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闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

魔物は討伐

「これで、最後っ!」

シイラの剣がディープ・シャドウの
胴体を半分に割り、
ディープ・シャドウの体は
消えていく。
これで、ヒガンバが置き土産に
残していった魔物を全て倒した。
犠牲者こそ出なかったが、
戦いの末に、
シイラも職人ドワーフ達も
かなりの傷を負った。
ヤガラの腕も治療は試みたが、
治すことは出来なかった。

「ふぅ…休みたいところだけど、
早く深慈君を追わないと」

額の汗を拭いながら、
シイラは言うが、
もう足元もおぼつかず、
立っているのもやっとだ。
そしてそれは他のドワーフ達も
同じことで、
頭では分かっているが、
座り込んだまま
立ち上がる力が湧いてこない。

「主は大丈夫さ。
絶対にあいつらのやりたいようには
させない。なんてたって
吾が仕える主だからな」

チュニ自身も、
シイラやドワーフを守る為に
かなりの魔力を消費した。
しかし、おくびにも出さずに
シイラ達を勇気づける。
ただ命を守っただけでは、
主である深慈に顔向けできない。
深慈と合流した際、
お互いに笑顔を
浮かべることが出来て、
初めて守ったと言えるのだ。

「そうね…深慈君なら、
あんな奴、倒してくれるよね」

息を吐いたら
力が抜けてしまったのか、
シイラはバランスを崩し
その場に尻もちをつく。
かつては『闇の実験場』と言われた
広い空間に、静寂が訪れる。
ここに来た時は
壁にあるランプ以外には
何もなかった場所は、
今や魔物の死骸と
血の生臭い臭いで充満している。
飛び散った血が
壁と床にアートを描き、
知らぬ者が来れば
思わず嘔吐してしまうだろう。

「私達、頑張ったね」

魔物を何体も葬ったシイラは、
清々しい笑顔で言う。
魔物といっても、生き物は生き物だ。
いくら襲いかかってきたと言えど、
殺してしまえば
罪悪感も湧いてくるはずだ。
それも、シイラのような女性なら
なおさら強く感じる。
しかし、シイラは罪悪感よりも、
達成感を感じていた。
自分のことを救ってくれた恩人が、
自分のことを頼り、
その期待に応えられるほどの
成果を上げてみせた。
近衛兵団長をやっていた時は、
いくら活躍しても
誰一人として自分のことを
褒めてはくれなかったが、
今回は違う。
彼は素直に人のことを
褒めたりはしないけど、
態度で分かるのだ。
たった数日過ごしただけで、
彼のことをたくさん知った。
そして、自分のことも
知ってほしいと思っている。
だから、思わず口に出ても、
なんら不思議ではない。

「――早く会いたいな」

「残念だな。それは叶わぬ」

音もなく、一人の男が
シイラ達の前に姿を現す。
長身の男だ。
しかし、暗がりの中、
闇に慣れたシイラ達の目でも、
男の顔を捉えることが出来ない。
男は、低く、重い声で
シイラ達に告げる。

「俺の晴れある復活を
邪魔する奴らはてめぇらか?」

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