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闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

ヒガンバの憑依

「――待ちくたびれましたよ」

長い螺旋階段を登りきり、
目の前の扉を開けると、
強く冷たい風が頬を殴る。
屋上というべきか、
バルコニーというべきか、
下の『闇の実験場』よりも
一回り広いこの広場は、
標高が高いためか
風が激しく吹き荒れる。
だが、俺には驚愕せざるを得ない
景色がそこにあった。

「…夜になっている、だと?」

俺達が集まったのは、
俺達がライオに到着してから
三日目の朝だったはず。
それが、今の空は闇色に染まり、
星のシャンデリアが光り、
月が足元を照らしている。
一体、何が起きているのか。

「驚かれているようですね」

空中の広場の中心辺りに
ポツンと佇むヒガンバ。
水晶玉を愛おしそうに撫で、
俺に視線を向ける。

「本当は、あなたのことよりも
『フランケン』のことを
優先しなければならないのですが、
私はあなたに興味を持ちました。
なので、あなたがどれほどの人物か、
本気の本気で戦ってみたくて。
…だから――おいで」

俺の意思とは関係なしに、
ヒガンバは俺と戦う気のようだ。
しかし、奴とて召喚できる
魔物の数は限られているはず。
下であれほどの数の魔物を
召喚すれば、後は対した魔物は
召喚できないだろう――!?

「ふふっ、いい表情です。
私の召喚できる魔物の数に
限界があると見抜いたのは
見事ですが、その限度までは
見抜けなかったようですね」

ヒガンバが召喚したのは、鬼だ。
いや、異世界でいうなら
オーガか鬼神のどちらかだ。
3mを優に超える巨躯
盛り上がった筋肉、
禍々しいトゲの生えた鉄球、
額から天を仰ぐ2本の角。
直感で分かる。
この魔物は今までとは
比べ物にならないほど強い。

「この子は鬼神。
この世界で最も強く美しい魔物です。
そして、鬼神と私の力が合わされば、
まさに世界最強になるのです!」

瞬間、ヒガンバの姿が歪み始め、
モヤのようになる。
そしてヒガンバの体は
鬼神に吸い寄せられ、
鬼神の頭から吸収されてしまった。
何が起きたのか、
俺は頭をフル稼働させる。
結論はすぐに出た。

「っ!憑依したのか!」

ヒガンバはラ王に憑依して
ライオを徐々に破滅させていった。
魔物の方にばかり気を取れていたが、
ヒガンバの能力は
魔物を召喚するだけではない。

「正解っ」

恐ろしい見た目の鬼神から、
色っぽいヒガンバの声がする。
間違いないようだ。
ヒガンバは鬼神に憑依して、
その力を存分に利用する気だ。
これは、俺も気を引き締めないと、
命を持っていかれるかもしれない。

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