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闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

匿った少女

割れて散った
ガラスの破片を拾ったのは、
ガラスが外からの衝撃で
割れたのではなく、
中からの衝撃で割れたものだと
誤魔化す為で、
眠ったままのチュニを座らせたのは、
『お仕置き』という部分に
よりリアリティを持たせる為だ。
未だにチュニは眠ったままだし、
ガラスの破片も全て拾った。
多少苦しい言い訳かもしれないが、
これで誤魔化しきるしかない。

「…本当だろうな?」

男は半信半疑といった
顔をしているが、
剣を向けられても
平然としている俺を見て、
どうやら信じてくれるようだ。

「ああ、本当だ。
もし俺が嘘をついていたら、
俺のこの女を
お前らの好きにさせてやろう」

このままでも押し通せそうだが、
ダメ押しでシイラを差し出す。
俺の後ろでシイラが
ビクッと震えたような気がしたが、
無視して俺は男を見据える。
男達はシイラを見て
おぉ、と声を上げるも、
俺が嘘を言っていないと思ったのか、

「短い銀色の髪をした小さい女がいたら、
すぐに俺達に知らせろ」

と言って部屋から出ていった。
知らせろと言われても、
俺は彼らの電話番号を知らなければ、
名前すら知らないので、
仮に見つけたとしても
教えることなどしない。
男達がいなくなると、
嵐が過ぎ去った後のような
静けさが部屋に訪れる。
数分ほど待つと、
外から先ほどの男達の声が聞こえ、
それが遠ざかっていったのを
確認してから、
俺はベッドの下に声をかけた。

「奴らは行ったぞ」

モゾモゾとベッドの下から
出てきた少女は、
天敵がいないか
警戒している小動物に見えた。
歳は12、3といったくらいで、
肩にかからないくらいの
長さしかない空のような青髪、
透き通った海色の瞳、
身寄りのない子どもが着ているような
薄汚れた布の服、
靴も履かず、
ガラスで切ったのであろう
頬の傷からはまだ血が滴っている。
少女は服についたホコリを
手で落とし、
俺を海色の瞳に映すと、
ゆっくり頭を下げる。

「…匿ってくれて、
ありがとうございました」

小さく、そうとだけ言うと、
少女は左足を引きづりながら
部屋のドアに向かった歩き出す。

「おい、待てよ」

俺の言葉を聞かずに、
フラつく足取りで歩く少女は、
ドアに辿り着く前に
力なく倒れてしまう。
シイラが慌てて近寄り、
そっと少女の上半身を抱き上げると、
少女は瞼を閉じて、
苦しそうな表情で眠っていた。


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