話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

素質鑑定

「『素質鑑定』を始めてくれ」

俺達がそれぞれ話を理解すると、
ドラゴンロックは聞き慣れない
謎の単語を口にした。

「はい、国王様。
それでは『素質鑑定』を始めますので、
勇者の皆様はお並び下さい」

メイドと執事に促され、
俺達はドラゴンロックの前に
一列に並ばされる。

舞空まいそら  かける様。
起床後、驚いた様子でしたが、
しばらく考え込み、
足取りに迷いはありませんでした。
タイムは25分です」

舞空は鮮やかな青に髪を染めた、
背の高い好青年。
メイドは右端の舞空の前に立ち、
紙束の内の一枚に目を落とすと、
名前と起床後の様子、
タイムと淡々と言い放った。
若いメイドの言い方は、
どことなく機械地味た声色だった。
そのメイドの言葉に、
舞空は驚いた表情をしていたが、
特に言葉を発することはなく、
黙って聞いていた。
恐らくは自分の名前を
なぜ知っているのか、等と
思っているのだろうが、
すごく落ち着いているように見える。
イケメンというのは、
誰でも理解が早いのだろうか。

陽向ひなた  ひな様。
起床後、慌てた様子で
部屋を走り回り、
ここに着いた時には
息を切らしておられました。
タイムは57分です」

陽向は赤毛のポニテがよく似合う、
小柄で可愛らしい女の子。
そういえば、息を切らしていた
人がいたような気がしたが、
深いことは思わなかったな。
陽向は緊張しているのか、
頬が強ばっている。
そんな様子も可愛らしくて、
俺はひよこを連想した。

不動ふどう  大地だいち様。
起床後、部屋を見渡すと、
すぐに部屋を出て、
手当り次第ドアを開けておられました。
タイムは18分です」

不動は、目を大きく開いた
自信溢れる顔が印象的だ。
腕も組んでいるし、
自分が勇者だと聞いて
張り切っているのかもしれない。
その不動のタイムが告げられると、
僅かに歓声が上がる。
既に、彼らはタイムの
仕組みに気づいたようだ。
簡単な話、タイムとは、
起床後からこの部屋に
辿り着いた時の時間。
その時間が短ければ短いほど、
『素質』があるということらしい。

白波しらなみ  小海こうみ様。
起床後、ご自身の持ち物や服装を
一通り確認されると、
お屋敷を興味深そうに歩き、
しばらくしてここに着かれました。
タイムは35分です」

白波は濃い青の黒髪を
ストレートに腰まで伸ばし、
このメンバーの中では
一番大人びた雰囲気である。
白波までくると、
なぜ自分の行動が把握されているのか
気にもならないようで、
白波は驚いた様子もない。
大きな胸を強調するように
腕を組み、ドラゴンロックを
睨みつけるその眼差しは、
もはや猛獣である。

雪乃ゆきの  れい様。
起床後、しばらく窓から外を眺め、
部屋を出るとすぐに
ここに着かれました。
タイムは13分です」

雪乃はその名に相応しい
真っ白な雪色の髪をしており、
どこも見据えぬ遠い目をしている。
隣りにいる俺でさえ、
雪乃が何を見ているのか、
皆目見当もつかない。
最後にメイドが俺の前に来て
紙きれに目を落とす。

千夜せんや  深慈しんじ様。
起床後、持ち物を確認されると、
部屋を出て、思い出したかのように
ここに着かれました。
タイムは9分です」

俺の紹介がされると、
今日一番の歓声が上がった。
どうやらタイムで
10分を切ったのは俺だけだったようだ。
といっても俺は自分のいた部屋に
靴を取りに戻ろうとしたら、
たまたまここに着いただけで、
陽向や不動のように
探して来た訳ではない。
少々複雑な心持ちだが、
今俺が一番気にしているのは、
靴を返してほしいってことだ。

「闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く