闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝

チュニのステータス

一通りの買い出しを終えて、
俺達はタアラの
国門が近くにある宿に来た。
単純に明日の朝は早いので、
門の近くにしたかったのと、
同じ宿に連泊していると
マーレを追っている男達に
見つかって面倒なことに
なるかもしれないと危惧したからだ。
部屋を二つ取り、
俺とチュニ、シイラとマーレで
それぞれ部屋に入る。
別に俺は同じ部屋でも良かったが、
マーレのことを考えると
それは配慮に欠けるだろう。
加えて、寝ているシイラの隣りで
悶々としなくて済む。
今夜は良く眠れそうだ。

「おやすみ」

「おやすみなさい」

寝る前にシイラとマーレに声を掛け、
俺は自分の部屋に戻る。
と言っても、マーレは部屋に入るなり
いきなり寝てしまっていたので、
マーレの返事はなかったが、
可愛い寝顔を見れたので
よしとすることにした。
ベッドに横になり、
右手を天井に掲げる。
しばらく気にしていなかったが、
俺の右手の甲には
今もきちんと黒色の宝石が埋まっている。
本来ならば、この宝石の力で
戦えるはずなのだが、
俺にはそれが出来ない。
闇が深すぎて使えないと言われても、
正直素直に認められない。
気まぐれで助けた神の
ミシリディアによって、
その俺の闇の力を
引き出せるようになって
一応は戦いが出来るが、
こんな力で本当に
仲間を守れるのだろうか。
いや、考えても仕方がない。
守ると決めた以上、
何があっても守り抜く。
俺は拳を握り締め、
ゆっくりと瞼を閉じる。

「そういえば主、
主のステータスってどうなってんだ?」

「んあ?知らねぇよ」

ステータスか。
そういえば、薬屋の男が
これを飲めばステータスが上昇、
とか言っていたが、
俺は自分のステータスが
どうなっているのか知らない。
自分のステータスを見る方法があるなら、
ぜひ教えてほしいところだ。
まあ、ステータスの確認となれば、
冒険者ギルドか街の教会にある
特殊な石版に手を触れるとか、
何か特別な装置が必要だろうから、
今すぐどうこうなんて
出来やしないだろう。

「じゃあ今確認してみろよ」

俺は閉じかけていた瞼を、こじ開けた。

「…ステータスって、
どうやって見るんだ?」

俺がベッドから起き上がって
チュニに迫ると、
チュニはやれやれと肩を竦め、
その小さい体で
全力で呆れてみせた。

「よく見てな」

チュニはそう言うと、
右手の指を揃えて
正面で1回、右に1回、左に1回振る。
それって力士が相撲で勝って
お金もらう時にするやつだろ。
手を振った後、
最後にチュニはパチンと指を鳴らす。
すると、何ということでしょう。
何もなかった空間に、
突如としてステータスの画面が
映し出されたではありませんか。

「ほらよ」

チュニは表示された画面を
俺の方にフイっと向けてくれた。
その画面には、
以下のことが記されていた。

(種族)神の悪魔ゴッドデビル・使い魔
(主人)千夜  深慈
(名前)チュニ
(能力値)体力9000
     攻撃6500
     防御5300
     俊敏7400
     魔力量8200
     知力2500
     精神力4000
     魔法耐性5000
(魔法気質)火 水 土 光
      雷 風 氷 闇
(固有能力)『絶対的服従ブラッドレス
   ――主人に逆らえない。

      『失われる命フィナーレタイム
   ――主人より先に死ぬ。

      『神様の末裔マックスボム
   ――死に際に特定の相手を殺す。

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