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闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

近衛兵団長

チュニの言葉に、
シイラはビクッと肩を震わせる。
目をいっぱいに見開き、
口をパクパクさせている。

「ど、どうして…?」

チュニの堂々たる態度と、
シイラの怯える様を見る限り、
どうやらチュニの言葉は
シイラの痛いところを
見事に突いたらしい。
近衛兵団長、ということは、
国を守る兵士達の
リーダー的存在であるわけか。
こんな美人でスタイルのいい女性が、
鎧を着て剣を振りかざす姿は
全く想像出来ないが、
否定しないということは、
事実だということだろう。

「王族の娘が大切な品物を運ぶのに、
護衛が誰もいないなんて、
普通に考えておかしいからな」

確かに、そう言われればそうだ。
国王が娘が一人で外に
出歩くなんて危険過ぎる。
家出ならまだしも、
大切な贈り物をするという
国王承認の外出なら、
護衛が一人もいないのはおかしい。
シイラ自身が余程強いのだとしても、
他の仲間が必ずいるはずだ。
しかし、先ほどは
男一人を相手に悲鳴を上げていたので、
腕っぷしは良くないのかもしれない。

「それに、羽織りで隠してるけど、
肩にある紋章は
タアラ共和国の近衛兵の物で、
金の縁で刺繍されているのは、
そのトップである証拠だ」

いつの間にそんな物を見たのか
俺にさえ分からなかったが、
今はっきり言えるのは、
使い魔が優秀過ぎて困る、だ。
当然俺はこの国の近衛兵なんて
存在も知らないし、
その紋章だって言われても
全く分からない。
チュニは卵から孵化した時から
俺のそばを離れていないので、
もしかしたらチュニは
前世はすごい人で、
記憶の一部を覚えているのだろうか。

「どうして隠してた?
なぜ、主が勇者と知って
逃げようとしたんだ?」

本当にチュニが有能過ぎる。
あっという間にシイラを追い込み、
完全に優位に立っている。
シイラは箱を強く抱き、俯く。
髪に隠れて表情は伺えないが、
細かく震え、背を丸くしているのは、
人が葛藤する際の反応だ。
一度人間がこうなったら、
時間を取り、場所を変える。
そうした方が、冷静に判断出来る。

「まぁ、ここじゃあれだから、
場所だけ変えよう。
二人とも、それでいいな?」

シイラは小さく頷き、
チュニも了承してくれた。
シイラが逃げないように、
俺は箱を取り上げると、
財布のアイテム袋にしまう。
明らかに箱の方が大きいのに
吸い込まれるように
財布に入っていく。
アイテム袋って便利だな。

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