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闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

俺の杞憂

舞空、陽向、不動、
白波、雪乃、そして俺。
この6人が今回召喚された勇者だ。
何の為の『素質鑑定』で、
これから何が行われるのか、
さっぱり分かないが、
流れ的にはこの後、
誰が何の勇者か言って、
軍資金やら最初の仲間やらくれてから、
国を守る為にいざ出発ぅ!
となると思うのだが、
どうやら先に俺の疑問を一つ
消してくれるようだ。

「続きまして、『素質鑑定』の
詳細情報をお知らせします」

またしても感情のないような
機械地味た声のメイドが
上座に上がりドラゴンロックの
横に並ぶように立つ。
前髪のせいでよく見えないが、
メイドってどこの世界でも可愛いな。

「起床後、布団とシーツを整えた者は、
舞空様、陽向様、白波様、千夜様。
この内、布団のみ整えた者は
陽向様と千夜様です。
次に、部屋を出る前にカーテンを開け、
窓を閉めた者は舞空様、白波様、
雪乃様。この内、窓のみ閉めた者は
舞空様です。
次に、廊下に落ちていたホコリを
拾われたのは、白波様、千夜様です」

どうやら『素質鑑定』なる物は
俺達の普段の行いを見る為の
性格診断のような物らしい。
布団を整えるだの、
窓を閉めるだの、
礼儀正しい律儀な人なら
やって当然なのだろうが、
やらない人はとことんやらない。
ドラゴンロック側からすれば、
自分達の国の未来が
かかっているのだから、
勇者達の人間性なんて
良い方がいいに決まっている。
だからといって、
監視が過ぎる気もするが…。

「そして、この部屋に来た際、
我が国王様に訝しげな視線を
送った者は、
舞空様、陽向様、不動様、白波様。
しかし、雪乃様と千夜様は
表情を読むことが出来ず、
詳しい把握を行えませんでした。
なので、全員とします」

気のせいだろうか。
今俺史上最も理不尽な事を
言われたようなのだが。
王に訝しげな視線を送った者、
つまりはドラゴンロックに
疑いの目を向けた者の事だ。
ふむ。言い替えるまでもないな。
目の前で起きた事件により
俺の最強の国語力でさえ、
灼熱に萌えるロリの地獄に
堕落してしまったようだ。
ああ、こうしている間にも
脳が溶けていく感覚がする。

「いや、おかしいだろ」

つい口に出てしまった。
思っていることを
すぐ口にしてしまうような
人間じゃないはずだが、
今回ばかりは例外だ。
相手は王様なのに、
勇者だからって調子に乗るなよ俺。
イマイチ自分がこの国を救う
勇者だという自覚もないが。

「おかしいと申すか?」

「あぁ、おかしい。理不尽だ」

ヤバいヤバいヤバい。
一回言って歯止めが
効かなくなってきてる。
このままだと勇者だろうが
社畜だろうが何だろうが、
問答無用で送還されそう。
ドラゴンロックも超怒ったような
顔で俺のこと見てるし、
絶対ダメなやつだろこれ。
終わったな、俺の勇者人生。

「…気に入った。
皆の者!茶番は終わりだ!
勇者様方を存分にもてなせ!」

しかし、俺の心配も
杞憂に終わった。
俺達は流れるように
長~いテーブルに豪華な食べ物が
並ぶ部屋に案内され、
訳の分からないままに
乾杯をすることになった。

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