教えてもらえれば、何とかなるだろう。
順位が悪くても、勉強をしたという証拠は残るわけだから言い訳もできるしな。
と、俺たちが勝手に盛り上がっていると、委員長から思いもよらない提案をされた。
「けど……1つこっちのお願いも聞いてもらってもいいかな?」
まさか委員長の方も何か頼みたいことがあったとは。
でも、勉強は問題ないみたいだし、心火にお願いってなんだ?
「もちろん。こっちが頼んでるんだから、何でも言って」
「そうそう。俺らで出来ることならなんでもやるぞ。あ、ちなみにお金は勘弁な」
俺らは委員長の頼みを引き受けることにした。
今の状況からすれば、ノーとは絶対に言えないんだけどな。
「よかった。本当はずっと前から言いたかったんだけど……話しかけずらくて」
「いいから、はやく言えって」
「あ、ごめん。そのお願いっていうのは……」
海利と俺は、何故か恥ずかしそうにする委員長が喋るのをじっと待った。
数秒溜めた後に、ようやく彼の願いを聞けることができた。
「僕をルニール・シュリビアスさんに、紹介して欲しんだ!」
溜めと羞恥心のせいか、委員長は物凄い大声で願いを言った。
周囲に人がいないから、俺と海利が驚いただけだけど。
それにしても、予想の斜め上を行く頼み事だった。
まさか、恋愛関係のこととは。
これを言うってことは、つまりそういうことだよな。
「もしかして、ルニールさんのこと好きなの?」
「う、うん。あ、言っちゃった」
委員長の顔が一気に赤くなって、乙女みたいになっていた。
なんだこいつ、可愛いな。
「めっちゃ意外だな。委員長があいつを好きとは」
「ほ、他の人には言わないでね! 誰にも教えたことないから」
「約束するよ。彼女に紹介することも」
「よ、よかった。僕も頑張って勉強を教えるよ」
こうして俺たちと委員長の交渉が成立した。
どうやって紹介するかは思いつかないけど、それはまぁまた後で考えればいい事だろう。
「なぁ、委員長。ルニールのどこが好きなんだよ」
「やめなよ海利」
「いいじゃんいいじゃん、お前も気になるだろ?」
「それはそうだけど」
さらに海利は距離を詰めていく。
完全に冷やかす気でいるよこいつ。
「直接話したことは1度もないんだけど、彼女が1年生の時に海外から転校してきた時、一目惚れをしたんだ。
それと、神々しくて頭もいいしそれに気が強いところとか」
神々しいって……いいすぎだろ、とツッコミたかったが、彼女の派手さからくるお金持ちオーラはそう捉えられてもおかしくはない。
「気が強いところが好きなのか? ただ口うるさいだけだろ」
確かに海利にはかなり毒舌で接している。
が、それは海利だけに対してな気がするけど。
「僕、昔から気が弱くて友達がいないから、ああいう芯がしっかりとした人に憧れるんだよね」
「なるほどな、まあ分からなくもない」
意外にも海利は委員長の意見に共感した。
思い当たる不死でもあるのだろうか。
。
「あ、僕もう行かなくちゃ」
時計を見た委員長は、おそらく塾の時間が迫っていることに気がついたのだろう。
慌てて日誌を書き終え、下校の準備をし始めた。
「委員長ちょい待ち」
海利は急ぐ委員長を引き留め、ポケットからスマホを取り出した。
「連絡先交換しとこうぜ」
会話もなかったのだから連絡先を知らないのは当然か。
危ない危ない。
「わかった。今日は塾で無理だけど、明日は暇だからいつでも大丈夫だよ」
「お、俺も丁度バイト休みだから大丈夫だな。心火は年中暇だから気にするな」
「なんか言い方に棘があるな」
そう話しながら慣れた手つきで海利は委員長とアドレスを交換していった。
「じゃあ、また明日」
「おう、じゃあな」
「じゃあね」
委員長は心なしか嬉しそうにしながら教室を出ていった。
分かっている事 (追加)
