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闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

黄金王室

ゴゴゴゴ……。
という効果音が似合う扉を
シイラが自分で開けて、中に入る。

「…目がやられそうだ………」

エントランスのより一回り大きな
黄金の巨大なシャンデリア、
床に埋められた黄金のブロック、
レッドカーペットならぬ
ゴールドカーペット、
城を支えている黄金の柱、
左右に立ち並ぶ黄金の彫像。
この部屋にある物全てが、
黄金で作られた黄金の部屋。
その黄金の部屋の奥、
黄金の階段を5段上がった所に
黄金の椅子に座っているザンマがいる。
黄金の王族服に身を包み、
黄金の冠を頭に被り、
黄金の扇で自身を扇いでいる。

「…逃げずによく来たな、シイラ」

ちょび髭を顎に生やしたザンマは、
とても若々しく見える。
シイラの年齢から考えるに、
40代の前半くらいだろうが、
30代と言われても何も違和感もない。
細身で無駄な筋肉も脂肪もなさそうな
頼りない背格好をしているが、
ザンマから感じるオーラは
王族のそれであった。
ザンマは椅子から立ち上がることなく、
シイラを見てそう言った。
シイラは顔を背け、何も応えずにいた。

「娘を連れて来てくれたことには、
素直に感謝しよう。
お前の名は何と言う」

さて、俺は迷ってしまう。
千夜深慈と名乗るべきか、
影の勇者とだけ言うべきか、
昼間と同じように偽名を言うか。

「俺は――」

――名乗る程の者ではない。
と俺が言おうとしたその時、
俺の背後からゴゴゴゴ……という
効果音が聞こえてきた。
振り返ると、
そこには金髪と鋭い眼光が特徴的な
現近衛兵団長のクレがいた。

「ペリー、来ていたんだね」

クレは俺のことをペリーと呼ぶと、
イケイケメンメンな笑顔を俺に向けて、
俺の横を颯爽と過ぎていく。
クレはザンマのいる黄金の階段の前に
片膝を着き、凛々しい声で言う。

「報告遅れましたこと、
お詫び申し上げます。
タアラ国近衛兵団ユーカリ団長、
クレ、只今任務完了であります」

「ふむ、ご苦労であった。
引き続き、お前に任せる」

「了承しました!」

それだけの短いやり取りを終えると、
クレは立ち上がった。
ザンマに綺麗なお辞儀をして、
クレは俺達を振り返る。

「仕事だから、
聞き流してくれていいよ。
……改めまして、私はこのタアラの
近衛兵団ユーカリの団長をしております
クレ・ワガと申します。
マシュー・ペリー様と
お連れの皆様、この度は急な
招集に応じて下さり、
誠にありがとうございます」

小声で断ってから、
仕切り直すように間を取って、
クレは俺の後ろにいる
シイラ達にも聞こえるように言った。
俺がペリーと呼ばれていることに
シイラやフィユは首を傾げているが、
それは後で説明するとして、
俺としては早く用件を話して欲しい。

「今回、貴方を、いえ貴方とシイラ様を
ここに招集した要件は――」

ゴンっ!
クレがその先を言おうとしたその時、
クレの後ろの方から
重い金属同士が衝突したような
鈍い音が聞こえてきた。
これにはさすがのクレも驚き、
腰の剣に手を乗せながら
素早く振り返る。
俺もクレと同じ視線を追いかけた。
そこには、持っていた黄金の扇を
黄金の床に落としたザンマが、
目が飛び出そうな程に目を開き、
わなわなと口を動かしていた。

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