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闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

窓の嘘

翌朝目が覚めると、
案の定体のあちこちが痛かった。
これも誤ちを犯して
シイラが離れていくよりは
何倍もマシなのだが、
久々にゆっくりと
休みたかった俺には
かなりの仕打ちだと思う。

「おはよう、深慈君」

「…ああ、おはよう」

起きたシイラは
大きく伸びをして、
そのよく育った胸を
惜しげも無く披露する。
ふう、床で寝てよかったぜ。
あれを目の前にして
自分を抑えられる自信はなかった。
闇の力を抑えるより
多分難しいだろう。

「今日は、どうするの?」

まだ眠そうな目を擦り、
シイラはそう聞いてくる。
が、それはまだ俺も考え中なのだ。
後日改めてとか言っておきながら、
ラ王は結構な額のお金を
俺達に渡してくれたので、
当分の間はお金に
困ることはないだろうし、
装備も一式新しくしてくれたので
新調する必要もない。
となると、
あとはひたすら戦って
自分達のレベルを上げるくらいしか
やることはなさそうだが、
いずれ来る魔王との
戦いに備えて
魔王や宝石達の情報が欲しい。
同時進行で進められたら
もちろんそれが一番なのだが、
そんな都合のいい話はないだろう。
自分達の経験値稼ぎか、
魔王の情報収集か。
どちらを優先するべきか。

「う~む…」

アゴに手を当て、
一人で思考に耽る。
が、俺の思考は
全く別のところから現れた者によって
中断せざるを得なくなる。

「――きゃあっ!?」

宿屋の窓を派手に破り、
俺達の部屋に一人の青髪の少女が
飛び込んできた。
青髪の少女は着地が上手くいかずに
床に転がり、
頬から血を滴らせる。

「――助けて…」

風が吹けば
消えてしまいそうな声で、
少女は言った。
目の端に涙を溜め、
上目遣いで俺を見る。
その表情に、
不覚にも俺は心臓が跳ねるのを感じた。
そして、考える間もなく、
宿屋の中をドタドタと
駆けてくる足音が聞こえてきた。

「隠れてろ」

俺は咄嗟に少女を
ベッドの下に潜り込ませ、
窓ガラスの破片を回収して
アイテム袋にねじ込み、
まだガラスが残っていた窓枠に
未だに眠ったままの
チュニを座らせた。
その時間、僅か6秒。

「ここかあ!?」

部屋のドアを勢いよく開け、
いかつい顔をした男が5人、
ズカズカと入ってくる。
それぞれが手に剣を持ち、
俺達を睨みつける。

「おい、貴様ら!
ここに女が来ただろう!
どこに隠した!」

大きな声を張り上げて、
先頭にいた男が問う。
剣先を俺に向け、
嘘をつけば殺すと
目が言っている。

「知らねぇな」

「嘘つくんじゃねぇ!」

男は剣を振り、
部屋にあった椅子を
真っ二つに切った。
再び剣先を俺に向け、
窓に視線を移す。

「そこの窓から
女が飛び込んできただろう!」

まぁ、当然のことだが、
目当ての人間が
窓から侵入する様子を見ていて、
窓が割れている部屋があったら
誰でもここを疑うだろう。
しかし、それが分かっていて、
何もしない俺ではないのである。

「知らねぇもんは知らん。
俺達はただ、
イタズラ好きのペットに
ちょっとしたお仕置きを
しているだけだ。
窓を割ったのもこいつで、
反省するまで
ここから動けないようにしてる」

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