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闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

旅立ち

例えるなら、
その卵の大きさは
トイレットペーパーだ。
片手で持つと丁度掌に納まる
トイレットペーパー。
もちろん、トイレットペーパーのような
円柱形ではなく、あくまで卵形だ。
しかし、大きさだけでなく、
色も俺の知る卵ではない。
一つ一つ異なる色をしており、
青と緑の縞模様があれば、
赤地に白のドット柄、
紫と黄色と黄緑の絵の具を
バケツに入れて、
そのバケツをひっくり返したような
複雑な色の卵もある。

「この中から一つ、
『使い魔』を選んで下され。
しかしながら、中にどんな
『使い魔』が入っているかは、
殻が割れてのお楽しみです」

『使い魔』というのは、
おそらくは戦えるペットのような
生き物のことだろうが、
それがドラゴンなのか、
猫なのか、鳥なのかは、
生まれるまで分からない。
他の5人が頭を悩ませる中、
俺は一番に手を伸ばした。
俺が手に取ったのは、
黒地に紫のドット柄が入った卵。
俺は一応影の勇者なので、
それっぽい色を選んだ。
他の5人もそれぞれ
卵に手を伸ばし、眺めて見る。

「『使い魔』は選ばれましたね。
ワシから勇者様にお渡し出来るのは、
精々卵を入れる為のカゴだけです。
それでは皆様、
我が国を救う為、出発して下さい!
ワシらはいつでも、
勇者様を応援しております!」

他の5人は首から
掛けられるタイプのカゴなのに、
俺だけ手に持つタイプの
丈夫そうなカゴを
メイドから受け取ると、
後方の扉が勢いよく開かれ、
外の空気が流れ込む。
ずっと不思議に思っていたが、
この屋敷の部屋は『転移』を
することが出来るらしい。
SF風に言えば、
屋敷内だけのどこでもドアがあり、
この部屋の扉から
トイレにも行けるし、
風呂にも行ける。
それを利用して、
俺達を一箇所に集め、
こうして外にも簡単に出られる訳だ。

「何かイマイチ実感ないけど、
これは行くしかなさそうだね」

一歩前に出た舞空が
振り返ってそう言う。
それに関しては、俺も同意見だ。
こうして盛大に見送られると、
怖いから行かない、なんて
子どもみたいな言い訳は通らない。
ここは、腹を括るしかない。

「あたし、この国を助ける為に
頑張っていっぱい強くなる!」

陽向も舞空に乗って、
拳を腰の高さまで持ち上げる。
気合いは十分のようだ。

「貴方達は仲良く頑張れば?
私、群れは嫌いなの。
独りでやらせて」

髪を風になびかせて、
白波はフッとそっぽを向いた。
口では悪く言っているが、
白波の瞳には闘志があった。
彼女も彼女で、
意外と乗り気らしい。
それに、白波の言うように、
群れることは俺も反対だ。
レベル上げをするには、
群れより独りの方が効率がいい。
それに、俺はゲームでは
いつもソロでプレイしていた。
わざわざ仲間で何時に集合、
なんてせずに、
やりたい時にやりたい分だけ
プレイした方が楽だし、
俺のような基本的に無課金の
ソロプレイヤーは、
どうしても重課金勢に対して
敵対意識があり、
1on1をして勝てれば
それはそれは爽快なのである。

「白波、そう言わずにさ、
皆で力を合われて頑張ろうよ」

「ああ!全員で力を合わせれば、
どんな強敵も打ち倒せよう!
ここは協力するべきだ!」

「あ、あたしもそう思う!」

しかし、白波のやり方に、
3人は反対する。
舞空と陽向と不動は、
白波を説得しようと、
必死に言葉を並べている。
俺はどうするべきか考え、
扉の向こうを眺める雪乃に
話しかけることにした。

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