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闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

ドワーフの話

「お前さん、金が欲しいが?」

俺がそうだと答えると、
ドワーフのおっさんは
俺達のテーブルの空いていた席、
シイラの隣りにどっかりと座った。
おっさんはダイと名乗り、
とても興味深い話を
俺達に聞かせてくれた。
時折、方言のように
聞き取り辛い言葉があったが、
俺が訝しい顔をすると、
その度にシイラが
口添えをしてくれたので、
何とか話を理解出来た。

「よし、その話乗った」

「ホンマが?えがったぜよ。
お前さんを見込んだワシの目は
まだまだ若いぜよ」

俺が話に乗ると、
ダイはホッと胸を撫で下ろし、
前金だといって
ここでの俺達のご飯代を
お釣りがくるほど出してくれた。
最後にダイは俺の肩に
ドンっと手を置き、
親指を立てると
自分のいたドワーフ仲間のテーブルに
戻っていった。
これで俺達が何もせずに
逃げ出したりしたら、
一体どうするのだろう。
が、俺はそんなことはしない。
ダイは俺達を信用してくれたのだ。
その信用に答えるのが、
俺の、いや、影の勇者の使命だ。

「そうと決まれば、
今から宿に戻って、寝て、
明け方になったら出発だ」

目的がはっきりすれば、
行動も早いものになる。
俺は大事に残していた
春巻きに手を伸ばす。
が、そこには皿しかない。
パリッともならず、
ふにゃもとなっていない
絶妙な感触の春巻きは、
シイラの口にあった。
一口で食べきれない大きさのそれは、
シイラが咥えていると
エロさしか醸し出していない。

「…チッ」

俺は色んな意味で舌打ちすると、
唯一残っていた
ベーコンをサッと取って
口に放り込んだ。

「あっ!吾のベーコンが!」

どうやらベーコンは
チュニが狙っていたようだ。
しかし、俺は俺で
春巻きをシイラに取られているため、
文句を言うなら
シイラに言ってほしい。
そして、昼にもベーコンを
たっぷり食べていたので、
チュニはベーコンが
お気に召したらしい。

「いくぞ、お前ら」

しっかり噛んで、
飲み込んでから
俺は席を立ち上がった。
先ほどダイから受け取った
お金の入った袋から
銀貨を三枚取り出し、
テーブルの上に置く。
去り際にダイ達のテーブルに
目をやると、
四人の屈強そうなドワーフが
俺達のことを見ていた。
心配が半分、期待が半分、
そんな眼差しだった。
そんな彼らに言葉をかけるなど、
俺には野暮なことは出来ない。
だが、気づいて無視する訳にもいかず、
俺は背中を向けたまま、
グーサインで応えた。

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