その⑯……学級委員長の高見沢は頭がよく、意外にもルニールに好意を寄せていた。
俺は恐る恐る委員長の背中に話しかける。
めちゃめちゃ気が荒い人で、キレられたらどうしよう。
「はい?」
高見沢はくるっと首を動かし、一瞬でこちらに振り返った。
反応速度が速すぎて、こっちの体がびくっと動いてしまった。
俺は委員長の顔を見て驚いた。
黒縁眼鏡をかけていて地味なのは変わらないけど、かなりイケメンだった。
目は二重で大きいし、鼻筋がスラッとしていてかっこよかった。
俺のいた世界だったら女子がほっとくわけない、それぐらいの美男子だ。
けど、海利みたいな派手なイケメンがいれば、このレベルでも目囮してしまうのがこの世界の凄いところだ。
「もうすぐテスト期間でしょ? よかったら……僕たちに勉強を教えてくれないかな?」
「ついでに俺も頼む!」
海利がちゃっかり便乗してきた。
女子だけじゃなくて男子にも、こんな軽快な口調で喋るのか。
「え、あ、え、いやぁ……」
突然話したこともないクラスメイトに頼みごとをされて、委員長は分かりやすく動揺していた。
まぁ、そうなるよな。
「ダメ……かな?」
俺はあまり追い打ちをかけないように、ゆっくりと頼み込んだ。
今は君だけが頼りなんだ。
「……うーん、ちょっと……」
人見知りなのか全然こっちと目を合わせず、下を向きっぱなしだった。
こうも嫌な反応をされると、なんだか胸が痛んでくる。
「やっぱり友達でもないのに無理だよね。ごめん、忘れて」
さすがに好感度が足りな過ぎたか。
心火の奴が何かこいつと接点があればい良かったんだけど。
となると……どうするか。
上位の人に片っ端から頭下げに行くか。
それはそれで、虎頭心火が頼み込んでくる、って変な噂が立ちそうだけど。
「いやそれは関係ないというか、虎頭君たちと話してみたいって思ってたし」
「ほ、本当に?」
あれ、意外な反応。
嫌われていたわけではなかったのようだ。
これも心火の普段の行いからくるものなのか。
「じゃあ、いいじゃん。この機に仲良くなろうぜ」
チャンスだ、と言わんばかりに海利が距離を詰める。
高見沢の肩に手をやり、まるで親友のように喋り始める。
こいつ、コミュ力高すぎるだろ。
「ははっ、嬉しいな。けど、今は自分の勉強に忙しいというか。この後も塾に行く予定なんだ」
ガンガンに攻めてくる海利に戸惑ってはいるが、言葉通り嬉しがっている感じはした。
もしかしたら、リア充生活を謳歌している心火たちに憧れていたのかもしれない。
俺だって羨ましい限りだ。
「そっか、歴史だけでもいいから教えてほしいんだよね」
俺は引き下がらない。
あともう少し押せば、話が上手くいく気がした。
「歴史だけか……、でもそもそも虎頭くんは勉強ができたんじゃなかったけ?」
「っう、そうなんだけど、最近体調悪くてあんまり勉強できてなくて」
「確かにクマがひどいもんね。寝れてないの?」
「そうそう。だから、このままだと順位が落ちて困るんだ」
鏡をよく見なかったからわからなかったけど、かなり目の下のクマがひどいようだ。
世界を移動した疲労もあるし、体調が悪いのは嘘ではなかった。
「じゃあ、そういうことなら歴史だけ教えるよ」
「あ、ありがとう! 本当に助かるよ!」
「ま、歴史だけでもいい点とれればいいか」
海利の奴、自分では他の教科を勉強する気は一切ないようだ。
学年2位に教えてもらえれば、何とかなるだろう。
順位が悪くても、勉強をしたという証拠は残るわけだから言い訳もできるしな。
と、俺たちが勝手に盛り上がっていると、委員長から思いもよらない提案をされた。
「けど……1つこっちのお願いも聞いてもらってもいいかな?」
まさか委員長の方も何か頼みたいことがあったとは。
でも、勉強は問題ないみたいだし、心火にお願いってなんだ?
