話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

ヤガラの恨み

「さすが影の勇者。
察しが早くて助かります。
そう、このライオで
創られていた兵器は、
古代兵器の一つ、
かつて全世界を恐怖に陥れた
制御不能の破壊兵器『フランケン』です」

「――っ!そんなバカな!」

『フランケン』という言葉に
過剰に反応を示したのはヤガラだ。
信じられない、という表情で
ヒガンバを睨みつけ、
プルプルと震えている。
が、聞き覚えがあるのは
俺も同じことだ。
フランケン・シュタインという
名前の博士が人為的に作った
人間型の怪物ロボット。
怪物自体に名前はなかったらしいが、
いつしかそれは博士と同じ名前で
呼ばれるようになった。
もちろん、実物を見たことはないし、
それが登場する映画も
俺は見たことがない。
見たといえば、アニメやゲームで
それっぽいボスキャラを
何度か見ているだけだ。

「ふざけたことを言うな!
あれは、あれは――」

ヤガラは完全に取り乱し、
頭を抱えて叫ぶ。
職人ドワーフの3人が
ヤガラを力づくで何とか抑えるも、
ヤガラは目に涙を浮かべながら
全力で言った。

「――あれは、俺の先祖だ!」

その瞬間、息を忘れた。
それほどの衝撃を受けた。
ヤガラが取り乱した理由、
それはただ『フランケン』が
破壊兵器と言われたからではない。
『フランケン』とは、
ヤガラの先祖その物で、
先祖の悪口を言われたからだ。

「俺の先祖は、かつて魔王が
支配していた世界を救う為に、
当時のドワーフの全てを賭けて
一人のドワーフを人造兵器に変えた。
それが俺の先祖だ。
俺の先祖は自らの命を代償にして、
世界を救う為に戦った。
その途中で制御不能になったのは、
魔王が先祖に魔法をかけたからだ。
俺は絶対に魔王もお前らも許さない!」

ドワーフ達を振り切り、
ヤガラは薙刀を構えて
ヒガンバに突撃していった。
俺はヤガラを止めることはせず、
またヤガラを止めようとしたシイラを
手で制した。
今のヤガラを止めようとしても、
憎しみと復讐心に塗れた者を
止めることなどできはしない。
それほどまでに
恨みの感情は強い力なのだ。

「先祖の無念、ここで晴らす!」

ヤガラは薙刀を振り下ろし、
ヒガンバを両断するつもりだ。
しかし、ヤガラの刃が
ヒガンバに届くことはなかった。
振り下ろしたはずのヤガラの腕は、
未だに空に浮いたまま。
ヤガラの二の腕から
血が吹き出し、
やがて、薙刀を握り締めたままの
ヤガラの両腕だけが
地面に叩きつけられる。

「ぐわぁぁぁ!?」

ヤガラの悲鳴が
冷えた実験場の中で響き、
ヤガラから流れた血の匂いが
俺の鼻腔を刺激してきた。

「闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く