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闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

繰り返す闇

進むに連れて、
より一層寒さを増していく
洞窟の中を俺達は歩き、
いつしか睡魔に
襲われるようになっていた。
始めは俺だけかと思っていたが、
どうやら違うようだ。
マーレも、シイラも、チュニも、
眠たそうに目を擦り、
フラフラと歩いている。
いや、正確にはチュニだけは
蝶のようにフラフラと飛んでいる。
そして、その違和感に気づいたのは
俺でもチュニでもなく、マーレだった。

「ここ、さっき歩いたような…」

「ん?そうなのか?」

「う、うん…」

が、そんなことを言われても、
俺にはさっぱりだ。
洞窟の中なんて
どこも似たような道だし、
分かりやすい目印が
どこかにある訳でもない。
マーレは大切な仲間で、
今日のマーレは調子がいい。
そのマーレが気づいたことなら
無下にすることもできない。
…ないなら作ればいいのか。

「よし」

俺はアイテム袋から
空っぽの瓶を取り出し、
口の方を地面に半分ほど刺す。
自然にこんな風に
瓶が刺さることはないだろうから、
もし、これを見つけたら
俺達は同じ道を歩いていることになる。

「行こう」

俺達は再び歩き出し、
洞窟の先を目指す。
だが、後になって
俺は後悔することになる。
異変に気づき、
何らかの対処をしていれば、
結果は変わっていだろうから。



マーレの言う通り、
俺達は同じ道を歩いていた。
いや、もっと言えば
同じ道をグルグル歩いていた。
地面に刺した空き瓶を見つけ、
その隣りにもう1本の
空き瓶を刺してから、
また歩き始める。
次に瓶を見つけた時は、
見つけた瓶は2本。
もう1本追加して、歩き、
見つけた時には3本になっていた。
文句の付けようがないほどに、
はっきりと判明してしまったのだ。
俺達は同じ道を最低でも
3回は歩いている。
そして、気になる点はもう一つある。
睡魔だ。歩くに連れて、
どんどん瞼が重くなってくる。

「今日はもう戻ろう。
皆、疲れただろう?」

俺の意見に反対する者はいない。
来た道を振り返り、
俺達は帰路につく。
が、時すでに遅し。
――そこには何もなかった。

「っ!走るぞ!」

マーレの手を引くシイラの手を
俺はまた掴み、走り出す。
前のように謎の黒い手が
追いかけてくることはなかったが、
俺は一心不乱に走る。
途中で地面に刺さった瓶を見つけ、
俺は舌打ちをする。
通り過ぎる際に
その内の1本を蹴飛ばして、折る。
その次に見えたのは、
地面に刺さった3本の瓶。
その内の1本が折れていた。
俺達は、あの暗闇から逃げる時ですら、
同じ道を走っていたのだ。
俺は走るのを止め、振り返る。
依然として、闇はそこにある。
もう、俺達はクタクタになっていた。
何時間も歩き、時には走り、
ゴーストを倒し、睡魔に襲われる。
尻もちをつくようにして
俺達は地面に座り、
荒い呼吸を繰り返す。
――その瞬間だった。
待ってましたと言わんばかりの勢いで、
暗闇からあの黒い手が現れる。
もう、走れない。
シイラもマーレもチュニも、
マトモに戦える状態ではない。
だが、俺がそう簡単に
諦めると思うなよ。
やるだけやって、
ダメならそれまでだ。
最初から諦めてやるものか。
どこの誰かも知らねぇが、
俺が1発ぶん殴ってやる。

「っらぁ!」

持っていた青銅棒を振り、
黒い手を追い払う。
しかし、予想していた通り、
何の手応えもなく、
手は迫ってくる。
シイラとマーレに、手が伸びる。
俺は青銅棒を暗闇に放り投げて、
シイラとマーレを掴んで
後ろに投げる。
少々痛いだろうが、
これくらいは我慢してくれ。
手は、シイラとマーレの前に立つ
俺の方へと伸びてくる。
俺はその手を、正面から掴んだ。

「俺の仲間は、死なせねぇ…!」

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