「もちろん。こっちが頼んでるんだから、何でも言って」
「そうそう。俺らで出来ることならなんでもやるぞ。あ、ちなみにお金は勘弁な」
俺らは委員長の頼みを引き受けることにした。
今の状況からすれば、ノーとは絶対に言えないんだけどな。
「よかった。本当はずっと前から言いたかったんだけど……話しかけずらくて」
「いいから、はやく言えって」
「あ、ごめん。そのお願いっていうのは……」
海利と俺は、何故か恥ずかしそうにする委員長が喋るのをじっと待った。
数秒溜めた後に、ようやく彼の願いを聞けることができた。
「僕をルニール・シュリビアスさんに、紹介して欲しんだ!」
溜めと羞恥心のせいか、委員長は物凄い大声で願いを言った。
周囲に人がいないから、俺と海利が驚いただけだけど。
それにしても、予想の斜め上を行く頼み事だった。
まさか、恋愛関係のこととは。
これを言うってことは、つまりそういうことだよな。
「もしかして、ルニールさんのこと好きなの?」
「う、うん。あ、言っちゃった」
委員長の顔が一気に赤くなって、乙女みたいになっていた。
なんだこいつ、可愛いな。
「めっちゃ意外だな。委員長があいつを好きとは」
「ほ、他の人には言わないでね! 誰にも教えたことないから」
「約束するよ。彼女に紹介することも」
「よ、よかった。僕も頑張って勉強を教えるよ」
こうして俺たちと委員長の交渉が成立した。
どうやって紹介するかは思いつかないけど、それはまぁまた後で考えればいい事だろう。
「なぁ、委員長。ルニールのどこが好きなんだよ」
「やめなよ海利」
「いいじゃんいいじゃん、お前も気になるだろ?」
「それはそうだけど」
さらに海利は距離を詰めていく。
完全に冷やかす気でいるよこいつ。
「直接話したことは1度もないんだけど、彼女が1年生の時に海外から転校してきた時、一目惚れをしたんだ。
それと、神々しくて頭もいいしそれに気が強いところとか」
神々しいって……いいすぎだろ、とツッコミたかったが、彼女の派手さからくるお金持ちオーラはそう捉えられてもおかしくはない。
「気が強いところが好きなのか? ただ口うるさいだけだろ」
確かに海利にはかなり毒舌で接している。
が、それは海利だけに対してな気がするけど。
「僕、昔から気が弱くて友達がいないから、ああいう芯がしっかりとした人に憧れるんだよね」
「なるほどな、まあ分からなくもない」
意外にも海利は委員長の意見に共感した。
思い当たる不死でもあるのだろうか。
。
「あ、僕もう行かなくちゃ」
時計を見た委員長は、おそらく塾の時間が迫っていることに気がついたのだろう。
慌てて日誌を書き終え、下校の準備をし始めた。
「委員長ちょい待ち」
海利は急ぐ委員長を引き留め、ポケットからスマホを取り出した。
「連絡先交換しとこうぜ」
会話もなかったのだから連絡先を知らないのは当然か。
危ない危ない。
「わかった。今日は塾で無理だけど、明日は暇だからいつでも大丈夫だよ」
「お、俺も丁度バイト休みだから大丈夫だな。心火は年中暇だから気にするな」
「なんか言い方に棘があるな」
そう話しながら慣れた手つきで海利は委員長とアドレスを交換していった。
「じゃあ、また明日」
「おう、じゃあな」
「じゃあね」
委員長は心なしか嬉しそうにしながら教室を出ていった。
分かっている事 (追加)
その⑯……学級委員長の高見沢は頭がよく、意外にもルニールに好意を寄せていた。
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