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闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

タアラで仲間探し

「全然見つからねぇな…」

シンガルを勢いで飛び出してから、
早いものでもう3日。
俺は今、シンガルの傘下の
国の一つである、
タアラ共和国にいる。
そのタアラ共和国の
ある酒場の4人がけのテーブル席で、
俺は一人で項垂うなだれていた。

「落ち込むなよ主。
そう簡単に仲間が見つかるなら、
誰も苦労しないぜ。
第一、主の理想は高過ぎなんだよ」

言いながら、
チュニはベーコンを口に運び、
もぐもぐとハムスターのように
頬をいっぱいにする。

「確かにその通りなんだが…」

俺が現在行っているのは、
言ってしまえば『パーティー探し』だ。
他の勇者と協力しないとは
言ってしまったが、
別に独りで世界を救うなんて
俺は一言も言っていないし、
やはり仲間は必要だと思ったのだ。
カッコ悪いことこの上ないが、
そんなことを言っている場合ではない。
下手をすれば、自分の命を
失ってしまう可能性だってある。
仲間がいれば、
仲間の為にならと頑張れる。

「妥協なんてできないしなぁ…」

そう、これは決して
妥協出来ることではない。
共に戦い、共に生き、
お互いを想い、お互いに背中を預け、
お互いに信頼出来る人でないと、
一緒に行動するなんて無理だ。

「だからって、
『強くて、正義感があって、
優しくて、料理が出来て、
気配りが出来て、悪魔を恐れず、
役に立たない勇者と一緒でも
絶対に見捨てず、
決して裏切らない奴』とか言っても
簡単に見つからないどころか
世界中探してもいないだろ」

「ぐっ…」

分かっている。そんなことは。
自分の思い描いているような
完璧な人材など、
二次元にしかいない。
ここは、俺の知っている
世界とは似ても似つかないが、
ここは三次元であり、
街を行き交う人々も
CPUなんかではなく、本物の人間だ。
何度もこちらから
声を掛けているのだが、
俺が勇者だと言っても
なぜか信じてもらえず、
全く相手にされない。

「…場所を変えるか」

皿に残っていたベーコンと
小さな樽のコップの
ミルクを一気に飲み干すと、
財布から銀貨を2枚取り出して
テーブルの上に置いた。
ちなみになんだが、
俺がドラゴンロックから
受け取ったアイテム袋は、
いつの間にかなくなっており、
代わりに俺の財布が
四次元ポケットになっていた。
アイテム袋の中身が
丸ごと財布に移動していて、
心底驚いたものだ。
これも、ミシリディアの
親切の一部だなと思い、
姿の見えない神の顔に
俺は心の中で感謝したのだ。

「まいどぉ!」

酒場を出ると、
店から威勢のいい声がする。
大きな声に最初は
背筋が伸びたが、
今はすっかり慣れてしまった。
タアラの街並みは、
シンガルとは違い、
活気があるというよりは、
どこか荒んでいる。
絶えず声が響いているのは
俺のいた酒場くらいのもので、
街の一般民は覇気がないのだ。

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