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闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

俺の理性

この世界に召喚されるまでの
俺の話を終える頃には、
太陽はすっかり落ちて、
月明かりが宿の窓から差していた。

「さすが主、かなり壮大な過去だな…」

「そうね…私の親の話以上に
暗くて悲しい話だったよ……」

話を聞いたチュニとシイラは、
顔にどんよりと影を落とし、
シイラは椅子の背もたれに、
チュニは壁に身を委ねる。
少しばかり、
重く話し過ぎてしまったようだ。

「お前らが聞きたいって
言ったんだろうが…」

ライオの街を出て、
俺達一行は再び
タアラにやってきていた。
その道中で、チュニが
俺の話を聞きたいと言い出し、
シイラがそれに乗っかって
俺の話をすることになったのだ。
宿に着いてから俺は話を始め、
最初は興味ありそうに
聞いていたシイラとチュニだったが、
話が進むにつれて
顔色がどんどん暗くなり、
現在に至るのである。

「もっとさ、こう、オブラートに
ふわふわした話し方が
あったと思うんだけど…」

「そんなこと言われてもな」

今まで誰かに
こんな話をしたことはない。
だから、話し方云々のことを
言われたところで、
俺にはよく分からないのだ。
チュニとシイラはもう
お疲れのようで、
ウトウトしている。
俺も話し疲れたし、
久々にふかふかのベッドに触れたら
急に眠気が襲ってきた。

「寝るか」

俺がそう言うと、
シイラは立ち上がって
ベッドに倒れ伏す。
チュニもその横に移動し、
すぐに寝息をたて始める。
俺も寝ようと思った矢先、
とんでもない事実に気づいた。
――ベッドが一つしかない。
今まで何度かこの宿に泊まったが、
その時は二つ部屋を借りて、
俺とチュニで一部屋、
シイラがもう一部屋使っていた。
しかし、あまりの疲れと、
俺の話をするという前提で
事が進んでいたため、
一緒の部屋でいいかと
勝手にそう認識していた。
かくなる上は覚悟を決めて
同じベッドで寝るか?
いや待て。
そうすると朝シイラが先に起きた場合、
言い訳の仕様がない。
ここは紳士に俺だけ床で寝るか?
いや待て。
久々のふかふかベッドを前にして
床で寝るなんて、
もったいなさすぎる。
それに宿代は俺が出しているのだ。
ベッドで寝る権利は
当然俺にあるはずである。
よし、少し狭いが、
俺もベッドに潜り込んでやろう。

「…んにゅ…」

子どものような安らかな表情、
柔らなそうな四肢、
無防備な格好…。
俺は急いでベッドを離れ、
床で寝ることにした。

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