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闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

見物

恥ずかしさのあまり、
顔をリンゴみたいに真っ赤に染め、
俺はチュニとシイラ、ヤガラと共に
ライオを囲んでいる壁の上、
ライオの中と外を同時に
見渡せるところに来ていた。

「あ、主、プッ、間違いはさ、ププツ
誰にでもあるし、プッ、
そんな気にするなってぇ!」

本気で恥ずかしい時に
笑いながら言ってくるチュニの額を
無言でデコピンで弾く。
この悪魔野郎が…次言ったら
その羽手でもぎ取るからな。

「チュニ、あまり深慈君を
からかってはダメですよ?」

シイラに言われて、
チュニは、はいはいりょーかいっと
軽く返事をする。
それでも俺をチラチラ見て
顔がニヤついていたので、
俺は気を紛らわすように
ライオの外に目を向けた。
広大な砂利の土地には、
所々に大きめな石がある程度で、
他には何もない。
森もなければ洞穴もない。
それはつまり、
魔物の寝所になりそうな場所は
ライオの近々にはないということだ。

「空…はないだろうし、
地面から出てくるって
考えるのが妥当だろうな」

知能の低い魔物のことだ。
翼もないのに空から
降ってくるなんて芸が
出来るはずもないし、
普段は地面に隠れてて、
獲物を察知したら
襲いかかるという、
魚みたいな生き方を
している可能性が高い。

「チュニ、お前がオークを見つけた時、
奴らは急に出てきたのか?」

未だにニヤついていたチュニだったが、
俺が真剣な表情で話しかけると、
一気に顔をしかめて
う~んと唸り始めた。

「それがおかしんだよな。
吾ならとっくに気づいてたはずの距離に
いきなり出てきてさ、
それも、地面からとか
そんなんでもなく…。
あれだ、何もない所から
ポンって生まれた感じだ」

何もない所から現れた?
チュニが言うなら
間違いないのだろうが、
果たしてそんなことが
現実にありえるのか。
しかし、実際問題、
俺達はその事実を目の当たりにしている。
信じ難いことだが、そう思うしかない。

「チュニ、何でもいいから
魔法ぶっ飛ばしてみてくれ」

もしかしたら、
獲物を感知したら魔物が出てくる
トラップのような物が
この辺りに埋められているのかも。
誰が何の為にどうやって
作ったのか説明も出来ないが、
何もない所から
ポンっと出てくるよりマシだ。
そのトラップを片っ端から
破壊すればいいだけの話なのだから。

「よし、任せろってことよ!
…神の血が流れる悪魔の吾が願う。
得体の知れぬ人知を超えた
忌々しい装置を滅殺し、
主に褒めてもらえますように。
屠り魔ゴッドキラー!」

相変わらず詠唱は変てこだが、
その魔法の威力は流石だ。
頭上に掲げられたチュニの両手から
重々しい空気の魔力の塊が現れ、
それをチュニがそいやっ、と放り投げる。
凄まじい轟音と耳鳴りと共に、
ここから距離にして
100mほどの場所に
直径が優に30mはあろうかという、
巨大なクレーターが出来た。

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